427  秋サケをもらった

腹子の入ったサケ知人からサケをもらった。この時期、北海道の海岸ではごく当たり前にサケが獲れて店頭にもよく並ぶし、一匹まんまのやり取りもよくあることだ。上物のサケで75cmの堂々たる体躯。腹を割いたら立派な腹子が1kg近く採れた。腹子はガーゼに包み味噌漬けにすると素晴らしく旨くなる。イクラを作る今回はばらばらにして醤油味のイクラにする。もちアミの上で揉むか箸でしごくとほぐれる。サケの卵一粒が一匹の命、丈夫に出来ている。塩水で洗い、醤油とほんの少しの日本酒をかけ、たまに混ぜながら冷蔵庫に数日保管すると出来上がり。白い飯に合う、酒に合う、サラダにも。冷凍も可能だ。もちろん身の方も楽しむ。皮は滑るので軍手を着用。頭をとり、腹ビレのあたりで上下に分け、それから三枚にすると仕事は簡単。塩を振り身の水分をペーパータオルと新聞紙に吸いとらせ、あとは焼いても、煮ても思いのままだ。ただしイクラの入っている雌の味は一段落ちることを付け添える。

 

425  怪鳥?

ブドウトリバガ?窓に小さな羽虫。こんな時のデジカメは非常に有効だ。拡大してみると明らかにトリバガ。ブドウトリバガにそっくりだ。だとすると学名Nippoptilia vitisReptiliaは爬虫類なのだが Nippoptiliaは何を意味するのか。種小名vitis はブドウのこと。英名も Grape Plume Moth で私の庭でもブドウを作っている。だがブドウトリバガは北海道に分布しないという。分からないけど楽しい。

423  逢魔が時

逢魔が時赤トンボが飛んでいた高い空も気がつくと茜色を少しだけ残し、灯点し頃の時刻も過ぎた。薄墨色の鱗雲の影を通して三日月が見える。山の闇に民家の灯りが一つ。祭りも終わり、今日は何と静かなことか。静寂ゆえに何処からか音がきこえる。地虫が鳴くのか耳鳴りなのか。一日の終章、夜への緒言。冷えてきた。足元にはもう露が下りているようだ。

422  滝不動の神輿

滝不動の神輿9月28日は壮瞥滝滝不動の例大祭があり神輿が川を遡った。小学校六年生の少女二人が神輿に乗り、若い衆が担ぐ。流れは洞爺湖からの清冽な水。壮瞥滝はSou-betu(滝のある川)この町の名前の由来である。地方の勢いが小さくなっているというがこの町を物語る特筆すべき祭りだ。かつては数千人の人出で賑わったという。大地、海洋、四季折々、地方に伝わる祭りを大切にすべきである。

421  流れ藻を食べて

コブハクチョウ洞爺湖には渡りをするオオハクチョウ、コハクチョウの他に周年居ついているコブハクチョウがいる。北海道のコブハクチョウは1975年に大沼公園に導入されたという(北海道外来種データベース;北海道ブルーリスト2010による)。その末裔かどうかは分からないが、毎年、洞爺湖の湖岸のどこかで抱卵し、雛が孵っている。9月26日、昭和新山側の湖岸で1羽、北岸の水の駅付近で3羽ほど、洞爺湖温泉で2羽、見られた。

418  かわいそう

シマヘビ「あ、轢かれてる」。車を止め近づいてみるとシマヘビの子どもだった。「あら、かわいそう」通りかけたご婦人からも声が飛んだ。幼蛇の模様を残したきれいな蛇だ。先日、8月26日のブログ「405 青大将」とほぼ同じ場所の壮瞥町町役場まえ。遊具がある公園の入り口だ。ヘビがやって来る環境があるなんてここはいい町だ。轢かれちまった子どものヘビにはかわいそうだが。近くの藪まで運んでやったが、幼い生きものが死ぬなんて、ああ、かわいそう。

417  縄文の水

縄文の水伊達市若生町(わっかおいちょう)に古くからの湧水があり、水神の碑があり、シナノキの巨木が残っている。山田秀三によるとwakka-o-i(水・ある・処)の意で、澄んだ水はエントモ岬近くまで流れ草地に消えるという。ここは7、8千年前に有珠山が山体崩壊した流れ山の地形である。この水は縄文の昔からここに住む者の生活を養ってきた。近くには厚い層の貝塚と遺跡がある。すくって飲んだら実に旨かった。暮らしを乗せ、時を乗せ、水は流れる。

414  香りのハナビラ

ハナビラタケ知り合いから「これ何ですか」と純白のキノコを頂いた。ずいぶん大きな株だったそうで、もちろん「何処で」は言わないし訊かない。「食べました、美味しかったです」と味の評価も添えてキャベツ1玉くらいのを頂戴した。即座にハナビラタケと判断した。40年前、蓼科山で採ったが、それ以来食べ頃のには出会っていない。炊き込みご飯、マリネにしたが、色、味、香り、歯触りすべてに最上等品。ごちそうさま。

413  季節の恵み

収穫今年の収穫の出来は良かったのかどうなのか良くわからないが仲間が集まってまずは終了。ひと月前に漬けこんだウメは3日干して2年漬け込む。ホワイトプラムは表皮の防除対策が功を奏してまずまずの出来。モモはスズメバチに食い荒らされて少し硬いが50個ほどの早めの成果。うつろう季節の中に自然からの多くの賜り物があった。近所のプロの手業を手本に見よう見まねの素人仕事。あとはリンゴを待つばかり。ブドウは霜が降りてから。(9月8日)

412  北窓の君

シュウメイギク芭蕉翁は竹を北窓の君と云った。北海道には竹はない。秋の彼岸のころきまって思い出すのは丹沢近くの山里で見た彼岸花だ。あの心にしみるような緋色の絢爛さはいくつもの思い出と繋がっている。この町の特産のリンゴに色がつく頃、家の北側の繁みにシュウメイギクが咲く。ゆっくりとひと月も花をつけ、沈んだ色の緑の葉と混じりけなしの花弁の白、蕊のふくよかな黄色が心憎い。時に流されず、媚びることなく、これぞまさしく我家の北窓の君。