682 切れ味

石器を使う遠軽町白滝にある埋蔵文化財センターでの石器つくりを見学した。旧石器人に扮した名人が見事に出来たブレードで、ソイを調理する。私がブログ671でソイを上身にしたのはよく研いだ料理用包丁だったが、この名人、食にも堪能らしくギトッとひかる石刃でそのまま三枚にし、皮をそいで五枚下ろしまでやってのけた。現代人にしておくのは惜しいね。充分立派な旧石器人だ。

671 暑気払い

ソイとアイナメ蒸し暑さにへきえきしていた最中に、釣ったばかりの魚の差し入れ。「中学生の息子が釣り過ぎたので」とのこと。45㎝を超すソイとアイナメ。魚をさばくのが大好きな私には願ってもない暑気払い。上身は冷凍し、いずれムニエルに。あらとむね肉の濃い味の醤油煮は、舌に纏いつく旨みがあった。この地には豊饒な海があり、岩礁地帯には今も縄文の昔もいい魚がいる。ジオの恵みだ。

665 ヘーゼルナッツの実

ハシバミ・ヘーゼルナッツ縄文時代から知られている「はしばみ」・ヘーゼルナッツが実を付けた。毎年待ちわびていが今年雌花雄花がたくさん咲いた。(ブログ626)堅果は白いがもう膨らんでいて充分に硬い。4本の樹で合計100個くらいか。先ずは煎って食べよう。クッキーにすると香ばしいのは知っている、チョコレートをコーティングすると極上の、、などと、採る前の「はしばみ」算用をしてしまう。

655 待ってました!

サンショウ

洞爺湖畔で偶然サンショウの樹を見つけたのが10年前。毎年若い葉を摘み取り、会津本郷窯のニシン鉢で身欠きニシンの美味しい会津漬けを楽しんでいたが、この樹は雄株で実は付いていなかった。サンショウの分布域の北限は北海道南部。洞爺湖中島には立派な群落がある。室蘭の中国料理店の庭に良く育った樹を見つけた時は実に羨ましかった。

爾来、苗を貰ったり買ったりして植えけど、みな雄株ばかりだった。数年前から育てていたサンショウに雌花を見つけ、小躍りしたのはこの春のこと。今朝、その半分の一握り程を収穫し湯がいて冷凍保存した。塩蔵でも良いという。残りは秋に割れた黄色の殻から真っ黒い種子がこぼれるようになってから収穫する予定。やっと自家の山椒の実で漬物や佃煮の味付け、大好きな麻辣(マーラー)味の麻婆豆腐が楽しめる。

654 大南風・おおみなみ

サクランボ日本海にあった低気圧が発達し、梅雨前線を引き連れ、この辺りを北上中。夜来からの雨風は日中になっても止まず、昭和新山の屋根山のドロノキ林は吹きあげられて白い葉裏を見せ、山は銀色のシーツで包まれたように見える。普段は葉裏に隠れているこの町特産のサクランボウも強い南風に煽られて、美味しそうな色がよく見えている。今年の成りは良いようだ。あと一週間で味が乗る。

641 地の豆

地中花ツチマメをアイヌ語では「アハ」「エハ」というそうだ。比較的よく食べられた食材だったようだ。我が家の庭にもたくさんはびこって、草花を雁字搦めにしてしまうので毎年退治していた。20㎝位のを引き抜いてみたら豆がついてきた。鞘にも種子を付けるが、これは地中で結実した閉鎖花だという。要するに地中花。子房の柄が地中まで下がって伸びる落花生とは違うようだ。来年は発芽前に収穫して食べてみよう。

639 春メバル

春メバル北国の遅い春。遅ればせながら旨い味も季節に乗ってやってくる。魚屋でメバルを見つけた。エゾメバル。こちらでは「ガヤ」という。味の濃く北海道の魚の名の通った範疇ではさほどちやほやされず、前浜の魚として食卓に上るくらいだ。しかし、その新鮮な味はかなり上等、腹子がハラハラ漏れて煮あがった一品は旨み食感、極上そのもの。その上、4匹1パックで390円。住むなら田舎。北海道へおいでよ。

 

638 潜む色

サクランボウメが咲き、サクラの花が満開になって、続いてサクランボの花が咲き始めた。この町壮瞥はリンゴの町であるとともに、サクランボで知られている。リンゴの花は薄い紅色だがこの花は純白。蕊の色もこの通りで、果実の光輝くクリムゾンの気配はどこにもない。6月の末、たわわに垂れる緋色の房はどこからやってくるのか見当もつかない。

636 春の匂い

春の匂い去年の落ち葉を踏みしめながら洞爺湖畔を歩く。木立の向こうには中島の影。緩やかに風が吹く。足元のマイヅルソウの小さなハート形の葉と少し長めのギョウジャニンニク。指先で押しつぶすと青く軟らかな春の匂いだ。三枚葉のツタウルシの赤い新芽も見える。水の気配、湿った土、すべてにいのちの匂いがする。

630 雪の下の緑

秋播き小麦秋蒔きの小麦が半年近く雪の下で過ごしてこんな若緑に。樹の芽はまだ硬く、昭和新山の屋根山を覆うドロノキの白い枝もまだまだの感じだ。それなのにこの緑。ただ眠っていたわけではない。寒風には晒されはしないが、カビやバクテリヤと戦い、根を広げ葉を伸ばし、頑張り抜いての緑だ。この地方の言い伝えでは、向こうの山有珠山の雪がなくなると何を蒔いてもよいという。