896 国道の上の沼 投稿日時: 2018年5月6日 投稿者: nizaemon この国道旧230号線はこの手前の斜面のまま下って4㎞先で海際の国道37号と接続していた。水が溜まったのは、2000年の有珠山の噴火でこの道の向こう側に火口が開き、70mも隆起して丘になったからだ。18年たち、テフラ(火山の噴出物)で覆われた火口は草地から林へと遷移が進み、国道上には隆起由来の堰止湖。底がアスファルトの天然の沼だ。噴火は思いもよらない多様な生態系を創造してくれた。西新山沼という。
895 立ち寄る昭和新山 投稿日時: 2018年4月30日 投稿者: nizaemon 春の連休。樹々は芽を吹き始め、ほんのりと萌黄色。風は柔かく気温も上がって、ツアーで立ち寄ってくれるお客さんがこの風景を楽しんでいる。火山のほとんど無い韓国や中国・台湾からのお客さんが多い。聳える有珠山と噴気を上げる昭和新山をどう感じてくれたのだろう。湖畔の温泉街から、1時間半歩いてやってくるお客さんにも出会った。滞在型の旅人が多くなると良いですね。
894 愛しのキタキツネ 投稿日時: 2018年4月29日 投稿者: nizaemon 庭を横切るキタキツネ。イヌでもないキツネでもない、そう思ったよ。でもお前はキタキツネ。疥癬にとりつかれ尾羽打ち枯らし、食い物を探して日を送る。自慢の太い尾はどうした。肩から胴、流れる樺色の毛並みはどうなった。血は滲み、瘡蓋は雨に溶けて体を黒く染めた。痩せた体を引きずって、野生の魂は何処へ向かうのか。温かな春の風の日に、安らかな眠りを。私のキタキツネ。
893 トガリアミガサタケ 投稿日時: 2018年4月28日 投稿者: nizaemon サクランボウの樹の下に溜まっていた落ち葉を持ち上げて、今年もこのキノコは忘れずに顔を出してくれた。二つに割り乾燥させると一段とこくと香りが強くなる。年に一度の春祝いの一品、今年のメニューはどうしようか。去年のアーリオ・オーリオのシンプルパスタは旨かった。鶏肉のキッシュを作ろうか。いや鶏肉を使うならクリーム煮もいい。一緒の野菜は裏庭自生のアスパラか。
892 イタヤカミキリその後 投稿日時: 2018年4月24日 投稿者: nizaemon ブログ877に登場のカミキリムシ。ひと月ちょっと経ったが、腰高シャーレの中で触角をふりふりリンゴの剪定枝の樹皮を齧っていました。ハンノキ、ヤナギ類の樹皮を食害するというが、リンゴの枝も好物なのか。撮影中もじっとしてはいません。数日もすると好天になるので、洞爺湖畔の林へ放してやろう。自分が害虫なんて知らなくてよい。好きなところへ飛んでゆけ。
891 悠久のワルイ川 投稿日時: 2018年4月23日 投稿者: nizaemon 噴火湾最奥部に流れ込むワルイ川。上流は上国縫川、茶屋川と水を分ける。地質図には緑色凝灰岩や硬質頁岩が記載されている。珪質の頁岩(泥岩)は旧石器時代のピリカ遺跡の石材の産地となっていた。河口への道はなく、砂浜に打ち寄せる波、それとカモメの姿だけ。軟らかな砂に立ち、吹く風にさらされていると、今も昔もない石器時代からの悠久の二万年を感じられる。
890 サメハダヘイケガニ 投稿日時: 2018年4月23日 投稿者: nizaemon 国縫(くんぬい)の浜でヘイケガニに似たカ二を見つけ、鋏脚上面の毛などでサメハダヘイケガニと同定した。向こうの突堤は国縫川河口。差別交易に対して蜂起したシャクシャイン軍が松前藩・幕府軍と対峙した川だ。激戦後、シャクシャインは和睦を装った松前藩陣営での酒席で謀殺されたという。どうだろう350年前の無念の形相に見えませんか。
888 渡島(おしま)駒ヶ岳 投稿日時: 2018年4月14日 投稿者: nizaemon 室蘭市崎守町から噴火湾を隔てた40㎞先の駒ヶ岳。残る雪形に駒は居なかった。江戸時代は内浦岳といった。1640年噴火に先立つ山体崩壊で富士山型だった山頂は崩れ落ちて大津波をひき起こし、こちら側で住民700名が溺死した。激しい噴火をする火山であり、私が長万部町に住んでいた1945年頃の海岸線には、打ち上げられた1929年噴火の軽石の大きな堆積が至る所に見られた。
887 ツリガネタケで火口を 投稿日時: 2018年4月10日 投稿者: nizaemon ツリガネタケは北半球に広く分布する広葉樹腐朽菌で林内でよく見つかる。硬い表皮の下にはコルク状の菌糸の束があり(ナイフの先端部)、これを乾燥させよく揉みほぐすとフェルトのようなしなやかさを持つ。火打石での着火には必需品であった。イタリアアルプスで凍って発見された5000年前のアイスマンも腰に携えていた。古来からの処方に従い火口(ほくち)を作る予定だ。
886 水辺の緑 投稿日時: 2018年4月8日 投稿者: nizaemon 河原に春を探しに出かけた。林道の先、長流川に注ぎこむ小さな流れに緑の群集を見つけた。湿った土の匂いがする。蘚類や牧草の若芽、それに混じってフキの薹と柔かく小さなフキの葉。セリも見つけた。風も遮られ、爆ぜるような水の音。ハクセキレイの声も聞こえる。窓辺から雪の残る山を眺めていると眠くなる。気分を変えて、こうやって出かけると自分の春に出会える。