403 ノラニンジン 投稿日時: 2014年8月14日 投稿者: nizaemon ニンジンの野生化種なのか、原種なのか分からない。Wild carrot として欧州、北米にも分布する広域分布種だ。少しニンジンの香りがするという根は硬くて食用にならようだ。散形花序の中央の赤褐色の飾り花弁はよく目立って、花にとまっている昆虫にも見え、飛翔中の仲間を誘引する役割を持つのかもしれない。イングランドのアン女王がレースを編んでいたとき、指先に針を刺して流した血の一滴だともいう。
402 わが家にも壮瞥穴 投稿日時: 2014年8月9日 投稿者: nizaemon 隣地との境界に壮瞥穴が見つかった。このところの雨水が流れ込んで出現したようだ。壮瞥町滝之町一帯にある直立したまま埋もれた巨木の跡の空洞である。腐食した樹が残っている場合もある。この近辺で10カ所くらい確認している。7千~8千年前の有珠山山体崩壊の一部が長流川を堰き止め、壮瞥町が湖水になった時の埋もれた林との説を私は信じている。開拓時代には農耕馬が嵌ったとか子供が藪へ入らぬようにしていたなどの話が残っている。
401 夏はハンモックで 投稿日時: 2014年8月8日 投稿者: nizaemon 庭の果樹の面倒をおざなりにしていたら、リンゴに枯れた葉が目立った。近くの葉の裏には細長い繭がいくつもついている。幾本かの太く束ねた糸に支えられて繭が浮いている。針の先ほどの「みどりご」はここで蛹として仮の眠りをし成虫へと羽化する。成虫の翅の紋も透けている。成虫は樹皮の襞などで長い冬を耐えに耐え、来年また子を産む。「ギンモンハモグリガ」がこの虫の名前。葉肉のみを食害するそうだ。
400 目先の日々 投稿日時: 2014年8月6日 投稿者: nizaemon 痩せたアマガエルがガラスの向こうを這い上がってゆく。雨脚はやっと遠のいて、いま、こいつは何を考えているのだろうか。登りつめると何があるというのか。何かのきっかけで登り始めた垂直面。次に続く時間を彼は知らない。手足を順序に従って前へ送る。明日のことは考えたことも無い。
399 棘ある果実 投稿日時: 2014年8月5日 投稿者: nizaemon 海辺でハマナスの実を見つけた。特大の珊瑚玉だ。学名Rosa rugosa。 種小名は縮れた葉から来ているのか皺の意味。英名はJapanese apple rosehips。イギリスの図鑑にはrosehipの形の違いが20種ほど載っていたが大体は球形か棗型である。ハマナスはHip large and pendent, pumpkin-shaped.とあった。よっぽど特異な形なのだろう。よく見ると茎だけではなく実の棘も立派。この種の祖先は棘だらけの実を持っていたのかもしれない。
398 したたかなマメ 投稿日時: 2014年8月5日 投稿者: nizaemon クズの花が盛りだ。ヤマブドウ、サルナシ(コクワ)、ツルアジサイ、ツタウルシなどと同じように林縁を被うマント群落を構成する。この地域ではクズの蔓延りようは急激で目に余るものがある。火山堆積物を説明するジオサイトも我々がクズバスターとなってクズを退治しなければならない。縄文の昔からの葛粉や葛布を作り家畜の餌とし漢方薬にまで多用した多彩な文化は蝦夷地にはまだないが、この花の「ファンタグレープ」の香りにはなぜか惹きつけられる。
397 蚕食された四十三山 投稿日時: 2014年8月5日 投稿者: nizaemon 先日、マイスター仲間のI氏から四十三山(よそみやま=明治43年に噴火、隆起した)周辺にマイマイガが発生しているとの情報があった。それはこの画像のちょうど向こう側。盛夏、緑に覆われているはずの四十三山が食害にあって白っぽく色が抜け落ちて見える。ほとんどがドロノキで、この時期、本来なら雌の樹の綿毛をつけた朔果が見事なのだが、襤褸布が裸木に引っかかっているようで実に貧相で可哀そうな限りだ。
396 湖畔のハマナス 投稿日時: 2014年8月5日 投稿者: nizaemon 北海道の海岸に多い野生種のバラ。洞爺湖畔のものは植栽によると思われるが、北の湖の風情によく映る。東アジアが分布の中心で、朝鮮半島、サハリン、カムチャツカ半島にも自生するという。強い野性味のある香りと頑強さでバラ類の品種改良に使われるが、欠点は枝の棘の多さで、切り取って飾ろうにも摘まむ隙間もない。その辺りがこの花の魅力と生き残る武器なのであろう
395 この100年と次の100年 投稿日時: 2014年8月4日 投稿者: nizaemon 室蘭、祝津(シュクズシ)の海水浴場跡へ出かけた。いまでは「足湯」ほどの水遊び場しか市民に残されていない。近代的な白鳥大橋を得た半面、失ったものも多い。遠浅の砂浜で「シクト○ッ」と呼ばれていた100年前、橋脚の向うの円い丘は草原で繋がった陸繋島だった。港の開かれたトキカルモイ(チカの入江)からオハシナイ(幣場の川)を通り、ポロシレト(大岬)のアルトル(向う方)の岬だった。先住民の祀り事の場だったと聞く。「白鳥大橋展望広場公園」という荒れた公園。コンクリートと鉄の100年持たない橋が白く光っている。
394 一緒に朝食を 投稿日時: 2014年8月4日 投稿者: nizaemon 朝食は庭でとる。庭食という。パンとコーヒーとサラダくらいの簡単なものだが有珠山を眺めながらゆっくり食べる。バナナをフォークに突き刺した時、黒い小さな甲虫がとまった。背の樺色の紋と触角から始めキノコムシ?と思ったが、いや「ケシキスイ」と瞬間的に思い直し調べたらヨツボシケシキスイ。林の樹液に集まる常連だ。私の好きなよく熟してテロテロになったバナナを発酵した樹液と勘違いしたらしい。