313 めげない 投稿日時: 2014年1月11日 投稿者: nizaemon シャクナゲが寒さに耐えることに心底感動する。いまはまだ寒さも始まったばかりで、葉には深いオリーブグリーンが残っていて、どこか冬を眠る命を感じさせる。2月の厳冬期になると葉は干からび黒く煤け、握るとハラハラと崩れてしまいそうになり、寒風にさらされている様子は見ている方がつらくなる。しかし4月になってやわらかな陽をあびると葉は再び蘇り、新芽は伸び花芽は膨らむ。いったいこの強さは何なのだろう。
311 リンゴ一代 投稿日時: 2013年12月30日 投稿者: nizaemon 収穫物には規格外がある。この町はリンゴの町として名を馳せているが、この町に居ればこそ、こんなリンゴに出会える。品種はしっかりとした味で日持ちのする「サンフジ」。眼を描いてハンチングでも被せるとリンゴ園の親爺の顔だ。もちろん味に変わりはなく、安価に手に入る。この冬のジャム作りのために30㎏買ってきた。出来る10kgの甘くて香りのたかいジャムは170個のショソンとなって「口福」をもたらしてくれるだろう。
309 大地の申し子 投稿日時: 2013年12月21日 投稿者: nizaemon 伊達市館山の丘陵の麦畑。秋の一番おしまいに播種された秋播き小麦「キタモエ」。根雪になる直前、ここまで伸びました。春4月まで根雪の毛布の下で眠りにつきます。雪腐病、うどんこ病に強く、穂発芽耐性も強いといわれ、麺類に最適の新しい品種だ。ここの表土は長年使われ改良された有珠山の火山灰、地下には数十メートルの厚さの洞爺湖軽石層がある。噴火湾を隔てて渡島駒ケ岳を望む。火山に繋がる大地、ジオパーク。
308 長い屋根山 投稿日時: 2013年12月21日 投稿者: nizaemon 昭和新山は見る方角によって形が異なる。これは南東方向、伊達市関内の丘陵地からのもの。この台地の下には十万年前の洞爺湖カルデラの噴出物が数十m堆積している。ここからの屋根山は約1㎞の長さを持ち、比較的平坦に見えるが、かつては岩塊累々たる荒れ地だったという。生成後70年経つ今ではドロノキ、ニセアカシア、ミズナラなどの広葉樹林となり、腐葉の堆積も進んでいる。
304 不味の戦略 投稿日時: 2013年12月8日 投稿者: nizaemon 冬を迎えて二度目の雪となって、着実に季節は進む。雪を乗せたナナカマドの赤い実を通して望む昭和新山と有珠山も冬景色だ。山々が雪で覆われ、いよいよ食べるものが無くなって来ると鳥達も里へ下りてくる。甘さも酸味もおまけに汁気も無く、色だけ目立つナナカマドのかたい実は、救荒食のように食べられ、種は散布される。時間的ニッチの中で次世代への命を繋ぐことになる。晩生にはそれなりの戦略がある。
305 鉄道遺構・旧国鉄胆振線橋脚 投稿日時: 2013年12月8日 投稿者: nizaemon 1944年(昭和19年)6月23日に始まった噴火は地殻変動を伴いながら17回の大噴火を繰り返し、約一年の間に壮瞥川、鉄道、生活道路を山麓へと持ち上げた。昭和新山山麓には旧国鉄胆振線の遺構が残されている。二つの橋脚の間をかつての壮瞥川が写真左から右へと流れ長流川に合流した。橋脚の上には鉄路があり、左奥方面は壮瞥、右手前方面は伊達。昔日の水辺の証しとしてトクサが茂っている。来年、昭和新山は噴火70周年を迎える。
302 ラクダの毛布 投稿日時: 2013年11月25日 投稿者: nizaemon 植林して20年くらいの若いカラマツ林。ラクヨウ(ハナイグチ)を採る人の姿も消え、足跡も無い。黄葉した葉はハラハラとすべて落ち5cmもの厚さになった。昔の贅沢品にラクダの毛布があった(ラクダの股引もあったけれど)。この冬、この山は雪の下で上等品の毛布にくるまれてひたすら半年熟睡する。
300 帰り花 投稿日時: 2013年11月24日 投稿者: nizaemon 間もなく静かに冬が来る。ことの始まりを春としたのはおよそ正しいのだろうが、さすればこれからがエピローグ。一つ一つにけじめをつけて季節をやり過ごしてきたけれど、やり残したこともまた多い。オンコの生垣に咲き遅れたクレマチスが霜を纏って咲いている。咲き誇った夏の自負を辛うじて残し、やっとここまでこぎつけた。命のけじめの砂糖菓子。寡黙なフィナーレ帰り花。
299 マルメロを煮る 投稿日時: 2013年11月24日 投稿者: nizaemon ご近所さんから頂いたのと自宅のを合わせておよそ20個、3.3kgを水煮にする。一時間弱煮て軟らかくなったのをムーランで漉す。3.6kgのピュレが出来、3kgのグラニュー糖を合わせ一時間煮込む。充分過ぎる凝固力はペクチンが多いからか。半量はジャムに残りはバットに薄く延ばし表面を乾燥させてゼリー菓子にする。この秋一番の果実の黄金色は濃い樺色に収斂し、濃厚な蜂蜜の味と香りが口腔に拡がる。
295 ノスリが飛んで 投稿日時: 2013年11月12日 投稿者: nizaemon 目覚めたら銀世界。雲の切れ間からカラマツに朝の陽があたって、真鍮色の林が浮き上がった。シャッターを切っていたらファインダーにノスリが飛び込んで来た。大きく旋回する彼の眼にはこの初冬の鳥瞰図、どの様に見えるのだろう。有珠山を取り巻くこの地域には数つがいが棲みついている。悠揚迫らぬ軟らかな飛翔は、移ろい行く風景のなかで、「決して変わらぬもの」もあることを教えてくれる。