156 キノコのマリネ 投稿日時: 2012年11月15日 投稿者: nizaemon 今年は秋のキノコが遅れ、その分、この季節になっても食卓で充分に楽しめる。私にとってはマリネにするのが一番の楽しみ方だ。さっと茹で、塩と砂糖、穀物酢、イタリア風のハーブミックス、それとトウガラシの輪切り。画像のキノコはムラサキシメジ、ノボリリュウ、たっぷりとした大きさのはヤマドリタケ、つまりポルチーニ。赤いのは味と色でのアクセントのパプリカで、ベニテングではない。漬けて一週間、イグチのとろみが加わって、「アア、美味しい」。
155 霜枯れの中で 投稿日時: 2012年11月6日 投稿者: nizaemon 朝日のあたらない土手の斜面に白く咲いていたキクの花。近くの庭から種が飛んだのか。ノブドウ、オオヨモギ、ヤブマメなどの身近な草たちが霜で白く縁どられ枯れ落ちてゆく中で、まだ凛として、咲くことをおのれの使命としてひたすら匂い立っている。栄枯衰勢、すべてが時間の流れに乗っているとは言いながら、この季節、この小さな花の強い意志に感嘆せざるをえない。
154 痩身のつわもの 投稿日時: 2012年11月4日 投稿者: nizaemon 天井のあたりをひらひら飛ぶものがいる。よく見るとオツネントンボだった。このところ冷え込んできたので、鉢植えを部屋に入れたがそれについて来たらしい。このトンボ、冬の氷点下-20℃を次の春まで持ちこたえる。このまま室内で過ごさせようかと一瞬考えたが、窓を開けて外へ追い出した。きっとどこかで春を迎えるだろう。つま楊枝にも満たない細身だがピンと伸びた翅と胴、そして何よりもこの決意を込めた眼を見ればそう確信できる。
153 激しい噴火があって 投稿日時: 2012年11月4日 投稿者: nizaemon 壮瞥町立香寄りからの昭和新山ドーム。紅葉が残る屋根山とその向こうの大有珠の岩塔も見える。この方角からの屋根山はひと際高く、その上に乗るドームは上の部分しか見えない。山頂がよく見えるようにこの山を一回りすると、この山が随分大きいことと、その山容の多様さに驚く。68年前、2年間に7つの火口を作り、17回の噴火を繰り返した昭和新山。あらためて噴火活動の凄まじさを思い直す。次の有珠山噴火はきっとまたやって来る。
152 ノラニンジン 投稿日時: 2012年11月2日 投稿者: nizaemon 霜を頂に載せ朝の日を受けるノラニンジンの枯れた花冠。放射冷却で冷え込んだ朝はこの通り、病葉も枯れ草もそれなりの白い花を咲かせている。夏、一面に咲き誇っていたノラニンジンの野面は、奇妙に丸まった散形花序のぼんぼりで埋まっていた。この形を何に例えようかと考えたがなかなか出てこない。自然が移ろってゆく過程で見せてくれる造形の妙味だ。
151 往く秋に 投稿日時: 2012年11月1日 投稿者: nizaemon コンと小さな音がして、ガラス越しに下を見たらアカゲラが落ちていた。ガラスに映る碧い空を飛ぼうとしての、突然の衝突事故。そーっと静かにしていれば起き上がって事なきを得る場合もあるのだが、今回はそのまま動かなかった。可哀そうなことをした。秋も深まって黄金色のギボウシの葉の上、赤い飾り羽の小粋な姿がつらく切ない。また一つ、いのちを乗せて秋はいってしまう。
150 ベニテング一家勢ぞろい 投稿日時: 2012年10月31日 投稿者: nizaemon ベニテングタケの赤ん坊から壮年までの勢ぞろい。前出のは老年だろうからこれで一族総出演ということだ。紅色の傘の上の白点は傘を包んでいた「つぼ」の名残りだ。昔はハエの捕殺に用いられたと言うが、毒性は激烈ではないと言う。でも毒キノコのサンプルみたいな蠱惑的な色は、何を意味するのだろうか。虫を呼ぶ誘因のための色なのか、動物への警戒色なのだろうか。
149 アカミヤドリギ 投稿日時: 2012年10月31日 投稿者: nizaemon 洞爺湖岸の月浦にある森林公園に出かけたら、大風で落とされた色とりどりの落ち葉の中に、アカミヤドリギの一枝が落ちていた。近くには宿主となっていたイタヤカエデの黄色い葉を付けた太い枝もある。荒れた後の見つけもの。果実はヒヨドリ、レンジャクなどの野鳥が好み、未消化の種子は粘液の糸を引いて鳥の肛門から樹の枝へと絡まり、そこで発芽し根を張ることとなる。
148 晩秋熔岩山(らばやま) 投稿日時: 2012年10月31日 投稿者: nizaemon 晩秋の嵐が去った後、色付いた屋根山の紅葉もあらかた飛んでしまっていて、灰色の梢の中に疎らに見えるだけだ。西からの風があるせいか東斜面の噴気はまっすぐに上がっている。雨が浸みこんだこと、湿度があること、そして気温が下がったことの三拍子があって、一段と元気そうな今日の昭和新山となった。逆光に照らされた水蒸気は盛んだった往年の山頂を思わせる。
147 釣りの情景 投稿日時: 2012年10月27日 投稿者: nizaemon 日本全土で四季折々、釣りごころある老若男女が釣りに呆けける。いや釣果で糊口を凌いでいるのかもしれない。北海道室蘭の港。ここではワカサギの10倍も質量のある「チカ」と言う、旨い魚を釣る。「唐揚げだけさ」と謙遜するけれどその香ばしい味はなかなか。三枚にし干して炙って食すれば、キスの旨さをも凌ぐ濃厚な旨味が戻り香となって鼻孔に伝わる。釣人はそんなことなど考えず、一心に釣りをする。今日は南の強い風。北国の和みの一日。