883 1049m峰

1049m峰名前の通った山で、頂上はなだらかな林の中という山もあるが、この山は違う。古く開拓に入っていた人が、「そばやま」と教えてくれた。傍山なのか蕎麦山なのか。稜線の無名のコブ山をよく標高で言うが、ならば1049m峰だ。オロフレ山からホロホロ山への稜線近くにあり、我家の前から15km北にあるこの小さな無名峰、私の冬景色のなかでは、いつも主役で気になる山だ。

882 芽生える

スイセンの芽生え雪が溶けると水仙の芽がここまで育っていた。一個ずつ独立した球根なのに、誰かに声かけられて一斉に眼が覚めたみたいに。季節を感じるシステム、休眠から成長へと切り替える機構は何なのか。個々を連携するフェロモンなどが存在するとは思えないし。蒔いた種子が一斉に解発されて芽を出すのも同じことなのだろう。私は季節の生き物に従い、季節に引きずられて生きている。

881 噴火に備える

噴火防災講演会3月24日、洞爺湖文化センターで岡田弘北海道大学名誉教授を中心に、有珠山噴火に備えての防災講演会があった。有珠山は律儀な火山で噴火に先立つ予兆の地震が起こる。前兆現象を科学者がキャッチしたら、自治体、住民はそれを共有し、被害を軽減する行動をとるべきだ。しかし自然現象は予知可能ばかりではない。自然との共生とは、我々の対応可能な部分と、かつ結果を受容するという両面を伴う。自然が主役だ。

880 変貌した山頂

有珠山山頂この時期、見上げる有珠山山頂部から、前々回の噴火の跡が見てとれる。中央の椀を伏せたような黒い部分が昔から見慣れた大有珠のドームで、ずいぶん崩れている。その右に少し盛り上がっているのが「どびんの口」といわれた尖塔、「立岩」の痕跡。左下から右中ほどへ外輪が続き、高まった場所が噴火口展望台。左奥が有珠新山の隆起につられて大きく動いた現在の有珠山頂だ。

879 やがて北へ

オオハクチョウ遠山には雪が残るが、オオハクチョウの心はすでに春なのだろう、何処か落ち着かない。あとひと月もすると、体に湧きあがる本能に突き動かされ、30羽、50羽と隊列を組んで北へ向かう。一羽が飛んで来て仲間に加わった。大きな鳥だ。「グイッ、グイッ」と、漕ぎだすボートのオールのような、力のこもった羽音だった。繁殖地はシベリア。3000kmもの北帰行が待っている。

878 Spring ephemeral

フクジュソウ根雪が溶けかかった時にはもう咲く準備完了のフクジュソウ。庭のリンゴの樹の根本で毎年咲いてくれる。春になったから咲くのではない。季節を先取りしての御目見えだ。厳冬期に目覚め、花芽も茎も硬い氷のなかから夜明けを窺がっていた。明日は黄金色に輝く花冠を満開にして、熱と匂いで虫を誘い、花粉を運ばせる。春の妖精というが、死んだ雪女の忘れ形見なのかも知れない。

877 誘われてカミキリ

イタヤカミキリ数日前、陽の当たる工房の天井を何かが飛んだ。次の日に食卓の上の梁で見つけ、愛用の図鑑「札幌の昆虫」でイタヤカミキリと同定した。どうやらストーブの横に積み上げた薪から目覚めたらしい。雪のある裏庭の薪置き場にはまだ戻せない。急遽、腰高シャーレにビオト-プを拵え、砂糖水で濾紙を湿らせて置いたら、うまそうに口を付けた。あと一月、付き合ってみよう。

876 早春の頂

早春の昭和新山青空の下、有珠山山頂(733m)を背景に昭和新山のドーム(368m)がひときわ赤い。土壌を焼きあげ、天然煉瓦を纏いながら成長し、まだ地熱を蓄える岩体はいつもこのように春を迎える。樹々の芽吹きはまだだが、枝先の色はもう十分に柔らかだ。今年はどのようにこの山とつき合って行けるのか。植物、岩石、調べたい場所、写真に残したいことがらが沢山ある。

875 次の自然災害

東日本大震災東日本大震災、三陸津波、それに伴う福島第一原子力発電所事故。あれから7年たったが、残された課題は解決されただろうか。あの日の出来事はそのまま過去のこととなり、人々は問題を抱えこみながら生きている。必ずやって来る大災害にどう対応するべきなのか。豊かな自然を享受できる日本は、苛烈な自然現象をも受け止めねばならないが、原発の存在だけは同意できない。

874 氷上のクモ

氷の上のクモ長流川の河原、融けかけたザラメ雪の上をうろつくクモを見た。小振りだが、胴の色や形、脚の運びからアシダカグモを思い浮かべた。でも、ここは北国、それも雪の上だ。この写真を基に調べたらアオグロハシリグモの名が出てきた。北海道にも分布し、水辺にも生活するとなっているが、同定しきれず不明種。クモ類の分類は苦手だ。3月4日は啓蟄だったという。寒さは緩んでいる。