海中で褐藻類が繁茂するのは、陸上の植生とは違い冬から6月までだ。それにしても、この青さはどうなのだ。まさしく黒潮系の色だ。海底の岩の表面を覆う石灰藻が透けて見えるのだろうが、親潮の影響の強い太平洋側ではお目にかからない水の色だ。茂津多トンネル(1974m)と狩場トンネル(1647m)の間の、人里離れた小さな入り江。駐車場に「茂津多岬」という石碑があった。
月別アーカイブ: 2016年7月
663 トッカリショ
室蘭港の裏側にこんな風景があるのをご存じだろうか。トッカリショは太古からの自然と人の生活が織りなす第一級の風景(ピリカノカ)だ。トッカリとはアザラシのこと。草地の下の断崖は海底火山の噴出物の堆積でできた室蘭層でイタンキの白い岩壁とつながり、成分の違う凝灰岩の層が傾斜していく層にも重なっている。小さな浜には何代も続く漁師たちの家がある。
私たちは工業を振興し港を盛んにする中で、このような美しい風景を捨ててきた。いくつものアイヌの伝説を伝え、人々の心に安らぎを与えてきたオイナオシ、オハシナイ、祝津(シュクズシ)、エトモの海はすでになく、電信浜、ポンモイの海岸は姿を変えた。砂浜は埋められ、岬はコンクリートで囲われてしまった。トッカリショに続くイタンキの浜が、海辺の生き物や鳴り砂の浜を守るという人々の熱い思いで守られているのが救いだ。
オイナオシの浜に続く栽培水産試験場が造られた場所は、豊かな海藻とスガモの藻場のある岩礁地帯であった。海の生物たちの揺籃の場を破壊して造成された施設は、祖先から譲り受けたありのままの多様な生態系をどのように補えるのだろうか。埋め立てでできたMランドという名の堤防の先は、いままさにピリカノカ・マスイチの絶壁を窺がっている。
662 百年の森
661 クワの実
660 アマツバメ・雨燕
659 むかしむかし1万年
658 琥珀色の雫のような
657 語り継ぐ
656 暮らす
655 待ってました!
洞爺湖畔で偶然サンショウの樹を見つけたのが10年前。毎年若い葉を摘み取り、会津本郷窯のニシン鉢で身欠きニシンの美味しい会津漬けを楽しんでいたが、この樹は雄株で実は付いていなかった。サンショウの分布域の北限は北海道南部。洞爺湖中島には立派な群落がある。室蘭の中国料理店の庭に良く育った樹を見つけた時は実に羨ましかった。
爾来、苗を貰ったり買ったりして植えけど、みな雄株ばかりだった。数年前から育てていたサンショウに雌花を見つけ、小躍りしたのはこの春のこと。今朝、その半分の一握り程を収穫し湯がいて冷凍保存した。塩蔵でも良いという。残りは秋に割れた黄色の殻から真っ黒い種子がこぼれるようになってから収穫する予定。やっと自家の山椒の実で漬物や佃煮の味付け、大好きな麻辣(マーラー)味の麻婆豆腐が楽しめる。