937 遣らずぶったくり

タラノキの花ミルク色のこの花の名前、分りますか。茂った灌木の葉の中から、ひときわ目を引くタラノキの複総状花。晴れた日にはたくさんの昆虫たちが集まります。春の林は透けて道端の柔らかな新芽はよく目立ち、小さな芽まで摘み取られます。春は心が痛みます。美味しいのは分かるけど、茂る葉や花には心を向けず、膨らんだ命を片端から奪い去るなんて、やらずぶったくりというものだ。

 

936 昭和新山物語

昭和新山物語壮瞥町図書館分室で、三松三朗さんによる、昭和新山の予兆地震から噴火、ドームの誕生、終息までの話が聞けた。三朗さんの穏やか語り口から、この山を愛し情熱を持って誕生の記録し続けた郵便局長・三松正夫の人となりが伝わってくる。終戦間際、軍部からの報道、研究者への理不尽な圧力などのエピードも交え、充実した講演会だった。次の噴火はいつ来るかはわからない。それぞれの心に重い何かを残してくれた。

935 幸内の地すべり

幸内地すべり札幌からの地学の巡見に参加して、長流川流域の地質を学んだ。蟠渓の下流、右岸の上久保内と向かい合わせの左岸の幸内(こうない)地区が同時に長流川方向に地すべりを起こしているという解説だった。幸内側の町道がこの数年不通だった原因はこれだった。枝道の写真を撮ったが、段階状に落ち込み、舗装面には亀裂が入っている。農地も広範囲に歪み移動しており、この地域に生活する人達にとっては重大な事態だ。

934 セイヨウトチノキ

マロニエマロニエはトチノキの園芸品種、と思っていたが、セイヨウトチノキの名があり学名も異なる別種。思い違いに面食らっていたら、知り合いがマロニエの実を提供してくれた。棘のあるその実は一目瞭然、自らの能天気さに呆れてしまった。どちらも古代からあく抜きをして食用とされていた。在来のトチの実(右)の鞣し革然とした風情もいいが、この際、マロニエも育ててみようか。

933 サッポロマイマイ

サッポロマイマイ有珠山ロープウェイ山頂駅から火口展望台へとのびる遊歩道には、子供たちが喜ぶ小動物が顔を出す。夏の空色の縦縞の入ったトカゲの子、組み立て細工のまん丸ダンゴムシ、モコモコ歩くクマ毛虫。それとこの、スッキリ模様のサッポロマイマイ。足元の地面に近い子供のきらきらした眼は好奇心と直結だ。しゃがみ込んだ子供の勝ち。大人は息を整えながら、遠く続く噴火湾の海の風景をぼーっと眺めている。

932 夏の花飾り

エゾニワトコの赤い実2000年3月31日の有珠山の噴火で、洞爺湖幼稚園は廃園となった。教室の中は荒れてはいるがまだそのままで、朽ちんとする床の上には苔類、シダ植物が生育し、あたかも森の暗い林床といった感じだ。窓際には風や野鳥に運ばれた樹木が生い茂っている。壊れた窓ガラスから、エゾニワトコが赤い実をたわわに付けている。夏の日の花飾りだ。園児たちはもう社会人となった。

931 黄昏・大有珠

黄昏の有珠山きっと、紅く染まるぞ、と思ってカメラを抱え隣家の土手に陣取った。斜光は水平になり、やがて空は茜色染まっていったが、その前のこの光が良かった。金泥を薄く溶かしたような、落ちんとする西日の光芒が有珠山と昭和新山のドームを包み込んだ。ほんのつかの間の事だったが、夏の日の夕まぐれ、至福の瞬間を味わった。

930 浪費する生態系

ムラサキイガイの稚貝伊達港の岩壁の上に光沢のある黒い砂山があった。近寄ってみたら米粒大のムラサキイガイの稚貝の堆積だった。俵に入れたら黒米だ。定置網を引き揚げ、積み上げて干した跡らしい。生物の世界は壮大な浪費の上に成り立っている。北の海は潤沢だとはいえ、この、いのちの散財は何だ。一緒に10種類ほどの貝類が見つかった。写っている貝殻はエゾワスレ、巻貝はエゾヨウラク。

929 大きなクリの樹の下で

クリの花序この町にはクリの樹が多く、農家の裏庭に堂々たる老木が枝を広げている。クリーム色の雄花が樹を覆い尽くして、クリの花の季節になったと横を通りながらふくよかな香りを楽しんでいたが、今見るとすでに雄花は色を失い、花序の基部につく雌花はすでに小さなクリとなっていた。秋、クリの樹の下で、子供と一緒に実を拾う若いお母さんなどを見ると、満ち足りた感じがわいてくる。

928 ストロー・Straw

ストロー・Straw麦秋のシメは、この麦刈りの終わった黄金色の麦畑。向うに有珠山(左)と昭和新山(右)。いま、プラスティックのストローから紙のストローへと見直されているのだとか。そんなことでは無いでしょう。使い捨てプラスティック全体が問題でしょう。本来、ストローとは麦わらのこと。壮瞥町自慢のリンゴジュースを近所の小麦畑の麦わらストローで飲んでみた。美味しかったね。大地の味がしたよ。