423  逢魔が時

逢魔が時赤トンボが飛んでいた高い空も気がつくと茜色を少しだけ残し、灯点し頃の時刻も過ぎた。薄墨色の鱗雲の影を通して三日月が見える。山の闇に民家の灯りが一つ。祭りも終わり、今日は何と静かなことか。静寂ゆえに何処からか音がきこえる。地虫が鳴くのか耳鳴りなのか。一日の終章、夜への緒言。冷えてきた。足元にはもう露が下りているようだ。

422  滝不動の神輿

滝不動の神輿9月28日は壮瞥滝滝不動の例大祭があり神輿が川を遡った。小学校六年生の少女二人が神輿に乗り、若い衆が担ぐ。流れは洞爺湖からの清冽な水。壮瞥滝はSou-betu(滝のある川)この町の名前の由来である。地方の勢いが小さくなっているというがこの町を物語る特筆すべき祭りだ。かつては数千人の人出で賑わったという。大地、海洋、四季折々、地方に伝わる祭りを大切にすべきである。

421  流れ藻を食べて

コブハクチョウ洞爺湖には渡りをするオオハクチョウ、コハクチョウの他に周年居ついているコブハクチョウがいる。北海道のコブハクチョウは1975年に大沼公園に導入されたという(北海道外来種データベース;北海道ブルーリスト2010による)。その末裔かどうかは分からないが、毎年、洞爺湖の湖岸のどこかで抱卵し、雛が孵っている。9月26日、昭和新山側の湖岸で1羽、北岸の水の駅付近で3羽ほど、洞爺湖温泉で2羽、見られた。

420  70歳の風貌

昭和新山ドーム山頂部の溶岩ドームを残して昭和新山は屋根山全体が緑の植生に覆われている。1944年に噴火が始まって大地が隆起してできた山である。画像でのドーム右側の灰色がかった部分は推状したデイサイト質の熔岩。頂上の臙脂色の三角部分は押し上げられて天然煉瓦化したもとの土壌で、河原の丸石が含まれる。手前の緑の中に白っぽく見える部分は11万2000~11万5000年前に噴火した洞爺湖カルデラの噴火堆積物が押し上げられたものである。

419  群青の波

洞爺湖彼岸もすぎて秋の気配がする。北からの風が吹くと波は南岸に収斂して三角波となる。澄んだ湖水は高い空の青さを吸収して群青色。蝦夷富士の名を持つ羊蹄山は大気にあらかた溶け込んで青い影だけになった。秋本番はまだだが十日もすると色づき始める。「この夏は暑かった」と思うのは私の歳のせいだろうか。キノコの出が少なかったし、山の土壌は夏のまま乾ききっている

418  かわいそう

シマヘビ「あ、轢かれてる」。車を止め近づいてみるとシマヘビの子どもだった。「あら、かわいそう」通りかけたご婦人からも声が飛んだ。幼蛇の模様を残したきれいな蛇だ。先日、8月26日のブログ「405 青大将」とほぼ同じ場所の壮瞥町町役場まえ。遊具がある公園の入り口だ。ヘビがやって来る環境があるなんてここはいい町だ。轢かれちまった子どものヘビにはかわいそうだが。近くの藪まで運んでやったが、幼い生きものが死ぬなんて、ああ、かわいそう。

417  縄文の水

縄文の水伊達市若生町(わっかおいちょう)に古くからの湧水があり、水神の碑があり、シナノキの巨木が残っている。山田秀三によるとwakka-o-i(水・ある・処)の意で、澄んだ水はエントモ岬近くまで流れ草地に消えるという。ここは7、8千年前に有珠山が山体崩壊した流れ山の地形である。この水は縄文の昔からここに住む者の生活を養ってきた。近くには厚い層の貝塚と遺跡がある。すくって飲んだら実に旨かった。暮らしを乗せ、時を乗せ、水は流れる。

416  北海道の虫手拭

虫手ぬぐい北海道の虫たちがいっぱいプリントされている手拭をネットで買った。ウスバキチョウからサッポロフキバッタまで嬉しい顔?が揃っている。標本箱の中の整えられた形態ではなく、身近に見られる自然の姿なのがいい。種の判別が一目瞭然のイラストも嬉しい。どうやって飾ろうか。シャレた額がお似合いだ。

415  次の世代が育って

ドロノキ林1944年、昭和新山が噴火してここは火山灰に覆われた。発芽がしたのはドロノキ。日光の下70年経って立派な林になった。今年はマイマイガの食害を受けて林内が透けてよく見える。光の少ない林内ではドロノキは発芽できず、ミズナラ、センノキ、ミズキ、などがあとに続く。あと30年もすればドロノキの寿命がくる。このようにして林は遷移し、極生相としてこの地の安定な原生林になるのはあと100年も先のことだ。

414  香りのハナビラ

ハナビラタケ知り合いから「これ何ですか」と純白のキノコを頂いた。ずいぶん大きな株だったそうで、もちろん「何処で」は言わないし訊かない。「食べました、美味しかったです」と味の評価も添えてキャベツ1玉くらいのを頂戴した。即座にハナビラタケと判断した。40年前、蓼科山で採ったが、それ以来食べ頃のには出会っていない。炊き込みご飯、マリネにしたが、色、味、香り、歯触りすべてに最上等品。ごちそうさま。