285 名残りの白菊 投稿日時: 2013年10月11日 投稿者: nizaemon コハマギク。削られ、埋め立てられて、有無を言わさず作った漁港の、分厚いコンクリートと鉄錆の隙間に咲いていた。室蘭の外海に面したあの懐かしい追直(おいなおし)の浜は消えてしまった。沖合にあったニラス岩は防波堤の続きとなり、あれだけ広かった砂浜は砂粒一つ残っていない。昔、海草研究所のあった崖のあたりで、弱い夕陽を受けている一群のコハマギクを見つけた。懐かしさと侘しさが滲んだ白だ。
284 流木に乗って 投稿日時: 2013年10月7日 投稿者: nizaemon 室蘭イタンキ浜。ハマエンドウの繁みの中に流木が見つかった。何処からやって来たのか材は見事にフナクイムシ(shipworm)に喰われている。ひとつの穴に1個体ずつ、二枚貝のフナクイムシがセルロースを食べながら棲みついた痕跡だ。掘り進みながら石灰質の内張りを作る。まさしくトンネルのシールド工法。ここの海岸には軟らかい岩石に穿孔するカモメガイも生息している。
283 木陰の炎 投稿日時: 2013年10月2日 投稿者: nizaemon この季節遠目にも気付くマムシグサの赤い実。テンナンショウ属の有毒植物だ。蓚酸カルシウムなどの毒成分により、一粒食べても口の中に灼熱感と激痛が走るという。洞爺湖中島の増えすぎたエゾシカの食害からも逃れている。ミノカサゴ、サンゴヘビなどと同様派手な色彩で自己の有毒を喧伝しているようにも見える。生態系という時空の中での進化の妙味だ。澱粉を含む塊茎は救荒植物だともいう。古来ヒトは無毒化させる手法を考案しながら食の文化を築き上げたが、それだけ過酷な自然を生きてきたということなのであろう。
282 ここにもセントへレンズ火山 投稿日時: 2013年9月25日 投稿者: nizaemon 渡島半島の北海道駒ケ岳。ランクAの最も活動的な火山のひとつ。1640年噴火で頂上部が崩壊して噴火湾に傾れこみ、誘発された津波は対岸を襲って700名以上の溺死者を出した。 画像は岩屑なだれ先端の出来澗崎からの駒ケ岳。右手の砂原岳の稜線からかつての火山の形が想像できる。1929年には火砕流を伴う大量の軽石を噴出する大きな噴火があり、1942年にも中規模の噴火があって要注意の火山だ。
281 野生と畏怖 投稿日時: 2013年9月25日 投稿者: nizaemon 私たちの内面には自然のあらゆる事象を敬う心が備わっている。言い伝えも文字も関係なく、自然の中で岩を跨ぎ樹に凭れ物陰で命を繋ぐ中で培われたものだ。人類は勿論、ほ乳類、爬虫類すべての生きものに存在する普遍的な感性なのだ。 恵山火山の山体崩壊した火口にいくつもの観音、地蔵、道祖神が祀られている。荒らぶる景観と連接する霊交(コミュニオン)。目の前の津軽海峡を隔てて恐山がある。
280 火の山「恵山」 投稿日時: 2013年9月25日 投稿者: nizaemon 渡島半島東南端の恵山に出かけた。いつも噴火湾を隔てて遠望しながらいつかはと思っていた火山だ。4~5万年前に激しい噴火をはじめ、いくつもの溶岩ドーム形成、火砕流、山体崩壊を経て1874年の噴火を最後に現在にいたっている。崩れて広く開いた活動中の火口は画像の山頂部の陰にあたり、麓の海岸線に沿う恵山の市街からは見えない。実際に登ってみて驚いた。小さいけど見事に大きな活火山。
279 リンゴとカラスと釣竿と 投稿日時: 2013年9月23日 投稿者: nizaemon カラスに裏庭のリンゴを落とされて収穫が減ってしまった。今朝もまた荒らされて、それも私の好きな早生の津軽と王林。思い立って取り出したのが、以前芦ノ湖でコイ釣りに使っていた4.5mの愛竿。ABUのリールにはまだ200mの釣り糸が残っていて、竿先を操りながらクモが巣を作るように10数本の樹に糸を張り巡らした。カラス達はいま冬に向けて群れを構成中でいくつもの集団で出没している。個体間の順位もこの時期に決まる。カラスも私も冬の準備中。
278 傍目八目 投稿日時: 2013年9月23日 投稿者: nizaemon パークゴルフ場からの昭和新山のガイド中にスズメバチの巣を見つけ、事務所に伝えた。同じ日の新聞に近くの豊浦町で草刈り中にスズメバチに刺され亡くなった方のニュースが載っていた。私も不注意から二の腕を刺されたことがある。最初の二日間は酷く腫れて痛みと灼熱感、次の一週間、腫れはは青紫に痛みは痒みに変わり、完治まで3週間。ここで見つけた巣は頭上2m。プレイに熱中している人には見えぬらしい。
277 味が濃いぞホワイトプラム 投稿日時: 2013年9月16日 投稿者: nizaemon 経緯があって10年前2本のプラムがわが家に移植された。日本在来のプラムがアメリカで改良後大正時代に里帰りしたホワイトプラム。日本のスモモは中国原産だが、西洋スモモはカスピ海沿岸が原産。トルコをバス旅行した時に採り残しの黄色いスモモを帽子に摘んで仲間と食べたのを思い出した。旨かった。同じ味をわが家で味わうなんて。2kgの果実に2kgの砂糖、10gのシナモンを加えて3kg程のジャムを得た。世界に根を持つ濃密な味。
276 珊瑚玉 投稿日時: 2013年9月15日 投稿者: nizaemon 夏の洞爺湖畔、香りを振り撒いていたハマナスも実をつける季節となった。結実した風情はまさしく珊瑚の宝珠。ローズヒップもきれいだけれど、ここは北海道、やはりハマナスの実だね。バラの花弁でジャムを作るって聞いたけれどもこの実はそのままジャムになる。中に詰まった種を取り、少し硬いが甘酸っぱい果肉は野生の香り。昔、お盆のお供え物として糸で繋いで数珠にして海へ流しました。チベット細工の珊瑚玉。