523  ニウナイスズメ

ニウナイスズメ朝6時、昭和新山の隆起でせき止められてできた新山沼。水鳥を撮っていたらやってきたのはニウナイスズメ。見た感じでどこかスズメとは違うぞと感じる。頭が明るい栗色なのと頬に黒い紋がない。少し小型かな。軽い声で鳴いて朝の挨拶か、すぐに茂みの中へ消えていった。

522  割れたサクランボウ

サクランボウこの4、5日小雨が降り続いて、せっかく色づいて食べごろになったサクランボウが割れてしまった。この時期の雨は大敵。水分を吸った果実は膨潤し、柔らかな果皮を内側から引き裂いてしまう。これでこの後暖かい日がやってくるとカビがくる。期待しながらの毎日だったのに残念至極。専業果樹農家は透明な屋根を付けている。我が家の老木三本に覆いはかけられず、天を仰ぐだけ。

521  小爆発・コウリンタンポポ

コウリンタンポポ何年か前までは北海道のこの町でもコウリンタンポポはそれほど目につかなかった。今年、気が付くと裏庭に二つの群落ができていたし、道路わきや川筋の草地が少し賑やかになっている。ヨーロッパにはこの Hieracium 属の種が多く、いずれ次々と渡来するのかもしれない。港湾の荷上場付近や飛行場などから日本に上陸するのが常だ。

紅輪蒲公英。一見、日本風ではない(今のところ)人目につく花は、中心部が明るい黄色で周辺の舌状花は鮮やかなオレンジ色。ポンと爆ぜた花火みたいだ。これがまた日本の風景の中で燎原の火のように燃え広がるのかと思うと、汎世界的物流の恩恵を受けて安泰な生活をしている者として忸怩たる思いがある。

519  子別れ

ハシブトガラス総毛立ててことに当たらざるを得ない、これはハシハシブトガラスのおとこ親。メスにももう一羽の子ガラスが付きまとっている。いつまでも餌をねだって付きまとう子ガラスを、どうしたら良いものかと困惑しているのが良くわかる。この秋には子ガラスたちは大きな群れになり巣立って行く。親の元には残れない。

517  振り向いたハヤブサ

ハヤブサ日高の海岸、崖地の植物を探していて、岩壁から伸び上ったらそこにハヤブサがいた。数mの距離。互いに「ヤア」といった感じだが、あちらの眼にはどう映ったか。偶々20秒ほどの時間を共有しただけなのだが、きっと私のことなどすぐに捨て去り狩に専念したのだろう。

516  引き継がれて

アイリス Wabashこのアイリスが気に入ってお隣さんから譲っていただいた。名前を調べたらWabash ワバッシュ。園芸家である E.B.Williamson 、1936年の作だという。英文で検索すると評価の高い往年の名花だそうだ。昔からの果樹農家である隣家の庭に咲くまでの道のりもいろいろあったのだろう。Historic Iris という表現もあった。歴史的名花だったのだ。 小振りだが純白の上弁と、覆輪のある茄子紺の下弁が凛としていて実にいい。和のイメージにもぴったりで、艶やかさと粋な雰囲気を持っている。お隣さん、改めてありがとうございます。

515  豊作を願って

 収穫を願ってこの町の特産品オオフクマメの農作業が始まった。壮瞥町と隣の洞爺湖町で全国の生産量の半分をまかなっているという。甘納豆、煮豆、和菓子の必須材料だ。遠カッコウもしきりに鳴いて遅霜のおそれもない。エゾハルゼミの声とともに緑の濃さが増す。手前は大きくなり始めたビートの葉。これは砂糖の原料となる。遠景は壮瞥の市街。その手前は長流川の林。好い季節となった。

513  罪作り

Low-Eガラスキッチンの窓をとびっきり大きくして、風景を見ながら料理をしたいと思った。北海道のこととて、Low-Eの複層ガラス。ハーフミラー仕様の窓だ。住んでいる人間には快適だが、野鳥には迷惑この上ない偽装空間、だまし絵だ。いつもの自分の空を飛ぼうとしているのに。

いくつかの牧場の間をまっしぐらに行き来する大きなアブもよくぶつかる。アブがポンとぶつかるとスズメが食べる。スズメがぶつかるとカラスとネコがやってくる。ヒトの安寧な生活と裏腹の、瞬時に消えてしまう野生の命。私は肩をすくめて見ている。

512  Chive チャイブ

 Chive チャイブワケギでもないし、アサツキかなと思っていたが、最近になってチャイブだと分かった。いつの間にか庭のあちこちに大株がいくつもできている。チャイブなら知っている。ごく当たり前のハーブだ。薬味、スープのうき実、サラダの付け合わせ何でもOK。レシピが先走って実物が後に現れた。ありがたく使いますよ。可愛いネギ坊主、指先でつぶすとポンと小さな音がする。

508  窓の下

ネコとカラス餌などさほどやらぬのだが近所の猫がやってくる。この辺をテリトリーにしているハシボソガラスも今は子育て中だ。人影を見つけてやってきたネコをカラスが挑発する。狙いは尻尾。ネコはそのあたり知っていて、フラフラと尾を揺する。互いに手の内を知った間柄での、ちょっとした緊張感が漂っている。いつも、尾をつつかれて嫌気をさしたネコが退散して幕となる。