658 琥珀色の雫のような 投稿日時: 2016年7月10日 投稿者: nizaemon オカモノアラガイ。Succinea lauta 羅語辞書ではSuccinum=Sucinum で琥珀とある。lautaは優雅・可愛い。英名はamber snails、琥珀カタツムリ。水生のモノアラガイと違い、陸生の有肺類で鰓は退化して外套膜腔で酸素を得る。夏、産卵し孵化、幼体で越冬。寿命は1年。北海道には1種のみ。でもそんなことは関係なしに、とんがった触角の先の眼であちこち探りながら、湿った世界をゆったりと生きている。
651 ハシボソガラス 投稿日時: 2016年6月20日 投稿者: nizaemon 6月14日から我が家の庭にやってくるハシボソガラスの親子。左端が母親で、つがいがこのテリトリーを持って確か8年目。この2年間はハシブトガラスと競合したのか孵化に失敗した。今年は3羽孵化した。これから、ねだっても餌をあまり与えなくなる。親より太った子ガラスは痩せながら自活の試練を迫られる。この母ガラス、歩くとき右足を引きずっているようだ。親は大変だ。
649 フタスジヒトリ 投稿日時: 2016年6月14日 投稿者: nizaemon ベージュに黒のストライプ。粋な色合いのヒトリガ科の蛾だ。種小名の bifasciata は「二帯の」の意味。目に見えるのは擬似眼で、触角の付け根に目がある。「飛んで火に入る」の火取り蛾。炎天下、道路をモコモコ横断している熊毛虫はこの仲間の幼虫でクワなどが食草。フェロモンを互いに小さな触角で互いに感知しながらの裏庭でのめぐりあい。腹太が雌で紋様も少し異なるようだ。 一夜の宿を貸したついでにそのまま自然にゆだねる。Good luck。
647 湿原の風景 投稿日時: 2016年6月9日 投稿者: nizaemon 道東の植物を追っての旅の最終日、釧路湿原を見ようと釧路町の細岡展望台に立った。花の細部にこだわり続けた五日間だったので、ここからの眺めは、近接撮影から超広角レンズへと視野が開けた瞬間であった。感嘆の声を上げようか、声を呑みこもうか。大きな風景に身体から力が抜けてゆく。誰かがつぶやく。「ここは日本ではない」大げさな、でもわかるよその気持ち。 1km先、悠々と流れる水にボートが見える。いつか読んだ、ジェローム・k・ジェロームの「ボートの三人男」を思い出した。若い日の開高健はここの下流、雪裡川で地元の画家、佐々木栄松に案内されてイトウを狙い、「完璧な、どこにも傷のない、希な一日」と漏らした。
645 カモメよ 投稿日時: 2016年6月6日 投稿者: nizaemon 北の岬に立ってカモメの飛ぶのを見ていた。二十羽ほどの群。腹と翼の白い色を水面に映して、ひたすらとび続けている。行き着く場所はどこなのか、ななぜに群れるのか、私はそのあたりのことを知らない。岬を大きく回って、また次の岬を越えて飛んでゆく。 そんなに急いで、お前らはどこへ行くのだ。私を残して。
643 ヤマシャクヤク 投稿日時: 2016年5月29日 投稿者: nizaemon むせかえるばかりの新緑の今日、洞爺湖の中島を23名の皆さんを案内してゆっくりと歩いた。吸い込む大気まで緑に染まって、静かな遊歩道は柔らかな若葉で溢れている。サンショウの新芽、シウリザクラの花の房。その中でもひときわ目を引いたのはこのヤマシャクヤクの白。シカに食害されない植物だが、見事の咲きっぷりにはみんなが感動した。自然は極上の逸品を用意していてくれる。
642 まなざし 投稿日時: 2016年5月28日 投稿者: nizaemon 抱卵中のウミネコの親。卵はニワトリより少し大きく、灰色で長かった。この顔を見よ。白さとその意匠、凛としたその眼差し。母性の強さか。訴える目力は威光を放ち、近寄るすべもない。N.ティンベルヘンは、この仲間セグロカモメの嘴の色と子のしぐさの中から本能行動の神髄を見抜き、19723年、ノーベル賞を得た。私はただたじろぎ、見とれるだけ。(八戸・蕪島)
640 春風駘蕩 投稿日時: 2016年5月28日 投稿者: nizaemon 青森県下北の尻屋崎。タンポポの草原で春を満喫する寒立馬を見た。軟らかな陽を受け背が光る。のどかな光景だ。大きくやさしい眼に軟らかな緑が映る。厳冬の岬の風と吹雪の中に立ち尽くす姿は想像できない。昔の南部馬、農耕馬とフランス、ブルターニュ由来のブルトン種との交配種だという。まさしく春風駘蕩。「駘」はくつわを外したウマだという。生命のおおらかさに出会った。
622 お手を拝借 投稿日時: 2016年3月20日 投稿者: nizaemon 室蘭キノコの会主催の「クマと安全に付き合う」勉強会が開かれた。山菜シーズンを前に予想以上に多くの参加者があった。講師はヒグマの研究歴が長い前田菜穂子さん。ヒグマの生息域内で突然、近距離で出会わないように、音を出して人の入山を察知させるのも一つの方法と教わった。呼子もよい、鈴もよい。しかし手を叩くなら道具も必要ない。互いに距離を保つ良い方法だ。手軽に「パン!パン!も一つパン!」。
617 給餌台の客 投稿日時: 2016年3月12日 投稿者: nizaemon 手製の餌台。ペットボトルの底を切り取って、逆さまにしてヒマワリの種子が入っている。ボトルの肩のあたりに、種子がやっとつまみ出せるほどの穴をあけてある。天井の板に穴をあけ、ボトルを差し込み、鉢底皿で蓋をする。もう春だというのにシジュウカラとシメ、それとアカゲラが来てくれただけ。常連客のヤマガラ、ゴジュウカラ、ハシブトガラはやってこなかった。