323 北のアジサイ

アジサイ紫陽花。梅雨のある南国では6月から7月にかけて咲く。北国北海道では8月から咲き始め、霜を受けてもまだ咲く。散りそびれて名残りの花は色を失いながらも、ドライフラワーとなって地吹雪の中を立ちつくす。けなげとも頑健ともとれる。日本原産というがここではぎりぎり分布を分ける。生きものというものはこうやって今を生きる。ヒトも厳しい自然の中でこうやって生きて来たのだが。

322 森閑

カラマツ林洞爺湖から昭和新山へ向かう町道から左へ折れるカラマツの中の道路。かつては、古いスコリア丘の火口を通り新山沼へと抜ける道路であった。いまは途中で新道と合流する。全山が新緑とエゾハルゼミの声に包まれるる6月、木の下闇にオオウバユリの花茎が林立する晩夏、ドロノキの柳絮が舞う秋口、ここは私の最も好きな林道だ。町道昭和新山第2線。本当の春になるまでの閑な4カ月を山は静かに眠り続ける。

321 色とりどり

色とりどり小学校の校庭、1クラス。お手玉30個位ぶちまけたような賑やかさ。というと、これはおかあさんの感覚の集大成ということになる。先生の色彩との対比が面白い。それぞれの個体が別個な独立した色調で、このような集団は動物学的にはあり得ない。チラチラと動き回るこの彩色された子供たちは、羽のある妖精のように見えた。シシリー・メアリー・バーカーの[花の妖精]みたいな。

320 バターロール50個

バターロール隣町伊達産の小麦「きたもえ」(江別製粉)でパンを作った。バターたっぷりのを50個。当然のことだが、焼いて1~2時間後が香りも良くとても美味しかった。翌日でも、冷凍保存後でも結構いけた。私は北海道産の粉特有のもっちり食感は嫌いなので、この粉のすっきりした食味は「当たり」だ。地産地消、結構な話だ。小麦粉1200g、酵母(サフ)24g、バター140g、砂糖120g、塩20g、全卵120g、水640g。45gで50個に分割。焼成180℃13分。

319 蒼い夜に

キタキツネ近くの田んぼの雪の中にキタキツネの足跡が続いている。早朝、6時には雪が降っていた。その時は-15℃であった。市街地からまっすぐに畑に入り、畦道に上がって向うの林に帰っていったのだろう。  茂吉の句に「けだものは食うもの恋いて啼きいたり何というやさしさぞこれは」とある。月齢17.7日のレモンの形の冷たい月の下、今朝のキツネは啼かず考えず背を照らされて、弛まず歩みを続けたことだろう。 昨日も今日も腹が満たされたとは思えない。これはいつものことだが、音のせぬ間の蒼い世界のおはなしだ。

318 使わぬ手はない

ガガイモの冠毛ガガイモの綿毛が寒空に飛び立って行く。ケサランパサラン。造形の妙にため息をつく。ウィキには蘿藦、鏡芋、芄蘭の文字がある。Metaplexis 属は東アジアに数種あるという。漢方薬のほかに局所止血材、印池、針挿しなどの「草パンヤ」として使われたというがまだまだありそうだ。束ね結わえて髪飾りにもなったであろうに。紐に布、燈心、火口、糊剤で固めると形は自由だし、墨壺や香油、薬液の壺の中綿にもよい。

317 負けてはいられない

マイナス23℃モンゴルあたりに1044hPaの強力な高気圧があって、おまけに放射冷却で、朝7時の気温がなんと-23度。2012年1月28日-19.5℃以来のわが家での新記録です(同日のブログ参照)。のほほんと生きる怠惰の中に有っては、個人的には喜ぶべき記録です。 ポロシャツを湯に漬けてハンガーに掛けたら、数分でこのとおり、しゃきっと立ち上がりました。私も背筋を伸ばして外気にあたらなくっては。

316 未来の環境

ソーラー発電雪を頂く火の山有珠山を背にソーラーパネルが4800枚。ここは北電、伊達火力発電所に隣接したソーラー発電所だ。1970年代、ここの火力発電所建設反対運動は、行政や大企業の思惑ではなく、自らの手で地域の将来と環境を決めるという住民からの意思表示であった。全国的な反公害住民運動と相まって、初めて環境権が取りざたされた時であった。大地があり青空が広がり、人の暮らしがそこにある。

315 紋別岳

伊達紋別岳伊達漁港からの伊達紋別岳。古くから西山と呼ばれてきた。画面中央の尾根道を登りつめ、陽のあたる右のピーク(644.4m)から眺望を楽しみながら左奥の頂上(714.6m)へと進む。低山ながらシラネアオイの群落を楽しみながら歩ける掌中の珠ともいうべき市民の奥座敷となっている。この山の向こう側、暗い雪雲の下は登別市。

314 寒くはないか

ウミウ気温-5℃、風強し。カメラを持つ手は感覚も無く、耳が千切れそうに痛い。波の飛沫が片っ端から凍ってゆく。そんな中をウミウがゆく。北国の野鳥が寒さに強いのはあたりまえだろうが、彼女らに低温にさらされる苦痛の感覚はないのだろうか。背後の浜の吹きさらしで餌を探すカラスの足先には氷が纏わりついていた。過冷却の大地に絡め取られる一歩手前と思ってしまうのだが。