420 70歳の風貌 投稿日時: 2014年9月27日 投稿者: nizaemon 山頂部の溶岩ドームを残して昭和新山は屋根山全体が緑の植生に覆われている。1944年に噴火が始まって大地が隆起してできた山である。画像でのドーム右側の灰色がかった部分は推状したデイサイト質の熔岩。頂上の臙脂色の三角部分は押し上げられて天然煉瓦化したもとの土壌で、河原の丸石が含まれる。手前の緑の中に白っぽく見える部分は11万2000~11万5000年前に噴火した洞爺湖カルデラの噴火堆積物が押し上げられたものである。
419 群青の波 投稿日時: 2014年9月27日 投稿者: nizaemon 彼岸もすぎて秋の気配がする。北からの風が吹くと波は南岸に収斂して三角波となる。澄んだ湖水は高い空の青さを吸収して群青色。蝦夷富士の名を持つ羊蹄山は大気にあらかた溶け込んで青い影だけになった。秋本番はまだだが十日もすると色づき始める。「この夏は暑かった」と思うのは私の歳のせいだろうか。キノコの出が少なかったし、山の土壌は夏のまま乾ききっている
417 縄文の水 投稿日時: 2014年9月24日 投稿者: nizaemon 伊達市若生町(わっかおいちょう)に古くからの湧水があり、水神の碑があり、シナノキの巨木が残っている。山田秀三によるとwakka-o-i(水・ある・処)の意で、澄んだ水はエントモ岬近くまで流れ草地に消えるという。ここは7、8千年前に有珠山が山体崩壊した流れ山の地形である。この水は縄文の昔からここに住む者の生活を養ってきた。近くには厚い層の貝塚と遺跡がある。すくって飲んだら実に旨かった。暮らしを乗せ、時を乗せ、水は流れる。
415 次の世代が育って 投稿日時: 2014年9月22日 投稿者: nizaemon 1944年、昭和新山が噴火してここは火山灰に覆われた。発芽がしたのはドロノキ。日光の下70年経って立派な林になった。今年はマイマイガの食害を受けて林内が透けてよく見える。光の少ない林内ではドロノキは発芽できず、ミズナラ、センノキ、ミズキ、などがあとに続く。あと30年もすればドロノキの寿命がくる。このようにして林は遷移し、極生相としてこの地の安定な原生林になるのはあと100年も先のことだ。
412 北窓の君 投稿日時: 2014年9月21日 投稿者: nizaemon 芭蕉翁は竹を北窓の君と云った。北海道には竹はない。秋の彼岸のころきまって思い出すのは丹沢近くの山里で見た彼岸花だ。あの心にしみるような緋色の絢爛さはいくつもの思い出と繋がっている。この町の特産のリンゴに色がつく頃、家の北側の繁みにシュウメイギクが咲く。ゆっくりとひと月も花をつけ、沈んだ色の緑の葉と混じりけなしの花弁の白、蕊のふくよかな黄色が心憎い。時に流されず、媚びることなく、これぞまさしく我家の北窓の君。
410 LかCか 投稿日時: 2014年9月12日 投稿者: nizaemon ホワイトプラムの表皮に菌が付くとプルーンと似た紫色になる。発色の機序に何か秘密が、、と考え込んでいたら、やって来たのはエルタテハ。真剣に果汁を吸っている。このグループ、ひらひら飛んでいる時は分かりにくいが、いったん降り立つとそれぞれの色や形に際立つ判別点があって興味をそそられる。この種は羽裏の白斑がL字。Cならシータテハ。いま見かけるのは7月に羽化した新成虫。このままの姿で冬を越し、春一番の蝶となる。頑張れ。
409 枯れ木も山の大賑わい 投稿日時: 2014年8月27日 投稿者: nizaemon 紫陽花が満開で。この写真のアジサイの花、半分はドライフラワー。北海道ではこの花は8月前後から咲き始める。それからが大変だ。10月霜を受け、11月には初雪となる。1月2月は吹雪に晒され爽やか色も抜け落ちて、試練を乗り越え生成りの色にたどりつく。根雪も溶け新芽を経てのこの季節、周年咲き誇る万年花。ひょっとするとこの中には3年目の花もあるのかも。めでたいね。
406 未来への開拓者 投稿日時: 2014年8月27日 投稿者: nizaemon 壮瞥町の子ども郷土史講座は今年で32年目。火山とともに生きる町で沢山の子どもたちが育っていった。今年は有珠山登山学習会、昭和新山学習登山会、洞爺湖の自然生態の学習会が行われた。4回目の今回、私も参加し「紫明苑で学ぶ歴史と遊び」で子どもたちと学び遊んだ。紫明苑は開拓時代のシンボルとなる建物と園地だ。その歴史を知り、独楽まわし、けん玉、糸でんわ、紙ひこうきなどで遊んだ。子供たちは一つのテーマ、15分も有れば精一杯覚え楽しんでくれる。全能力で一つの遊びに燃焼しきる子どもたちには到底ついてゆけない。彼らの活力に完敗、彼らの未来に乾杯。
404 夏のくも 投稿日時: 2014年8月21日 投稿者: nizaemon 北辺の地、北海道では「8月のお盆が過ぎると秋風が立つ」といわれる。残暑が残る頃、海で溺れたりすると「お盆を過ぎて泳ぐからだ」と決してよく言われなかった。今年は盂蘭盆に入った辺りから空が高くなった。庭のオニグモはもうでっぷりと肥ってご健勝にこの夏を過ごしたのであろう。 大有珠を絡め捕ったる夏の蜘蛛 仁左
402 わが家にも壮瞥穴 投稿日時: 2014年8月9日 投稿者: nizaemon 隣地との境界に壮瞥穴が見つかった。このところの雨水が流れ込んで出現したようだ。壮瞥町滝之町一帯にある直立したまま埋もれた巨木の跡の空洞である。腐食した樹が残っている場合もある。この近辺で10カ所くらい確認している。7千~8千年前の有珠山山体崩壊の一部が長流川を堰き止め、壮瞥町が湖水になった時の埋もれた林との説を私は信じている。開拓時代には農耕馬が嵌ったとか子供が藪へ入らぬようにしていたなどの話が残っている。