352 雪の下の世界

雪の下の菌糸厚く積もっていた根雪が解けて去年の落ち葉があらわれた。湿った葉の表面に白い蜘蛛の巣のような糸とそれで出来た網が見える。これは菌糸だと考えた。マイナス数度、光の届かぬ湿度の高い環境の下でこの生き物は繁茂した。落ち葉を分解し土へ戻すきっかけを作ったのだろう。数日もせずにネットは春の陽に焼かれて消滅する。生命の星では立ち止まらず倦む事も無く、間違いなしに命は継続する。