1052 キツツキの食卓

キツツキ食痕洞爺湖畔、キツツキが食べ散らかした木くずを撮っていたら、「写真ならこっちがいいよ」と小さな女の子が教えてくれた。啄んだ孔の奥、春の光を受けて朽ちた樹の木部に虫の見事な食痕がみえた。「眼がいいのだね、君は」。気が付かなかった。キツツキの狙いはこれだったか。昆虫だと思うがそれから先は不明。食卓についたのはアカゲラだと思うが姿は見ていない。樹はアズキナシ。

1051 バッコヤナギ

バッコヤナギまだ冬色の林の中に柔らかな黄色を見た。近づいてみるとヤナギの雄花、春の陽に輝くバッコヤナギの雄花だった。淡く光る軟毛に包まれた「ネコ」は、川辺のネコヤナギほど可憐ではないが、膨らんで雄蕊を盛大に展開し始めると負けず劣らずの豪奢な金毛のネコとなる。野山の生命全てを甦らせる春は、溢れんばかりの土の匂いと若葉の色で、野山を惜しみもなく満たしてくれる。

1050 今日の昭和新山ドーム

昭和新山ドームいつもの年より早い春。今朝、4月6日は薄い積雪があった。その雪も午前中に溶けて新山ドームにしみ込み、山頂は白い噴気に覆われた。湿度が高いのと気温が低いこともあって、久しぶりの火山ドームを見た。東風に立ちむかう、荒ぶる姿にも見える。 この溶岩ドームの地下深く、かつて溶岩だまりから延びていた岩体がまだ余熱を持っていて、そこからの熱補給なのだろう。

1049 生命潮流

ハクチョウ遥か高い空を小さく鳥が飛んでいる。望遠レンズで写し、拡大したらハクチョウだった。二羽だけ、方向は北。あの高さから何処まで見通せるのか。ただひたすら羽ばたき、啼き交わし風に乗って、ついにはシベリアにたどり着く。導く本能には理由や目的はない。何があっての、なぜの二羽なのか。私にはわからない。巡ってきた季節を見下ろし、時の奔流に乗るいのち。生命潮流。