477  名残りの山・オロフレ峰

オロフレ山「三月から四月、雪が硬くなったらスキーを背にオロフレまで登って、あとは徳瞬瞥山 へ向かって尾根筋を詰めてみたいね。」と言ったら「私も一緒に」と言った人がいた。今となっては足腰が全く覚束ないし、賛同してくれた人が誰だったかも覚えていない。湖の向こうに光を受けて輝くオロフレを見た瞬間、そのことを思い出した。

476  揺蕩う春

フクジュソウ眠い所を起こされたのか自ら覚めたのか、根雪が解けたら我が家の庭にもフクジュソウ。去年は3月28日だった。異常だという人もいるが、自然界に変異はつきもの、入学式に大雪のことだってある。気象学では過去30年間の平均値に対して、標準偏差の2倍以上の数値が出たら異常気象と言うのだそうだ。そんなめんどくさいこと、早くやってきた春にはいらない。嬉しいことが先だ。山の斜面で休眠中の虫や花の芽も、アレマァ、と驚いているだろう。

農家の人に聞いたら「生産の場では最も基本的な安全策を取ります、経験で培った平均値で、ことに当たります。早く温かくなるのはありがたいけれど」と言う。発表される長期予報もあまり当てにはできないとも。さも有りなん、ブレがあるのは読み込み済みだ。

475  汚れた嘴

ソメあやまって窓ガラスにぶつかり脳震盪を起こしたシメを庭木にそっと止まらせ、プロフィールを撮った。しばらくしてシメは飛び去って行ったけれど、どうなったのか。群れに留まれなかったもの、飛び方が不自然なものはタカやカラスの栄養となる。

カバ色の頬に黒い縁取りのグラスとあご髭がキャラクター。極端に大きく頑丈な嘴は使い込まれ、かつ汚れている。したたかに生きてきた証しであり、生への執着の現れだ。生きなければいけない。眼はかたっている。

474  天と地が連なって

天地融合二月とは思えない柔らかな冷気の中に昭和新山と有珠山のシルエットが浮かぶ。三日月と宵の明星がすっきりと並んでくれた。慌ててカメラを取り、ISO-6400、1/40秒、f=4,5で写した。こんなシーンはめったにないことだと思い、月齢だけでも正確にと調べていて驚いた。今日と明日は金星に接近して火星が見えるはずだという。

PC上で拡大したら金星の右上に火星が確かに写っておりました。写真でお見せできないのは残念。三日月と火星と金星と、地球の代表、有珠山、昭和新山。ちなみに今日の月のデータ。月の出 / 月の入(室蘭) 07:30 / 20:08、月齢(2.1) 新月→上弦。金星は(-4.0等星)で火星(1.3等星)。

473  春への眼差し

冷たい風を避けて南斜面を歩き、葉を落とした樹々を訪ねる。陽だまりにはすでに光の春がやって来ている。芽が動くにはもう少し時間が必要だが、やがて来る春を探すにはよい時期だ。ヒツジの顔で知られるオニグルミ、針で武装したハリギリ、タラはまだ芽がかたい。トチは樹液を滲ませて展開を待つ。ニワウルシはサフォーク種のヒツジに見える。クズはナマケモノの顔にもお下げの童女にも見えるのだが、、。

472  男前だぜ

アイラインにシャドウも付けて、ちらりとレモンイエローの裾模様。髪は茶髪のストレート。いつも群れで行動し、今日の目当てはアズキナシの残った果実。調べてみたら雄らしく、雌はどういうわけか少ないのだそうだ。毎年どこかでこの連中に出会うが、みな同じ意匠で目が落ち着かない。慌てて目を凝らすが、心をとめる暇もなく姿を消してしまう。どちらで群れるのか知らないが、チョイわる振りも身について、イヨッ兄貴、イナセだね。アイラインにシャドウも付けて、ちらりとレモンイエローの裾模様。髪は茶髪のストレート。いつも群れで行動し、今日の目当てはアズキナシの残った果実。このキレンジャク、調べてみたら雄らしく、雌はどういうわけか少ないのだそうだ。毎年どこかでこの連中に出会うが、みな同じメークで目がチラチラする。慌てて目を凝らすが、心をとめる暇もなく姿を消してしまう。どちらで群れるのか知らないが、チョイワル振りも身について、イヨッ兄貴、イナセだね。

471  天晴れ羊蹄

羊蹄山一週ほど続いた荒天も、今日の午前中は風もなく羊蹄山はこの通り。水も澄み大気もすんで、羊蹄の雪面に雲の影が。こんな風景めったにないが、春先、ふっと気が和み「羊蹄でも見るか」と湖に出かけると出会えるから不思議だ。

古羊蹄は10万~5万年前に山体を形成し、4万5000年前に山体崩壊してニセコ町側にたくさんの流れ山地形を作り、その後今の羊蹄山が出来上がったという。地史も形も富士山によく似ている。若く眩しい火山。いうことなし。

470  卵だけ

タマゴタケキノコ愛好会の仲間のために作った一品。タマゴだけのタマゴタケ。集まりには風邪でダウンして出席できなかったので、写真でお披露目と相成り候。ベースは鶏卵の中華風煮卵で、台湾では「茶葉蛋」としてごく普通の食品である。味はウーロン茶葉、八角、シナモン、生姜、紹興酒であり、醤油味で二日かけて完成。ご本尊の赤いタマゴタケは室蘭産ウズラ卵のご当地ものにて御座候。この季節は地吹雪舞う地面の下で、あと半年先を夢見てひたすら熟睡中だ。今年の夏、深い山の林床で出会えることを願いながら、こちとらもまた、首にマフラー巻き付けて半身は布団の中の沈澱中。

469  樹林に暮らす

樹林で暮らす湖に沿って歩いていてトドマツの樹冠の下に小さな家を見つけた。薪で暖を取り煮炊きをする暮らしがある。後は葉を落としたカラマツ林。シカがいてキタキツネがいてそれとユキウサギ。あと三月もするとカラマツに新芽が萌える。鳥たちが戻ってくる。今は本を読む季節だろう。厳しいが質素と静寂が贅沢。煙突の白い煙が黒い林の中に消えてゆく。

468 変わらぬ風景

マスイチセ室蘭半島は先端の地名から絵鞆半島と呼ばれた。エトモとはエンルム(enrumu=岬)によるという。半島の南面は500~300万年前の海底火山の噴出物が堆積した室蘭層と、それを突き抜けた岩脈で構成された100m程の断崖となっている。小さな岬で仕切られた砂浜や入り江が数多くあり、アイヌ地名と逸話が残されていたが岬は削られ砂浜は埋められて古の姿は残り少ない。写真の右の岩はローソク岩でアイヌ名は残っていない。左は岩脈が海に取り残された岩で白く見えるのは雪ではなくカモメの糞。マスイチ(マスイ・チセ=カモメ・家)の語源となった岩であり岩の近くには海蝕洞がある。この浜には降りて行くことができ、人の手の入っていない時代の絵鞆半島に出会える。

手前の断崖の先にも大きな洞窟が口を開けているが、西側の別な浜から岩伝いに行くしか方法がない。この洞窟こそ、白鳥湾(=室蘭港)側のトキカルモイあたりに有ったという「アフンルパロ」からつながり、太平洋側にもあるといわれた伝説の「アフンルパロ」ではないかと私は思っている。