300 帰り花

帰り花間もなく静かに冬が来る。ことの始まりを春としたのはおよそ正しいのだろうが、さすればこれからがエピローグ。一つ一つにけじめをつけて季節をやり過ごしてきたけれど、やり残したこともまた多い。オンコの生垣に咲き遅れたクレマチスが霜を纏って咲いている。咲き誇った夏の自負を辛うじて残し、やっとここまでこぎつけた。命のけじめの砂糖菓子。寡黙なフィナーレ帰り花。