703 麻辣(マーラー)の麻

サンショウの実我が家のサンショウにやっと実がなった。黄緑色は7月2日の収穫で湯がいて冷凍して置いた。 臙脂色のが今回10月末のもので、黒い種子は味がなく播種に回す。この地方がサンショウの北限だ。写真の中華皿の分量で四川風舌のしびれる麻辣麻婆豆腐が2回分。豆板醤、豆鼓、大蒜、生姜、長葱、澱粉、紹興酒、鶏ガラスープに胡麻油。メインは湯がき豆腐と豚あばら肉の微塵切り。

702 黄金の晩秋

カラマツの黄葉たくさんの種類の紅葉が終わり、辿り着くのがカラマツの黄葉。重厚でやや照葉のミズナラの褐色や幹だけになったドロノキの銀色を添えて、トドマツの碧い緑のキャンバスに浮き上がってみえる。植物たちが萌え出す軟らかな緑に包まれる季節もいいが、私はこちらの方が好きだ。自然が持つ巧みな意匠力と豪奢な演出。終わりが良ければ総てが善いことを納得させる力量を持っている。

701 東湖畔へのトンネル

東湖畔へのトンネル以前から聞いていた壮瞥くだもの村から洞爺湖へ抜けるトンネルの工事が始まった。完成すると壮瞥町の幹線R453から上立香橋を経て立香へ、またトンネルを抜けて湖畔周回道路へと繋がる。洞爺湖温泉街と洞爺湖町間の三豊トンネル同様、新しい流通路となる。有珠山噴火時の避難路ともなるだろう。左遠景に有珠山が見える。右奥がトンネル入口で、尾根の向こうが洞爺湖。

700 海の嵐

アルトリ岬8月30日深夜の台風20号の風は猛烈だった。(ブログ675、676、378、679)。アルトリネイチャーハウスの福田火山マイスターは海も大荒れだったという。波は標高4m辺りまで流木を押し上げ、多量の漂着物を残し、多くのボランティアが数百袋のごみを集めたそうだ。アルトリ岬へ続く砂地は抉られ、海浜植物の根がむき出しになっている。南東の風と波が直接この海岸を襲ったのだ。

699 いつもの風景だが

スミレモ属の一種 室蘭市母恋から地球岬へのいつもの道、当たり前の赤い石垣の風景だと思いながら鮮やかな色につられてカメラを向けた。私はこの金茶色の植物を菌類か地衣類と考え、図鑑類を当たってみたが納得できず、ネットで検索をした。苦労しながら辿り着いたのが、なんと母恋の石垣の写真と解説が載ったページだった。石材の吸湿性と母恋の微環境が作りだした特異的な風景だ。(161027撮影)

さっそく研究者の鈴木氏に連絡を取り許可をいただき、引用させてもらうことにした。詳細な解説と見事な群落の写真が載っている。この植物は藻類のスミレモ属の一種 Trentepohlia sp. で、鈴木氏はチャラツナイの浜にあった北大の旧海藻研究所への道すがら、この辺りのオレンジ色に染め上げる風景が見事で興味を持って観察していたという。

引用 http://natural-history.main.jp/Tree_of_life/Eukaryote/Plantae/Ulvophyceae/Trentepohlia_sp/Trentepohlia_sp.html

 

 

698 攪乱の季節

漏斗雲札幌で20㎝を超す積雪があった。低気圧が発達しながら通り過ぎてシベリアの寒気が入ってぐっと冷え込んだ。伊達市から見た噴火湾の方向に漏斗雲ができていた。10分間位のことだが次にもう一つの漏斗雲が。もっと発達して地上まで延びるとミニ竜巻だ。この辺りの農家で作られたビートを使う製糖工場の蒸気が見える。冬の情景だ。気候の変わり目のちょっとした出来事。

697 地の豊饒

大地のトマト何でこんなにトマトが散らばっているのか良くわからない。地面からキノコのように生えたわけでもあるまい。いずれにせよ、大地の養分を根で受け、茎が運び、葉が光合成しての赤い実だ。土の産物である。黒い土に赤いトマトは美しい。美味しかったろうに。              そう言えば今日、11月3日、草間彌生さんが文化勲章をもらっていた。

696 昭和新山秋深し

昭和新山晩秋の落葉樹林。カエデ類も華やかだが、この時期最も目を惹くのがミズナラの黄葉だ。大きく厚い葉はすこし照り葉で、華麗で重厚。明るい黄土色から鬱金色、臙脂、べんがら色。まだ緑が抜けきらないオリーブ色まで揃っている。新緑の季節に感じる高揚感はないが、この綴れ錦の林に分け入ると、心の緊張感が解きほぐされる。気温が下がって噴気が白い。この辺りの初雪は11月初め。この山の季節はまだ続く。

695 昭和へ続く道

フカバ集落への道壮瞥町から伊達市へ南西に延びる道はこの先途切れている。昭和18年(1943)に地震が翌19年(1944)に噴火が始まり、正面の昭和新山となった。激しい噴火の後屋根山ができ、この先600mに在ったフカバ集落は向かって左へ100m以上押し出され、数十m持ち上げられた。今、急斜面の林の中にコンクリート片が残るだけである。かつてのメインストリート。あれから70余年経った。

694 母恋富士

母恋富士土地が無ければ海埋めろ、出ているところは削って使え。環境の多様性や豊かなランドスケープを残すなどとはほど遠い発想で、豊かだった地形は時代と共に変えられた。乱暴な話だ。母恋富士は室蘭層をつき抜いた安山岩の岩脈だというが火山ではない。採石されて姿を変え、まるで噴火口が開いているようだ。港からの素敵なランドマークだった母恋富士。富士の名前が泣いている。