166 凍てつく 投稿日時: 2012年12月3日 投稿者: nizaemon 12月になって洞爺湖の釣りは解禁となった。ヒメマス、サクラマス、ニジマス狙いで、立ちこんでのフライ。見えるだろうか、ラインが昭和新山の上でループを描き、有珠山山頂、有珠新山を絡め取るように流れている。釣れると大物、ひたすら竿を振る。1投、2投、キャスティングは続く。悠久の大地と清冽な水。やがて釣る人も景色にとけ、静かさの中で時はゆっくりと凍りついてゆく。
165 山は眠っているか 投稿日時: 2012年12月3日 投稿者: nizaemon どうやら根雪となった壮瞥の市街地から見た有珠山。高く連なるのは大有珠ドームで、頂上は海抜733m、平らにのびるのは外輪(海抜約500m)。緑に包まれた夏の有珠山もよいが、白銀に輝く有珠山はいかにも火山然としていて火山フリークにとっては実に魅力的な山だ。だが、次の噴火はいつなのか。山は眠っているか。眼ざめはいつか。手前の建物は壮瞥町役場。
164 北国の常緑広葉樹 投稿日時: 2012年12月1日 投稿者: nizaemon 薄氷の張る壮瞥川の岸でツルマサキの赤い実を見つけた。この地域の常緑の広葉樹はこの外にエゾユズリハ、フッキソウ、ヤドリギなどがある。厳しい冬の始り、緑の葉と朱色の実は小さな安らぎと喜びをくれる。冬の陽を受け光合成をおこない、この葉も暖地の照葉樹と同じく、新芽が葉を広げた後に初夏の繁みの中で葉を落とすのだろう。
163 マントの中で 投稿日時: 2012年12月1日 投稿者: nizaemon 近くの廃坑でコウモリを見つけ、研究者に尋ねたら、キクガシラコウモリ類 Rhinolophus sp.ではないかという。驚いた。一度出会ってみたかった。オオコウモリの飼育に係わったことがあるし、アブラコウモリならよく知っている。キクガシラ類はほかのコウモリ類とは眷属を異にし、ひと際存在感のある御面相をしている。いまは狩衣に身をつつんでの冬眠中のこととて寝顔も拝せないが、春を待って、すっぴんの美形と出会いたいものだ。
162 斑猫 ハンメウ 投稿日時: 2012年12月1日 投稿者: nizaemon シナモン色のミズナラの葉の上に光るものを見つけ、眼を近づけて見たらなんとメノコツチハンミョウ。10月の中島探索会では毎年出会っていたが。カンタリジンという強い成分を持ち、昔から「斑猫」の名で漢方の世界では隠然たる幅を利かせていた。だが分類上のハンミョウは全く別のグループで薬効はなく、成分と名に混乱がある。かつて日本薬局方にも載っていた薬品で、朝鮮王朝時代劇ではストーリーを進めるキーポイントの毒薬として幾度か登場した。
161 トクサ・砥石ではなく砥草 投稿日時: 2012年11月21日 投稿者: nizaemon 洞爺湖湖岸のトクサの群落。シダ植物門トクサ綱トクサ目トクサ科トクサ属属名 Equisetum は馬の尻尾。 古生代石炭紀(約3億年前)に栄えたロボクの仲間だ。同じ属にスギナがあり、その胞子茎(ツクシ)を見ればトクサの形態が納得できる。トクサは砥草、束ねて硬い表面で木地や什器を磨く。歯や爪を磨くことを子どもの頃、誰かから教わった。誰かが伝える。大切なことだ。
160 黄金色の冬仕度 投稿日時: 2012年11月20日 投稿者: nizaemon 昭和新山の屋根山の斜面のカラマツの疎林。針葉樹はトドマツ、白い幹は早くに葉を落としたドロノキと、シラカバ、ハンノキ類。斜光を受け黄金色が眩しい。昭和新山の噴火後70年近くたって、これだけの森が出来上がった。無生物の火山灰の中から生育した炎のような命の輝きは、自然の持つ破壊と創造の力の証し。まばゆい光芒はここ一週間で色あせ、冬の眠りに就く。
159 洞爺湖中島 投稿日時: 2012年11月19日 投稿者: nizaemon 壮瞥公園からの中島全景。左から弁天島、観音島、饅頭島。右手は大島。左奥のとがった山頂を持つのは西山(455m)、手前の丸い、なだらかなのは東山(378m)である。いずれも5万年ほど前に、洞爺湖巨大カルデラの中央の湖底から噴火して出来た、溶岩ドームの頂上部分である。冬季をのぞいて、遊覧船で上陸、ゆっくりと樹木の観察をしながら、数時間で半周する、歩きやすいフットパスルートがある。遠くから眺めるのもよいが、島をゆっくり独りで、また仲間たちと歩く喜びもまた格別だ。
158 雪景色有珠山 投稿日時: 2012年11月19日 投稿者: nizaemon 全山雪を頂いて、初冬の有珠山。外輪の上の大有珠のドームが良く見える。左手前のドームが昭和新山、頂上手前に東丸山、右手の外輪から続く斜面の下には明治新山(四十三山)、いずれも潜在ドームだ。ウメの紅葉が残り、カラマツの黄色い稜線の向こうの静かな佇まいを見せる有珠山。山眠る季節に入ったが、まどろんでいるのか覚醒の時期を選んでいるのか。
157 ツルリンドウ 投稿日時: 2012年11月19日 投稿者: nizaemon 洞爺湖畔の閉鎖されたキャンプ場を歩いていたらツルリンドウの赤い実を見つけた。この時期、近くに生えたトクサに絡みながら、とてもよく目についた。この実はリンドウの仲間では珍しく液果で、中にはかわいい種子が10個ほど入っている。小さいが立派な果物だ。しかし味は無く、酒に漬ける人がいるという。この深紅の果実の意味はなんだ、うったえている相手は誰なのか。