342 持ち上げられた鉄道 投稿日時: 2014年3月17日 投稿者: nizaemon 国鉄胆振線は昭和新山の隆起で数十m押し上げられた。現在は鉄道遺構として橋脚が残されジオサイトとなっている。噴火50周年記念写真集には生成直後の昭和21年に東北大学学生の三田亮一氏が書き残したスケッチが載せられていて(右の図)、植生のない斜面にはっきりと橋脚が描写されている。氏は6年後海上保安庁「第五海洋丸」に乗り込み明神礁の調査中大爆発にあい31名ともども帰らぬ人となった。
341 ネコヤナギの樹 投稿日時: 2014年3月17日 投稿者: nizaemon いち早く春を感じ取って、ふくよかな綿毛をつけている通称ネコヤナギ。黄褐色の枝先に親指の頭くらいの花穂(かすい)の銀毛がひときわ目につく。雌雄異株の花序である。英名では Catkinといい、やはりネコ由来の言葉だ。 写真の樹は樹形や枝先の色からいって種としてのネコヤナギではなく、エゾヤナギではないかと思われるが、葉が出て大きな托葉を確認しなければならない。エゾノバッコヤナギもまたネコ毛を持つ。早春の悩ましい所だ。
340 春、雪だるま 投稿日時: 2014年3月16日 投稿者: nizaemon 近所の家の雪だるま。この家の子供たちがひと月も前につくって、太っていたのが痩せてきたり、頭が落ちたりいろいろあって、それなりにこの雪だるまを作った子供たちの姿がめにうかぶ。この家の前を通るたびに妙に気になり眼を向けてしまう。今日の雪だるまはちょっとおしゃれで、色合いはまるで「かきごおり」風だ。壁に立てかけた北国特有の「ゆきかきスコップ」は色とりどりでプラスチックスプーンにも見える。
339 冬のロボット 投稿日時: 2014年3月7日 投稿者: nizaemon 洞爺湖畔の雪を被った舟形ロボット。冬は観光客も少なく、観光船も巡視船も職漁船も陸上で待機中だ。有珠湾から一つ尾根を越えてくる通いのセグロカモメは元気に活動中だが、生きものの姿はそれくらいだ。日も長くなり春近しと気を緩めた途端に積雪を見る。日本海からの雪雲は洞爺湖界隈まで雪を降らせ、この二日で40cmは積もった。
337 海の白鳥 投稿日時: 2014年2月26日 投稿者: nizaemon 伊達の明るい海でオオハクチョウの群れを見つけた。まだ翅の色が茶色い幼鳥も混じったこの鳥たちは有珠湾に集まって暮らしている。伊達市の観光情報のHPには有珠湾(有、スワン)とあった。あとふた月もするとシベリヤへの北帰行が始まる。私はその頃リンゴの木の剪定の脚立の上から白鳥を見送る。広い海に浮かぶ白鳥からは生活者の感じを受ける。向うに見えるパステル画の様な岬は室蘭エトモ岬。
336 漕ぎ出す 投稿日時: 2014年2月25日 投稿者: nizaemon 何か春を見つけようと探しているうちに海へたどり着いた。あいにくの満ち潮で、海辺を歩くことが出来ない。漁師が小舟を用意している。「今年はワカメの伸びが遅くって、、」今日は少し遠くまで出かけるという。この時期のワカメは美味しい。フノリもマツボもイワノリもこの季節が旬だ。採れたてのは磯の香りが強い。今日は漁師の帰りが待てなくって、沖へと向かう小舟を見送っただけだった。
334 春いろの影 投稿日時: 2014年2月24日 投稿者: nizaemon 陽の光が一段と強みを増して、朝の樹の影が明らかになる。この先、木の根もとに雪の窪みが出来るようになると、本当の春近しだ。もうすぐ、枝先の樹の肌が赤く柔らかに色付く。そうなるとしめたもの、芽が膨らみ始める。こんなふうにして何かにつけて春を探し、春を待つ。鳥たちのさえずりが強くなる。雪の下のノネズミ達のトンネルが見えはじめるともうシメタものだ。この嬉しさは南の生きものたちにはわかるまい。
333 兆し 投稿日時: 2014年2月24日 投稿者: nizaemon 明け方は冷え込んだが空気は軟らかく、どこかに春の匂いがする。光もぐんと強くなって風もない。車で5分という地の利を頂いて、洞爺湖へ出かけた。岸辺の雪は少し溶けてはまた凍り、かたく締まっていて歩きやすい。湖面に落ち込んだミズナラの飛沫(しぶき)氷の向うに羊蹄山が輝いている。まだ2月末、北海道の春はまだ遠いが、この青空の向こうに微かな兆しがあるようだ。
332 凍れる命 投稿日時: 2014年2月20日 投稿者: nizaemon 軒下のシャクナゲが凍っている。明け方は-15℃を下回る。萎れ、干乾び、凍てついて、常識からいったら解凍とともに組織はつぶれ形を失うはずだ。しかしこの植物はこうやって生きてきて、今年もまた春の日差しの下で復活する。辛うじてでも生き残った花芽は約束のとおり白く輝く花をつけてくれる。自然のしくみを疑ってはならない。時を受け入れ成り行きに任せる強さも必要なのだ。
331 今日の眠り 投稿日時: 2014年2月18日 投稿者: nizaemon 壮瞥の町はリンゴ果樹園で知られている。北海道開拓使によって明治13年に300本植えられたのが始まりで、明治19年、橋口文蔵(札幌農学校=現北海道大学初代学長)が留学先のアメリカで仕入れた知識を持ちこんだのが始まりだ。あとひと月もすると枝打ち、剪定作業が始まる。手前の樹も向うに続くリンゴ畑も、例えば手前の樹の上に延びた細かい枝はすべて剪定し枝を整え、5月の若葉と6月の開花の時期を待つ。いまはひたすら眠っているけれど。