409  枯れ木も山の大賑わい

北のアジサイ紫陽花が満開で。この写真のアジサイの花、半分はドライフラワー。北海道ではこの花は8月前後から咲き始める。それからが大変だ。10月霜を受け、11月には初雪となる。1月2月は吹雪に晒され爽やか色も抜け落ちて、試練を乗り越え生成りの色にたどりつく。根雪も溶け新芽を経てのこの季節、周年咲き誇る万年花。ひょっとするとこの中には3年目の花もあるのかも。めでたいね。

408  収穫への配慮

つがる早生の品種の「つがる」が日増しに肥大して行く。「この分ならあと半月もすると」などと採らぬリンゴの玉算用をしていたが、枝先にぶら下がっていたリンゴに傷を見つけた。この間の大風であおられて隣りの枝の剪定した切り口に当たったらしい。リンゴの摘果の留意点は沢山あるがこれは基本のき。「枝先に実を残すな」だ。壮瞥町はリンゴの町。笑われるぞ。

407  キイロスズメバチ

キイロスズメバチ朝、庭食をしていたらキイロスズメバチが皿のバナナに集まって来た。最初は一匹だったのだが。10分も経ったらこの通り。庭のツタの繁みの中の花に集まっているのは知っていたが、、。普段はツタの横を通っても手で追い払っても別に問題はないのだが、食べ物に夢中になっていると攻撃的にもなる。何とか皿から追い払い退散ねがったが、次の朝もやって来て、この時は明らかに気が立っていた。

406  未来への開拓者

カツラの大木の下に集まって壮瞥町の子ども郷土史講座は今年で32年目。火山とともに生きる町で沢山の子どもたちが育っていった。今年は有珠山登山学習会、昭和新山学習登山会、洞爺湖の自然生態の学習会が行われた。4回目の今回、私も参加し「紫明苑で学ぶ歴史と遊び」で子どもたちと学び遊んだ。紫明苑は開拓時代のシンボルとなる建物と園地だ。その歴史を知り、独楽まわし、けん玉、糸でんわ、紙ひこうきなどで遊んだ。子供たちは一つのテーマ、15分も有れば精一杯覚え楽しんでくれる。全能力で一つの遊びに燃焼しきる子どもたちには到底ついてゆけない。彼らの活力に完敗、彼らの未来に乾杯。

405  青大将

アオダイショウ青大将とは良い名をつけたものだ。緑がかった光沢のある堂々たる体躯。惚れ惚れしてしまう。以前は人の住まいの近くでもっぱらネズミなどを平らげてくれる家の守り神だった。いまでは納屋の梁からぶら下がって「婦女子」の生活と声帯に張りを与えることは少なくなったが、それでも近隣にお住まいで、この町の平地 では時々お見受けする。わが家の近く、町役場の前で「いよッ、大将、どちらへお出まし」

404  夏のくも

オニグモ北辺の地、北海道では「8月のお盆が過ぎると秋風が立つ」といわれる。残暑が残る頃、海で溺れたりすると「お盆を過ぎて泳ぐからだ」と決してよく言われなかった。今年は盂蘭盆に入った辺りから空が高くなった。庭のオニグモはもうでっぷりと肥ってご健勝にこの夏を過ごしたのであろう。

大有珠を絡め捕ったる夏の蜘蛛                                                  仁左

403  ノラニンジン

ノラニンジンニンジンの野生化種なのか、原種なのか分からない。Wild carrot として欧州、北米にも分布する広域分布種だ。少しニンジンの香りがするという根は硬くて食用にならようだ。散形花序の中央の赤褐色の飾り花弁はよく目立って、花にとまっている昆虫にも見え、飛翔中の仲間を誘引する役割を持つのかもしれない。イングランドのアン女王がレースを編んでいたとき、指先に針を刺して流した血の一滴だともいう。

402  わが家にも壮瞥穴

壮瞥穴隣地との境界に壮瞥穴が見つかった。このところの雨水が流れ込んで出現したようだ。壮瞥町滝之町一帯にある直立したまま埋もれた巨木の跡の空洞である。腐食した樹が残っている場合もある。この近辺で10カ所くらい確認している。7千~8千年前の有珠山山体崩壊の一部が長流川を堰き止め、壮瞥町が湖水になった時の埋もれた林との説を私は信じている。開拓時代には農耕馬が嵌ったとか子供が藪へ入らぬようにしていたなどの話が残っている。

401  夏はハンモックで

ギンモンハモグリガ庭の果樹の面倒をおざなりにしていたら、リンゴに枯れた葉が目立った。近くの葉の裏には細長い繭がいくつもついている。幾本かの太く束ねた糸に支えられて繭が浮いている。針の先ほどの「みどりご」はここで蛹として仮の眠りをし成虫へと羽化する。成虫の翅の紋も透けている。成虫は樹皮の襞などで長い冬を耐えに耐え、来年また子を産む。「ギンモンハモグリガ」がこの虫の名前。葉肉のみを食害するそうだ。

400   目先の日々

ニホンアマガエル痩せたアマガエルがガラスの向こうを這い上がってゆく。雨脚はやっと遠のいて、いま、こいつは何を考えているのだろうか。登りつめると何があるというのか。何かのきっかけで登り始めた垂直面。次に続く時間を彼は知らない。手足を順序に従って前へ送る。明日のことは考えたことも無い。