353 旨いもの 投稿日時: 2014年4月14日 投稿者: nizaemon 金沢に来ている。金沢漁港の「いきいき魚市」でシロガイとホタテを見つけた。ひときわなつかしく美味そうだった。市民の台所といわれる近江町市場でも毛ガニとともに名脇役だ。藩政時代から300年近く続くこの日本有数の市場で、ここの鮮魚や金沢野菜、名物総菜と肩を並べて、引けを取らぬ北海の味だ。すべてバターにあう、ガーリックにもオリーブオイルにも。パスタにいいぞ。
352 雪の下の世界 投稿日時: 2014年4月7日 投稿者: nizaemon 厚く積もっていた根雪が解けて去年の落ち葉があらわれた。湿った葉の表面に白い蜘蛛の巣のような糸とそれで出来た網が見える。これは菌糸だと考えた。マイナス数度、光の届かぬ湿度の高い環境の下でこの生き物は繁茂した。落ち葉を分解し土へ戻すきっかけを作ったのだろう。数日もせずにネットは春の陽に焼かれて消滅する。生命の星では立ち止まらず倦む事も無く、間違いなしに命は継続する。
351 地中の繁栄 投稿日時: 2014年4月5日 投稿者: nizaemon 植えつけて3年目のルバーブをわが家へ移植することになった。根が大きいと見繕ってスコップで少し大きめに掘り起こし始めたが、豈図らんやこいつの根は太く四方に蔓延っていて、一抱えもある根茎を掘り起こしたが随分勿体ないことをしてしまった。恐るべしタデ科植物。たった3年でその三倍もの年季を得た灌木の強勢の根の風貌だ。根あればこそ地上の隆盛も頷ける。今年の夏はジャム作りだな。
350 岬の色 投稿日時: 2014年4月2日 投稿者: nizaemon 落ちる日を追って車を駆ってとうとう海まで来てしまった。見ている間に日は落ち、茜色の空と海だけが残った。手前の黒い岬はエントモ、その向こうの黒い島のようなのがアルトリ岬。福田火山マイスターのネイチャーハウスがつけ根に小さく見える。雪を残し蒼く険しく海に落ち込んでいるのが礼文華峠から延びるイコリ岬。それから写万部山。いくつものアイヌ民話を乗せて蒼く闇が迫る。
349 碧色の翳 投稿日時: 2014年4月1日 投稿者: nizaemon 根雪の下から軟らかな土があらわれ、もう幾種類もの花が咲き始めた。お寺の南向きの土手のフクジュソウは今年も見事に咲いている。春分を過ぎた光は秋分前の9月10日頃、そう残暑の頃の日の強さ。パラボナは焦点を蕊に合わせ、集められた光の粒子はいやがうえにも振動し発光する。純金の反射光は何故に碧の翳を持つのか私は知らない。誘き寄せられた黒い虫たちは、この反射炉で焼かれ溶かされ昇華する。
348 庭の妖精たち 投稿日時: 2014年3月29日 投稿者: nizaemon 今年の雪は遅くまで残り、しかし一週間もかからずに大気と地面の中に消えていった。薄汚れた病葉を突き破って青白い尖った芽が持ち上がったと思ったら三日も経たずに輝くオレンジ色の蕊が弾けた。スプリング・エフェメラル。春の光に踊る一瞬の妖精たち。
347 水の下の大地 投稿日時: 2014年3月28日 投稿者: nizaemon 融雪の季節なのに洞爺湖の水位が極端に下がっている。壮瞥滝がこの湖の唯一の吐き出し口で有った時代には落ち口より水位は上がらなかったろうが、もっと沖合まで露出したこともあっただろう。現在は北海道電力が水利権を握っていて、法的にはバケツ一杯の水も勝手にできない。沖の岩はいつも船の上から覗き見ている「力岩」。滝を支える大岩盤だ。大減水も有ったであろう大昔の風景に出会ってみたいものだ。
346 復活の日 投稿日時: 2014年3月24日 投稿者: nizaemon この冬は大荒れの日は無かったものの-23℃を経験した。春の日が一段と強く感じられる今日、庭の敷石の溶け残った氷の上にオツネントンボを見つけた。暮れの木枯らしが吹く前にここでたくさん見かけたがその片割れなのか、翅もいたまずゆっくりと身体を動かしている。自然はあるときは膨大な数の命を一瞬に奪うが、小さな命の堅守もする。この確固たる復活を見よ。今年もまた無数のいのちがここから再生する。
345 いつものキレンジャク 投稿日時: 2014年3月23日 投稿者: nizaemon 毎年この時期、伊達の街にキレンジャクの群れを見る。私の住む山間の盆地とは異なり、ここは開けた平坦な市街地だ。写真の群れは30羽くらい。シメより大きくムクドリともまた違う。はじめてこの一群を見た時、インコかと思った。ヒレンジャクもやって来るが「黄」が圧倒的に多い。連尺(連雀)とは背負子のことで、そのような商人の群れ、言うなれば「群れなす渡り鳥」と繋がった名称らしい。三鷹市下連雀に知人がいる。
344 至高のニシン、もう少し 投稿日時: 2014年3月19日 投稿者: nizaemon 会津のニシン鉢で漬け込んで一ヶ月、取り出して成形し貯蔵瓶に漬けこみなおした(ブログ329)。ホールのブラックペパー、ベイリーフ、高濃度の天日塩水を満たした。あと数カ月もすれば練れた味になるか。半身分取り出して薄皮をむきとり、そぎ切りにしてミルクの中で強い塩気を抜く。4時間程して試食した。塩味はちょうどだが旨味が少ない。いまいちとろける旨みのカタクチイワシ(アンチョビー)には及ばないようだ。円熟には「時」が必要だ。