今日のこのあたりの気温は10℃。南にある高気圧から西へふきだした湿って暖かく、しかも弱い風が冷えた湖面で霧を作った。直径約10kmのカルデラ(スペイン語で大鍋)は霧で満たされ、弱く吹き寄せられて最も低い外壁の壮瞥滝の落ち口から溢れ出している。画面中央の左へ低くなる霧がそうだ。ここの下に洞爺湖からの唯一の流れだしの壮瞥滝があり、切通し(霧通し?)になっている。左上の昭和新山の噴気も暖気の中でか弱く見える。その向こうには似たような形の有珠山の山頂部。春の梅で知られる小春日和の壮瞥公園。あとひと月もすると雪景色となる
442 常緑のシダ、コタニワタリ
およそシダらしくないシダで、単葉の裏には褐色で平行な線上の胞子嚢群が並んでいる。固い紙質で厚みのある葉は常緑で北国のイメージと結びつかない。7,500年前に有珠山が山体崩壊して噴火湾になだれ込み、流山地形は小島や半島になり、有珠湾を構成した。入り江を取り囲む林は海水の影響で極端な低温にはならず、このことがコタニワタリの生育を助けているのかもしれない。磯の香と漁網を干す臭気に包まれながら、形のそろった艶やかで見事な葉の群落にしばし見とれていた。有珠湾の入り江の海の生態系は北海道でも特異的に貴重な存在であるが、有珠善光寺付近の植生を含め、海の影響を受けた植物相もまた大切に保護されるべき自然であろう。
441 ハスカップのシロップ
ハスカップはアイヌ語由来小指の先ほどの小果実で、スイカズラ科の和名クロミノウグイスカグラ。シベリア,北海道の湿地に固有の灌木で、我が家の株は一大原産地の勇払原野、厚真(あつま)の庭師さんから入手したものだ。4株あって5月の半ば、まだ風が冷たいうちに白い花をつけ、ちょうどサクランボウのシーズンに重なって実を付ける。 シロップは水とグラニュー糖を等量で作りかなり甘く、計量カップ1杯の摘みたての実を入れて冷蔵し、時折撹拌すれば長く楽しめる。今回、季節外れに使ったのは7月末に摘み取って冷凍しておいたもの。美味しく甘酸っぱく、何よりも色がいい。ヨーグルトの上では洒落たマーブル模様を演出し、カクテルではどのリキュールとも合う。二色のアイスクリームのトッピングなど格別で、そうだ、付け合わせのビスコッティを作ろう。