カラマツの新緑の上にやんわりと降り立ったのは、小さな種子を抱き込んだドロノキの綿毛。ここは1944年に噴火した昭和新山の裾野で、七十年前に新山からの火砕サージが通り抜けた跡地だ。噴出物の荒れ地に風に乗ってやってきたパイオニア植物群の中にドロノキも含まれていた。林道のあちら側、陽の当たっているのがドロノキ。ここで育ち、ここで種子を散布している
「火山・大地・気象」カテゴリーアーカイブ
517 振り向いたハヤブサ
515 豊作を願って
514 鷗の家・マスイーチセートマリ
510 大有珠ピナクル
509 安息角
505 リンゴの秘密
504 有珠善光寺
503 浅い眠り
502 シコタンタンポポ?
室蘭の自然が残っている砂浜でタンポポの在来種を見つけた。シコタンタンポポらしい。エゾタンポポは平地、丘陵地や里山などに見つかるが、海岸線にはない。苫小牧市美術博物館「タンポポ調査2014」に苫小牧海岸のセイヨウ、エゾ、シコタンタンポポの報告がある。
伊達市から苫小牧までの十か所ほど、砂浜に続く草地を調べてみた。室蘭市のほか、昔からの風景が残る登別市の海岸では群落も見つかった。件の苫小牧の現地からも確かに在来種系を見つけだしたのだが、私にはシコタンタンポポと同定する的確な資料の持ち合わせがない。
梅沢俊さんの「新北海道の花」では *北(胆振~根室地方の太平洋側)となっていて、分布域は当てはまるけど、詳細は載せていない。日本の野生植物(平凡社)の図版と解説には納得するも疑念が残り、フィールドでは個体差に惑わされ、ますます混乱してくる。近年になって分布域が広がったのか、身近すぎて確認が遅れてしまったのか。
T. shikotanense 色丹島。千島、根室からどこが南限なのか。渡島半島まで歩かねばならないか。ひょっとすると下北は、などと要らぬ推測まで頭を持ち上げる。考えるだけでもワクワクだ。