1058 ハマナス

ハマナス海からの明るい風が吹いた瞬間、ハマナスの酸味のある強い香りが脳ミソを駆け巡った。私が育ったのもこのような海岸、その時の砂浜の流木の風景と甘い爽やかな匂いを思い出す。匂いとともに記憶が鮮烈に蘇るのは、生命にかかわる素直で直截的な感覚だからだろう。匂いは思い出も連れてくる。 室蘭イタンキの鳴り砂の浜には、太古からの風景と海浜植物が今もなお残されている。

1057 したたかなスギナ

したたかなスギナジャリ道際にシバザクラと銀葉のナデシコを植えた。花がナデシコに代わるころスギナが盛大に伸びてくる。胞子茎のツクシは気にならないがスギナの繁茂には手を焼く。光合成で栄養するから、理論的には徹底的に葉を摘むと根は枯れるはずだが、数億年前から命をつなぐトクサ科のこの植物の強かさには追いつけない。成り行きに従って、スギナごと花を楽しむのも悪くはない。