275 次の4年

洞爺湖有珠山ジオパーク4年前、GGNに加盟してこの夏再審査。審査結果がチェジュ島でのAGNで再認定と発表され嬉しい一段落。糸魚川、島原も無事通ったとのこと。さっそく洞爺湖町役場でのお祝いに駆け付けた。この4年間ジオパークにかかわった者たちはそれぞれの立場で頑張ってきた。次のステップはいかに刻んでゆくか。目的を決めしっかりとしてスタンスで歩を進めなければならない。有珠山の次の噴火も気になるところだ。

274 地球劇場

有珠山三日月巨岩累々たる大有珠の山巓に三日月がかかって、頂上付近の惑星は方向からすると金星だろうか。星座表で調べたら月のさらに上方に土星が、金星の右下にはスピカが見えるはずという。ただただ当たり前の光景が何万年も続いて来た。今この瞬間、地球という星のここに人がいてはたと気が付いただけの話。ことはそのまま継続してゆく。暮れなずむ洞爺湖畔。木の間隠れの天体ショウ。

273 洒落者

ニホンアマガエルエメラルドグリーンの葉裏の世界におさまった金彩の洒落者、その名もニホンアマガエル。いよッ、日本一!チーク色の眼過線も粋だね。19世紀フランスのセーブル窯に金地に緑釉のコーヒー茶碗がある。実にこんな感じだ。今年は気温が高く雨が多く、裏の庭には無数のアマガエルの子供たちがいる。でも、こうやっていっぱしの親になれるのはその数百分の一。

272 成層火山の断面

成層火山教科書の成層火山の断面図。そう、溶岩と降灰などの互層の図にはよくお目にかかった。しかし実際の溶岩流は決して幅広くなく、まして全方向には広がらないという。ここは伊達市稀府(マレップ)の採石場。少なくても8層の火山堆積物が見える。灰色の岩石と褐色のスコリア状の噴出物の互層だ。この岩石を熔岩と考えたが、指導の先生は「そうとばかりは言えない。熱圧縮によって固まった噴出物だろう」とのこと。納得。フィールドに出なければわからない。

271 有珠山外輪

s-DSCN9680伊達市側からよく見えて、以前から気になっていた外輪の崩落崖を勉強する機会を得た。有珠山火口展望台の南側の急斜面を下から見ることになる。崖の数カ所に層状の1663年噴火の堆積物(軽石)が見える。7000年の眠りから目覚めた噴火だ。その後、4回の山頂噴火の挙句、埋められ断ち切られ侵食も進んで途切れ途切れだ。専門の先生の指導を受けながら地形図、地質図と照合し、ここで何があったかを考える。たった350年だが実に難しい。

270 闇の香り

エビガラスズメ(♀)暗闇の中、ハマユウの香りがしたと思ったら、ブーンと重い羽音がする。瞬時にスズメガと考え、カメラを用意した。何枚か撮った中に長い吻が写ったこの一枚、調べたらエビガラスズメ。たまたま栽培中の長い花筒のハマユウだったが、北海道の闇の中では何に魅かれるのだろうか。この種の吻の長さは日本のスズメガでは最長だと言う。裏庭では花期が遅く香りの強い白花のギボウシが咲いている。ひょっとすると、、、。

269 異郷の甘さ

Fennelフェンネルのあの青臭く甘い香りはどこか異郷を思い起こさせる。日本ではウイキョウ(茴香)で漢方薬。食卓には顔を出さなかったが「外」の世界ではごく日常的で、インド亜大陸あたりのレストランのレジの横には小さなスプーン付きで種子が置いてある。どういうわけか客は掌に取って他の手でパンと叩いて口へ放り込む。食後の清涼剤だ。冷えたパスティスの香りも好きだ。庭に植えた軸の黒っぽい園芸種は濃い色の花をつけた。味はどうなのか。

268 桃之夭夭

硬い桃桃之夭夭、有粉其實。植えて5年目になったろうか。あまり果汁の多くない丈夫で昔風の二品種を選んで植えたが、樹が幼さなかったことや私の不慣れで今まで満足な結実が無かった。今年はどういう訳かよく実ってくれてこのとおり。まだすこし小さく硬いが、一週間もすると味が乗って来るだろう。軟らかさと重さが綯い交ぜになった掌の感触と、大脳のどこかの部位を触発してくれるあの香りが好きだ。

267 手鎌ひとつで

手鎌北海道では農作業など個人が関わる面積が実に大きいので、緑地の整備などは何でも刈払機でやってのける。当地に越してきて町内会の草刈りにこの鎌を持ちだして笑われた。でも良く研いでうまく扱うと素晴らしい能力を発揮してくれる。十数年前、軽いのと「スウェーデン鋼」の表示に惹かれて買い求め、生活の周辺で重宝している。使う前に研ぎ、仕事中にも腰の砥石で刃を整え、使い終わったら刃こぼれを補正する。細かい作業では無敵の武器だ。

266 ドンコロ山ジオサイト

ドンコロ山ジオサイト雨の合間を縫って、ドンコロ山スコリアとその上に降り積もった1663年の有珠山噴火の噴出物の露頭を整備した。下位の2万年前の黒いスコリアを含め、崩落しやすく、植生の繁茂も激しい。クズの大株を処理し、年数度の草刈りをしているが、強力な根茎を持つオオイタドリや木本のハギ、ニセアカシアの萌芽も顕著だ。堆積の剥ぎ取り保存も含め、今後の保存方法を考えなければならない。