413  季節の恵み

収穫今年の収穫の出来は良かったのかどうなのか良くわからないが仲間が集まってまずは終了。ひと月前に漬けこんだウメは3日干して2年漬け込む。ホワイトプラムは表皮の防除対策が功を奏してまずまずの出来。モモはスズメバチに食い荒らされて少し硬いが50個ほどの早めの成果。うつろう季節の中に自然からの多くの賜り物があった。近所のプロの手業を手本に見よう見まねの素人仕事。あとはリンゴを待つばかり。ブドウは霜が降りてから。(9月8日)

412  北窓の君

シュウメイギク芭蕉翁は竹を北窓の君と云った。北海道には竹はない。秋の彼岸のころきまって思い出すのは丹沢近くの山里で見た彼岸花だ。あの心にしみるような緋色の絢爛さはいくつもの思い出と繋がっている。この町の特産のリンゴに色がつく頃、家の北側の繁みにシュウメイギクが咲く。ゆっくりとひと月も花をつけ、沈んだ色の緑の葉と混じりけなしの花弁の白、蕊のふくよかな黄色が心憎い。時に流されず、媚びることなく、これぞまさしく我家の北窓の君。

411  パラサイトの華

マスタケ生理的関係を持ちつつ共に生きる生活パターンに「共生」があるが、一方に利、主たる他方に害がある場合は「寄生」だ。ヤドリギがそれに近い。近くの果樹園から頼まれてキノコの判定に出かけた。50年経つという一抱半もあるプラムの老樹の幹からせり出していたのは見事なマスタケ。樹幹の木部には菌糸が盛大に繁殖しているのだろう。動物なら獅子身中の虫。色が鱒の身に似ているのでこの名がついた。軟らかな若い時には「フライ」にできるらしい。

410  LかCか

エルタテハホワイトプラムの表皮に菌が付くとプルーンと似た紫色になる。発色の機序に何か秘密が、、と考え込んでいたら、やって来たのはエルタテハ。真剣に果汁を吸っている。このグループ、ひらひら飛んでいる時は分かりにくいが、いったん降り立つとそれぞれの色や形に際立つ判別点があって興味をそそられる。この種は羽裏の白斑がL字。Cならシータテハ。いま見かけるのは7月に羽化した新成虫。このままの姿で冬を越し、春一番の蝶となる。頑張れ。

409  枯れ木も山の大賑わい

北のアジサイ紫陽花が満開で。この写真のアジサイの花、半分はドライフラワー。北海道ではこの花は8月前後から咲き始める。それからが大変だ。10月霜を受け、11月には初雪となる。1月2月は吹雪に晒され爽やか色も抜け落ちて、試練を乗り越え生成りの色にたどりつく。根雪も溶け新芽を経てのこの季節、周年咲き誇る万年花。ひょっとするとこの中には3年目の花もあるのかも。めでたいね。

408  収穫への配慮

つがる早生の品種の「つがる」が日増しに肥大して行く。「この分ならあと半月もすると」などと採らぬリンゴの玉算用をしていたが、枝先にぶら下がっていたリンゴに傷を見つけた。この間の大風であおられて隣りの枝の剪定した切り口に当たったらしい。リンゴの摘果の留意点は沢山あるがこれは基本のき。「枝先に実を残すな」だ。壮瞥町はリンゴの町。笑われるぞ。

407  キイロスズメバチ

キイロスズメバチ朝、庭食をしていたらキイロスズメバチが皿のバナナに集まって来た。最初は一匹だったのだが。10分も経ったらこの通り。庭のツタの繁みの中の花に集まっているのは知っていたが、、。普段はツタの横を通っても手で追い払っても別に問題はないのだが、食べ物に夢中になっていると攻撃的にもなる。何とか皿から追い払い退散ねがったが、次の朝もやって来て、この時は明らかに気が立っていた。

406  未来への開拓者

カツラの大木の下に集まって壮瞥町の子ども郷土史講座は今年で32年目。火山とともに生きる町で沢山の子どもたちが育っていった。今年は有珠山登山学習会、昭和新山学習登山会、洞爺湖の自然生態の学習会が行われた。4回目の今回、私も参加し「紫明苑で学ぶ歴史と遊び」で子どもたちと学び遊んだ。紫明苑は開拓時代のシンボルとなる建物と園地だ。その歴史を知り、独楽まわし、けん玉、糸でんわ、紙ひこうきなどで遊んだ。子供たちは一つのテーマ、15分も有れば精一杯覚え楽しんでくれる。全能力で一つの遊びに燃焼しきる子どもたちには到底ついてゆけない。彼らの活力に完敗、彼らの未来に乾杯。

405  青大将

アオダイショウ青大将とは良い名をつけたものだ。緑がかった光沢のある堂々たる体躯。惚れ惚れしてしまう。以前は人の住まいの近くでもっぱらネズミなどを平らげてくれる家の守り神だった。いまでは納屋の梁からぶら下がって「婦女子」の生活と声帯に張りを与えることは少なくなったが、それでも近隣にお住まいで、この町の平地 では時々お見受けする。わが家の近く、町役場の前で「いよッ、大将、どちらへお出まし」

404  夏のくも

オニグモ北辺の地、北海道では「8月のお盆が過ぎると秋風が立つ」といわれる。残暑が残る頃、海で溺れたりすると「お盆を過ぎて泳ぐからだ」と決してよく言われなかった。今年は盂蘭盆に入った辺りから空が高くなった。庭のオニグモはもうでっぷりと肥ってご健勝にこの夏を過ごしたのであろう。

大有珠を絡め捕ったる夏の蜘蛛                                                  仁左