439 オンコの実 投稿日時: 2014年11月15日 投稿者: nizaemon 秋が深くなりすべてが色褪せてゆく中でイチイだけは健在で、葉は深緑に実はいよいよ紅くみえる。実を口に含むとネットリ、ツルリと甘みが広がる。種子だけは苦いし有毒成分を含むので飲み込まない。北の地のこの季節の恩恵で、通りすがり、他人の生け垣であってもついつい一ついただいてしまう。どういう訳かこのイチイの樹をオンコという。アイヌ語では「クネニ(弓・になる・木)」だという。太古の昔からヒトはこの実の甘さを身近に味わったのであろう。舌の上でつるりと甘いたびに気持ちだけはいにしえ人になる。