198 リンゴの目覚め

リンゴ園 東北、北海道は今年、大雪の話題で持ちきりだ。だが私の住む町、壮瞥はこの通り50cm位の積雪で、いつもとさほど変わり無い。この果樹園、左から右へ4列はリンゴ右はサクランボウ。果物の町壮瞥はこのような果樹園がたくさんある。3月に入り、雪が締まって来ると枝打ち、剪定作業が始まる。4月半ばにはすべて終え、新芽を迎える。

197 オオハクチョウの大足

オオハクチョウ 昭和新山近くの沼地に、オオハクチョウが来ている。体重はおよそ10kg。米の大袋の重さだ。その気になったらそばにいるカルガモなど踏み潰されそうだ。飛ぶ鳥としては最重量級で、そのための翼の力はひときわ強く、ボートを漕いでいて頭上を飛ぶオオハクチョウに出会うと、その羽音に思わず身を屈めてしまう。野生の命は力強い。水掻きのついた大きな黒いカンジキ足は雪上で力を発揮し、他を寄せ付けない。

196 銛をうつ淑女

Dr. Eugenie ClarkBSアーカイブスでユージニー・クラークさんの姿を見つけた。ニューギニアの奇妙な魚、コンビクトフィッシュのドキュメンタリーフィルムだった。海洋生物学者で母親は日本人。「銛をうつ淑女」(1954発行)で知ってからの、私の憧れの人であった。お会いしたことは無いけれど。

半世紀前、フォルコ・クイリチの「青い大陸」、クーストーの「沈黙の世界」が上映され、日本中の海好きはみんなこれにやられてしまった。私も“もぐり”が好きだったので1967年、潜水士の資格を取った。それまでのヘルメット潜水ではなく、スキューバ潜水での日本で初回の潜水士免許証交付だったと思う。しかし、教員になったばかりだったし金も無かったので、殆ど素潜りだった。軟体動物の分類を研究テーマにしていて、三浦半島、伊豆や三宅島で水深20mまでを潜っていた。年中、海に浸かっていた時代だった。

あれから幾星霜、“銛をうつ淑女”も銀髪となり、でも実に生き生きとして魅力を失っていなかった。2008年には、優れたフィールド研究者に贈られる Explorers Club Medal を受賞したという。

かく言う私は夏には洞爺湖で少しだけ潜って遊んでいる。今年あたりは有珠の海へ遠征しようか。

195 岩と水と空と

洞爺湖 湖底の岩盤を見透す鮮烈な水に冬の雲が映っている。誰とも出会わない湖畔をゆっくり歩く。音も聞こえず、時もとまったままだ。

一万年の前にも、ここにはこの風景があった。

194 寒中の冷燻

サクラマス、ヒメマス、ベーコンのスモーク この時期はサクラマスの季節。室蘭沖でよい型が上がっている。60cm位のが一尾五、六百円だ。洞爺湖産の立派な冷凍ヒメマスも入手出来たので、ともにフィレにしソミュール液に漬け、風乾して冷燻にする。夏の冷燻は無理だが今の-3℃での30℃前後での温度管理はこれまた難しい。最下段に置いたこの地方自慢の豚肉は冷燻終了後、そのまま温燻に移行しベーコンとする。これらは明後日の昭和新山国際雪合戦会場で提供されるピザに使われる。

193 野生の標

ハシボソガラスの足跡 ハシボソガラスは完全な二足歩行で、お尻を振りながらよく歩く。足跡は右左バラバラ。これに比べてハシブトガラスは、足をそろえて跳ね飛ぶように移動する。よって、開けた地面を彷徨いながら命を繋いでいるのはハシボソガラスだ。足跡の前後の長さは約6cm。さらにその先の強靭な爪。それは命を支える野生の矜持。かつて、爬虫類から受け継いだ立派なつるぎ。おまえは原野の凛々しい戦士。

192 アカミヤドリギ

アカミノヤドリギ 厚い雪雲がひと塊り日本海から飛んで来て、午後2時から3時までの間に5cm程の雪を積もらせた。春めいた陽射しだったのに、昼ドラ一本分、気を抜いた間の午後の一発芸。お陰で、ナナカマドのヤドリギも淡雪を纏ってこの通り。クリスマスならお似合いの風情だが、この時期になると赤い実も腹の空いた野鳥の腹に収まって、もの足りない。でも、ひとしきりいい雪だった。

191 あられ氷・真砂仕立て

洞爺湖岸の氷  明け方にかけ、毎朝きまって-10℃前後に冷え込む洞爺湖畔。砂粒を閉じ込めて凍りついた氷を見つけた。透明無垢、清冽な水が、強い風の下で飛沫とともに砂の粒子を巻き込みながら、瞬時に凝結したのであろう。天然の純正な素材が、妥協ぬきの過酷な経過の中で作り上げた冬のデザートの逸品。真実の味を求める御諸賢、寒気と水と岩石の味を賞味あれ。

190 白きたおやかな峰

徳舜別山(左)ホロホロ山 落輝を映して淡く暮れかかる双耳峰、徳瞬瞥山(1.309m、左)とホロホロ山(1322m)。壮瞥から遠望するこの山はオロフレ山、来馬山と長い稜線で繋がり、これらはいずれも70万年-60万年前に噴火した第4紀の火山である。徳瞬瞥山とホロホロ山はその秀麗な姿と自然の豊かさから愛好家に慕われてきた。厳冬期の今は、ただ輝くその姿をほれぼれと仰ぎ見るだけだ。

189 洒落者アカゲラ

洒落者・アカゲラ キツツキは啄木鳥と書かれる。啄は「啄ばむ」ついばむ=食べるの意味だ。学名はDendrocopos major でヨーロッパからアジアの寒冷地に分布している。 Dendrocopos は植物をつつく、 majorは大きいの意味で、コアカゲラ Dendrocopos minor に対応し命名されている。裏庭のサクランボウの古木にやって来る後頭部が派手なスカーレットの飾り毛のある雄だ。樹を叩く時の強力な支えとなる、黒い燕尾服の下の腰回りも雌雄そろって派手なこの色だ。