931 黄昏・大有珠

黄昏の有珠山きっと、紅く染まるぞ、と思ってカメラを抱え隣家の土手に陣取った。斜光は水平になり、やがて空は茜色染まっていったが、その前のこの光が良かった。金泥を薄く溶かしたような、落ちんとする西日の光芒が有珠山と昭和新山のドームを包み込んだ。ほんのつかの間の事だったが、夏の日の夕まぐれ、至福の瞬間を味わった。