337 海の白鳥 投稿日時: 2014年2月26日 投稿者: nizaemon 伊達の明るい海でオオハクチョウの群れを見つけた。まだ翅の色が茶色い幼鳥も混じったこの鳥たちは有珠湾に集まって暮らしている。伊達市の観光情報のHPには有珠湾(有、スワン)とあった。あとふた月もするとシベリヤへの北帰行が始まる。私はその頃リンゴの木の剪定の脚立の上から白鳥を見送る。広い海に浮かぶ白鳥からは生活者の感じを受ける。向うに見えるパステル画の様な岬は室蘭エトモ岬。
336 漕ぎ出す 投稿日時: 2014年2月25日 投稿者: nizaemon 何か春を見つけようと探しているうちに海へたどり着いた。あいにくの満ち潮で、海辺を歩くことが出来ない。漁師が小舟を用意している。「今年はワカメの伸びが遅くって、、」今日は少し遠くまで出かけるという。この時期のワカメは美味しい。フノリもマツボもイワノリもこの季節が旬だ。採れたてのは磯の香りが強い。今日は漁師の帰りが待てなくって、沖へと向かう小舟を見送っただけだった。
330 ムール貝 投稿日時: 2014年2月18日 投稿者: nizaemon ホタテガイを養殖する浮玉に付着したムラサキイガイ。噴火湾のホタテ養殖の副産物だが誰も手を出さない。出汁もよく出るし身の美味しさも格段なのだが。ヨーロッパの海岸地方では人気者だ。市場原理では収穫量と手ごろな大きさと手間の安直さ、あと押しをする食の文化が必要だ。ムール貝の流通量はまだ低い。この種が日本にやって来たのは7、80年前だという。在来種ムラサキインコを駆逐しながら増えている。
329 旬のニシンで 投稿日時: 2014年2月17日 投稿者: nizaemon 新鮮この上無いニシンを12尾買ってきた。開いて塩をまぶし重石をかって締めたのをローレル、ブラックペパーと会津本郷窯のニシン鉢に漬ける。天日塩をたっぷり振り水を足して過飽和の食塩水に浸しこむ。ひと月もしないで完成。牛乳に漬けて塩抜きし、生でも酢でもお好み次第。一年も漬けるとアンチョビーと同じくとろりと口に溶ける逸品となる。パスタのベース、茹でたジャガイモのトッピングにしても口福の極み。
325 暗い海 投稿日時: 2014年2月3日 投稿者: nizaemon 暗い海の向こうに渡島駒ケ岳が寒風に霞んで見える。ここからは富士山型の砂原岳(1112m)が見えるが左肩に剣ヶ峰(1131m)も淡く見えている。1640年この山は5000年の眠りを解いて山体崩壊を伴う噴火をし発生した津波は20分後には対岸(ここ胆振沿岸)を襲い700人以上の死者が出たという。直線30kmの距離だ。鉄路敷設の前には連絡船が運航していた。この時期行き交う船も渡る鳥の姿も見えない。
316 未来の環境 投稿日時: 2014年1月14日 投稿者: nizaemon 雪を頂く火の山有珠山を背にソーラーパネルが4800枚。ここは北電、伊達火力発電所に隣接したソーラー発電所だ。1970年代、ここの火力発電所建設反対運動は、行政や大企業の思惑ではなく、自らの手で地域の将来と環境を決めるという住民からの意思表示であった。全国的な反公害住民運動と相まって、初めて環境権が取りざたされた時であった。大地があり青空が広がり、人の暮らしがそこにある。
315 紋別岳 投稿日時: 2014年1月14日 投稿者: nizaemon 伊達漁港からの伊達紋別岳。古くから西山と呼ばれてきた。画面中央の尾根道を登りつめ、陽のあたる右のピーク(644.4m)から眺望を楽しみながら左奥の頂上(714.6m)へと進む。低山ながらシラネアオイの群落を楽しみながら歩ける掌中の珠ともいうべき市民の奥座敷となっている。この山の向こう側、暗い雪雲の下は登別市。
314 寒くはないか 投稿日時: 2014年1月13日 投稿者: nizaemon 気温-5℃、風強し。カメラを持つ手は感覚も無く、耳が千切れそうに痛い。波の飛沫が片っ端から凍ってゆく。そんな中をウミウがゆく。北国の野鳥が寒さに強いのはあたりまえだろうが、彼女らに低温にさらされる苦痛の感覚はないのだろうか。背後の浜の吹きさらしで餌を探すカラスの足先には氷が纏わりついていた。過冷却の大地に絡め取られる一歩手前と思ってしまうのだが。
309 大地の申し子 投稿日時: 2013年12月21日 投稿者: nizaemon 伊達市館山の丘陵の麦畑。秋の一番おしまいに播種された秋播き小麦「キタモエ」。根雪になる直前、ここまで伸びました。春4月まで根雪の毛布の下で眠りにつきます。雪腐病、うどんこ病に強く、穂発芽耐性も強いといわれ、麺類に最適の新しい品種だ。ここの表土は長年使われ改良された有珠山の火山灰、地下には数十メートルの厚さの洞爺湖軽石層がある。噴火湾を隔てて渡島駒ケ岳を望む。火山に繋がる大地、ジオパーク。
306 昭和新山、誰そ彼どきに 投稿日時: 2013年12月18日 投稿者: nizaemon 有珠湾あたりにハクチョウが渡って来ていると聞いていた。薄暮れて新山の屋根山が黒く落ち込む頃、幼鳥を含めた七羽の群れが鳴き交わしながら新山沼に降り立った。これから半年は寒いけれど静かな時間が続く。屋根山の木立が透けて頂上のドームが見える。人の姿を見つけて鳥たちが来る。闇夜とこの世を繋ぐ使者。トゥオネラの白鳥か。