747 山の端の月

三日月季節が移り「新しい月に抱かれた古い月 」が1月1日の月(ブログ717)より30度近くも北に落ちた。ドンコロ山のまだ冬枯れの稜線だ。「地球照」の錆色の古い月を、透けた林の向こうに撮りたかったが、薄赤い部分は写らなかった。月も明るいが地球の反射能は水や雲、氷雪により月の数十倍あるという。かつて見た月の地平線に浮かぶ青い地球の写真を思い出した。緑なす美しい地球。

 

746 光る山巓

有珠山山頂春分の日の午後3時。陽は有珠山頂のアイスバーンに反射し山巓はてらてらと輝いた。1977年噴火とその後の潜在円頂丘のせりあがりで、人々が馴染んでいた大有珠のドームと立岩は崩壊し、山頂は崩れながら岩塊を乗せ北へ300mも移動した。白く見える雪面は岩屑の堆積斜面だ。あと20年もすると植生は回復し、やがて緑に覆われる。だがそれは、このまま山頂噴火がなければの話だ。

745 残雪のホロホロ

ホロホロ山三月末、有珠山からのホロホロ三山。左から徳瞬瞥山(1309m)、ホロホロ山(1322m)、1260m峰。春めいた雲の下、たおやかな山脈は山好きにとって蠱惑的に見える。徳舜瞥山は思ったより登りやすく、自然を楽しみながら山頂へ、さらに奥のホロホロまでは片道3時間。一日楽しめるコースだ。三山含めて大きな火山だ。白老あたりからの室蘭本線の車窓からも美しい。

744 エゾイガイ

エゾイガイイガイを道南地方ではヒヨリガイという。大型で安かったが産卵期が終わったのか身は痩せていた。左上がエゾイガイ Crenomytilus grayanus 左下は殻が細身でイガイ Mytilus coruscus と考えたがエゾイガイ。右2個は エゾヒバリガイModiolus modiolusで属が異なる。イガイ科 Mytilidae の大型3種同時に買えたと思ったが残念ながら2種だった。産地は白老産と表示されていた。

743 大岩塊、昭和新山ドーム

昭和新山ドーム熱気の残る昭和新山ドームは降った春の雪を溶かし、水気は溶岩表面を覆う天然煉瓦に滲みこんだ。緑のない岩石の地肌はいやがうえにも赤く、有珠山ドームの輝く雪と対照的だ。あと二月待って五月の風が吹くと、小さな草地も回復し、岩山は柔らかな新緑に覆われる。今年は有珠山 (733m) に登れるだろうか、昭和新山の頂上 (398m) に立てるだろうか。壮瞥町立香から300㎜で撮影。

742 イタンキの岬

イタンキの岬イタンキ浜を見下ろす室蘭ユースホステルからのイタンキ岬(手前)。知里・山田の「室蘭市のアイヌ語地名」(1960)には岬の向こうがポロイタンキで、沖合に小さなフンベシュマ(クジラ岩)があり、手前がポンイタンキ、砂浜はハワノタ(音する浜)という。向うの大きな岬は標高107mのワシベツノツ(鷲別川の岬)。二つの岬は相似形で一般には手前の岬をクジラ岩といっている。

741 山へ帰るキタキツネ

キタキツネ早朝、道を横切り根雪の残る麦畑を通って山へと向かうキツネに出会った。月の夜、長流川の川岸で餌を探していたのだろう。明け方は-10℃まで下がった。腹は満たされたのだろうか。痩せてはいないから詮索はしないでおこう。向こうの斜面は立香の山。少し上には新しいバイパスの工事が進んでいる。彼らの住む世界がだんだん狭められてゆく。

740 チャラツナイの浜

チャラツナイ久し振りに室蘭のこの磯に立った。北大の海藻研究所は今はなく、敷地は波で崩れかかっている。風景にも海の中の様子にも思い出が沢山ある。50年前、ここでよく泳ぎよく潜った。向うの尖った岩礁はムカリソで小舟が通れる洞窟があり、夕日が壮大だ。浜の名の由来の滝もまだ残っている。足元の干上がった潮間帯には、優占種のムラサキインコの群落が広がり、今が実りの季節だ。

739 トドマツの球果と種子

トドマツの球果と種子トドマツはモミ属 (Abies) で、トウヒ属 (Picea) のエゾマツのように松毬が落下しないから球果の入手が困難だ。倒れたトドマツ(ブログ678)の松毬を得て、壁に下げて置いたら触れただけでサラサラと砕け落ち、錆釘のような果軸が残った。種鱗、苞鱗の形態からするとアカトドマツらしい(北海道主要樹木図譜、宮部・工藤・須崎、1986)。翼のある黒い種子の長さは8㎜。

738 長流川上流

長流川上流長流川を遡って大滝までくるとこの先は三階の滝があり、さらに美笛峠の源流までは10㎞。豪雪で聞こえるこの地の川面はまだこのとおりの雪景色。雪消の水はささ濁りだが自然のままだ。この先で1971年に廃坑となった硫黄鉱山からの鉄分の多い水が流れ込んでいるが、観光施設からの冨栄用の排水が流れ込んでいない分、ま、いいか。心安らぐいい雪景色です。