916 自然ガーデン

ノイバラ10年ほど前、家のすぐ前の牧草地の向こう側は、カラマツ、トドマツの防風林であったが伐採された。今はヤマグワ、ミズナラ、ミズキ、クリの若木が成長しつつあり、オオイタドリ、オオブキも風に乗りやってきた。この季節はフランスギク、ジキタリスが咲き誇り、ノイバラも満開で、なんとシロハマナスも。短時間のうちに林が再生してゆく。なんと強かで、かつ豊饒なことよ。

915 だまし絵

アカゲラ庭のすぐ近くで野太いドラミング。台風で中程の折れたクリの大木に何かがいる。目を凝らしたが、音の方向は判るが、ちらつく形が定かではない。振り返ってくれた眼でアカゲラと判明した。後頭部の紅色は茂みに溶け込んでいた。木洩れ陽模様の一張羅が、だまし絵を完成させていたのだ。もうすぐクリの花の季節。長い穂状の雄花が見える。秋の豊饒を促す暑い夏はもうすぐそこだ。

914 田園の虹

田園の虹ミルクと卵を買いに家を出たら大きな虹を見た。家のすぐそばのビート畑の向こうに、午後4時の低い虹。 今までたくさんの虹を見たけど、この虹には心を奪われた。この町には森も湖も火山も、川も畑もある。鳥も虫もいる。そしてこの虹だ。この虹を見たくて、ここの町に住みついた。街の人に自慢できるよ。ここにはすべてがそろっている。     2018年6月20日、15:48、壮瞥町滝之町の虹。

913 クズの勢い

クズの根茎アルトリ岬近くの海に面した斜面から、大量のクズの根茎が見つかった。暖地のものにはかなわないが、径10㎝近いのもあった。葛澱粉、葛布で知られていたが、今では高速道、鉄道敷、樹木への害が深刻だ。道央が北限だったが、さらに北上中とも聞く。ヨーロッパのイタドリ同様、北米では日本から持ち込まれたクズの処置に悩んでいる。人類の生活圏の拡大に伴う生態系の撹乱は留まるところを知らない。

912 有珠山山体崩壊

有珠山山体崩壊有珠山はかつて富士山型の火山で、7~8000年前に噴火湾方向に大きく崩壊し、流山地形や有珠湾などが形成されたと聞いていた。だが、崩壊したのはもっと古い年代という説が縄文遺跡研究グループから報告され、興味津々だ。山体崩壊の資料採取勉強会が行われ参加した。分野の異なるいくつもの研究結果が提唱され、論議されて定説が導き出される。年代測定法が進歩した今、目が離せない。面白くなってきた。

911 流された木の実橋

流された木の実橋2000年の有珠山噴火では、金比羅山火口からの熱泥流で水路工にかかっていた国道230号線の木の実橋が流された。木の実橋は87m流され、町営温泉の建物と共に火山遺構として残されている。橋の上には泥流の土砂が残り、コケ類、乾燥に強い草本、ドロノキ、ヤマナラシ、カラマツなどの木本が生育中だ。手前、橋の上の街路灯横の樹はヤマナラシ、その向こうの数本はドロノキ。

910 幸連(こうれん)5遺跡

幸連5遺跡津軽海峡に面した木古内町幸連5遺跡の遺跡見学会があった。海成段丘上、4000年以上前の縄文中期の遺跡で、大規模盛土遺構、幾重もの大型住居跡について説明を受けた。フラスコ状を含めた100基以上の土坑から生業のたくましさが伝わる。さらに時が経った10世紀、遺跡の上に降りそそいだ白頭山テフラ(B-Tm火山灰)の白い堆積を示され、時の流れと遺跡で生きた先人達を思い、その重い意味を足裏にしかと感じた。

909 Snow-In-Summer

Cerastium sp.噴火遺構の荒れ地でこの花を見つけた。オオバナミミナグサ、タカネミミナグサなどと同じ Cerastium属。梅沢図鑑、佐竹義輔らの平凡社図鑑にも近い種がたくさん載っている。気が付くと、ご近所さんの庭や石垣でも咲いている。この爽やかな純白さはひときわ目を引く。園芸種で調べると Snow-In-Summer の名でガーデニングの世界的普通種。名はナツユキソウ。この際、標準和名はともかく、是非我が家の庭にも一株。

908 Eureka !

ノロ頁岩を探しに入った胆振幌別川で黒く重い岩石を拾った。持ち帰り量ったら1154g。容器いっぱいの水に沈め、溢れ出た水の量は513g。故に計算上の比重は≒3.03。重くて有名なアポイジオパークの橄欖岩は≒3.0だがこれと違う。川の中流、鉱山町の精錬所には1908年高さ5.5mの溶鉱炉が3基作られたという。わかった。これは炉の残滓・ノロなのだ。アルキメデスに乾杯。ユーレカ!

908 シコタンタンポポ

シコタンタンポポ昨年はこの場所には一株も確認できなかった。2015年には10株ほどあったが、その後見つからず、今年はこの1株だけ。ほぼ同じ場所に復活してくれた。シロヨモギ、ハマエンドウ、ハマヒルガオ、コウボウムギなどの海浜植物に混じって、海の飛沫のかかる場所に咲くニホンタンポポだ。この時期、トッカリショ、マスイチなどの海の断崖にもしっかりと根を下ろしている。