246 海蝕洞

海蝕洞海蝕洞を見つけた。静狩・礼文の中間点。ハイアロクラスタイト(水冷破砕岩)と思われる岩盤の割れ目に沿って浸食が進んでいる。面白いことに崖の上から植物が下りてきている。陸上の草本と海中の褐藻類がこんなに間近に存在している。近くのタイドプールには海草のスガモも。豊かな生きものの世界が太古のままに、ごく当たり前に存在している。この自然の在りようを私たちは大切にしなければならない。

245 棲み分けて

潮間帯秘境の駅「小幌」下車、小幌洞窟遺跡と自然を探る観察会に参加した。みどり香る初夏の小幌海岸、大潮の海は水位が下がっていて、潮間帯の観察にはもってこいの一日となった。潮間帯上部のムラサキインコ、その下部のイガイのすみ分けラインがとてもはっきりしていて、それに伴って生育する生物群集がよくわかる。潮上帯、飛沫帯の生きもの達、潮下帯のワカメ、コンブなどの褐藻類も含め、海の生きものの世界でもここは秘境である。

244 壮瞥滝の地蔵岩

壮瞥滝地蔵岩壮瞥町の名前の由来は安政4年(1857年)地を調べた松浦武四郎の「於沙流辺津日誌」に記された「ソウベツプト」に始まるという(壮瞥町・写真資料集による)。「滝(ソウ)のある川(ペツ)」がこの町の始まりだ。この滝無くしてこの町は無かったということだ。街の中心部は滝之町と言う。近年、滝の姿は変わったが、滝壺近く飛沫の中にでんと居座る地蔵岩を見つけた。この滝がこれ以上姿を変えないようお守り頂く守護地蔵だ。

243 所帯やつれ

ハシボソガラス(雌)わが家の周辺を縄張りにもつハシボソガラスの雌。近所のアカマツの木を追われ、近くの大きなクリの樹に二度目の巣作りが終わって、やっとの抱卵中にまた巣を落とされてしまった。つがいで寄り添って慰め合っていたが、すでに季節は移ろって、三つ目の巣はつくらなかった。いつもなら巣立った雛を連れ、餌やりに精を出さねばならない時期だが、小さな木陰で一瞬のうたた寝をしているのを私は見てしまった。

242 シウリザクラ

シウリザクラ私の好きな花。たくさんの花をつけた総状花序をもち、そのグラデーションが爽やかだ。今年は春が遅く、そのとばっちりで初夏が一気にやってきた。気が付いたらこの花の盛期。季節を探して野山を歩いていたはずだが、今では季節に追い付くのがやっとだ。眩しく見上げると、トチノキもホウノキも六月の風をうけて、もうすでに終わろうとしている。

241 エイノランノウ

エイの卵囊ふふふ、エイの卵囊です。今これを見てすぐに正体を明かせる人は少なくなりました。数十年前、外海の砂浜には流れ藻と一緒に打ち上げられて、よく見かけました。エイ(カスベ)はサメの仲間で、革に似たキチン質のケースの中に鶏卵とそっくりな卵が収まっています。これは室蘭のイタンキの浜で見つけたものです。潮騒も遠くなって、海辺は人々から忘れ去られようとしています。流れ寄る貝殻も少なくなりました。長さ約10cmの命の証し。

240 岩壁の履歴

北風岬猛々しさの少ない洞爺湖畔だが、この岩壁の質量には圧倒される。洞爺湖カルデラが誕生する以前、つまり11万年以前、どこか近い所にあった火山からの火砕流堆積物だという。大きな縦の節理は熔結凝灰岩が徐々に冷却したことを示し、細かい数センチ数ミリ単位の横縞や水平の割れ目は火砕流そのものの堆積を示すという。この露頭に繋がって水面下に広く存在するいわゆる「力岩」の履歴がはっきりした。-湖畔の地質学習会にて学んだこと-

239 コウモリの館

ヒナコウモリの館勉強会があって倶知安町の百年の森へ出かけた。そこでお目にかかったのがこの巣箱。小鳥の巣箱は良く話題になるが、これはコウモリのための巣箱で。この森の管理をしているM氏が作成したものだ。現在はヒナコウモリが利用しているという。ウサギコウモリも同じ樹洞棲なので、利用してくれる可能性もあるという。新緑の明るい光の中ではなく、淡い月光の下でせめて声でも聞きたいものだ。M氏の薪小屋には数千匹のヒナコウモリが集まるという。

238 三つ葉の紋どころ

ツタウルシ遊歩道のわき、蔓性の若葉が伸びている。画面左の丸みを帯びた葉はツルアジサイ、右側の三枚葉はツタウルシ。少し遅れての登場だが、今一番の元気者、強面の登場だ。「この三枚葉が、目に入らぬか」 知らねばそれで済むのかもしれないが、この時期、この三枚葉には注意が必要。野生のウルシでは最も毒性が強く、ツタウルシ皮膚炎はPoison ivy dermatitisと言う。

237 カパチェプ (ヒメマス)

ヒメマス紅サケの湖沼残留型。アイヌ語でkapa=薄い、cep=魚。今季解禁を迎え、最初の網にかかったもので、40cmを優に超す洞爺湖では最大クラス。脂の乗った堂々たる体躯をご覧あれ。スモークサーモンに試作してくださいと預かったもので、身は紅く色付いて、その味はかるく融けるようで、しかもしっかりとしたその滋味は他の種の追従を許さない。ソミュール液に漬け、6月の風に干し、まだ気温が低いのでゆっくりと冷燻にする。