502  シコタンタンポポ?

シコタンタンポポ?室蘭の自然が残っている砂浜でタンポポの在来種を見つけた。シコタンタンポポらしい。エゾタンポポは平地、丘陵地や里山などに見つかるが、海岸線にはない。苫小牧市美術博物館「タンポポ調査2014」に苫小牧海岸のセイヨウ、エゾ、シコタンタンポポの報告がある。

伊達市から苫小牧までの十か所ほど、砂浜に続く草地を調べてみた。室蘭市のほか、昔からの風景が残る登別市の海岸では群落も見つかった。件の苫小牧の現地からも確かに在来種系を見つけだしたのだが、私にはシコタンタンポポと同定する的確な資料の持ち合わせがない。

梅沢俊さんの「新北海道の花」では *北(胆振~根室地方の太平洋側)となっていて、分布域は当てはまるけど、詳細は載せていない。日本の野生植物(平凡社)の図版と解説には納得するも疑念が残り、フィールドでは個体差に惑わされ、ますます混乱してくる。近年になって分布域が広がったのか、身近すぎて確認が遅れてしまったのか。

T. shikotanense 色丹島。千島、根室からどこが南限なのか。渡島半島まで歩かねばならないか。ひょっとすると下北は、などと要らぬ推測まで頭を持ち上げる。考えるだけでもワクワクだ。

495  いにしえの海辺

豊かな海4月21日、考古学の人に誘われて有珠湾へ出かけた。9:40が底り、潮位が4cm。こんなことは滅多にない。7500年前、有珠山の山体崩壊でいくつもの流山が運ばれ、積み重なってこの海へ押し出し、岬や小島、岩礁となった。いくつもの入江があり、まだ人の手が加えられていない自然のままの磯も残っている。浅い海は底生生物や稚魚やプランクトンに満ち、緑色の海産顕花植物のスガモも見える。この季節は特に流れ着く海藻類が多く、砂の上にコンブ、ワカメなどの褐藻類が堆積している様子を久し振りに見た。

正面の小島はポロモシリ。画面右端はモシリ遺跡のあるレプタモシリへと続く。モシリ遺跡からは続縄文時代の微細な彫刻のある骨角器や、南海に産するイモガイで作られた貝輪が発掘された。人々はこの温暖で豊かな海を縁に、他地域の人たちと交流を持ち、数千年の歴史を繋いできた。

492 鱈と筍

鱈の煮物漁師さんからスケトウダラの干物をいただき、納戸に吊しておいた。数日前、知人が本州からの筍を持ってきてくれて、コラボの結果がこの煮物。鱈と筍の含ませ煮だ。孟宗竹の原産地は中国だが北国の鱈との相性はいい。サンショウの新芽を添えたいところだが、寒さに耐えたイタリアンパセリで代用した。歯にも胃袋にもガツンとくる骨太の一皿。

491  雲間の駒ヶ岳

渡島駒ヶ岳低気圧に南からの湿った暖気が吹き込んで日本列島に春の雨。夕方近く、噴火湾に雲の切れ間ができて、伊達の郊外から見る50km先の渡島駒ヶ岳が雲海の上に浮き上がった。解け残った雪をのせ、たそがれ近く、雲間の火山は墨流しの一幅に仕上がった。たっぷりと降った雨はこの季節、畑や野山にとっての恵みの雨となった。

489  またね、モラン

クロッカス満州の寒気を抱え込んだ高気圧がやって来て、晴れたけれど早朝の気温は-4℃。庭に春を告げていたクロッカスのあたりにうっすらと雪の名残りが。朝日に当たるとはらりと溶けて、黒土に滲み込んでゆく。冬の精霊、モランはムーミンの友達だ。明け方にここを通ってホロホロ山へ帰ったのだろう。今日のホロホロ山は真っ白に光っていた。

483  クミンの香り

モモとクミン裏庭に2本の白桃が育って、昨年の夏の終わり、キイロスズメバチをかわしながら収穫し、ジャムをたっぷりと造った。半年食べて残り少なくなった旨いジャムを今朝も楽しんでいた。隣の皿のポテトサラダに振りかけたクミンがジャムに飛び込んだらしく、知らずに食べた舌の上でクミンの香りが弾けた。モモとクミンは相性がいいことに気が付いた。我が家のモモがそのままアラビアの大地に繋がったみたいで、大脳の官能中枢を駆け抜け、鼻へも抜けた。

今年のモモの収穫は紙袋をかけよう。モモが好物のスズメバチにはご遠慮願って、クミンや異国のスパイス類でモモを楽しんでみよう。

478  目覚めの時だ

昭和新山雪解けが進んでいたが、明け方に少しの降雪があった。北風が新山ドームに噴気は右から左へ流れている。しかし農家の煙突の薪を焚く煙は逆方向へ。地上には南の風が吹き込んでいるようだ。水気を含んで濃い色のドームを見上げながらリンゴの芽が動き始める。三月は果樹の枝打ち、剪定の季節。

476  揺蕩う春

フクジュソウ眠い所を起こされたのか自ら覚めたのか、根雪が解けたら我が家の庭にもフクジュソウ。去年は3月28日だった。異常だという人もいるが、自然界に変異はつきもの、入学式に大雪のことだってある。気象学では過去30年間の平均値に対して、標準偏差の2倍以上の数値が出たら異常気象と言うのだそうだ。そんなめんどくさいこと、早くやってきた春にはいらない。嬉しいことが先だ。山の斜面で休眠中の虫や花の芽も、アレマァ、と驚いているだろう。

農家の人に聞いたら「生産の場では最も基本的な安全策を取ります、経験で培った平均値で、ことに当たります。早く温かくなるのはありがたいけれど」と言う。発表される長期予報もあまり当てにはできないとも。さも有りなん、ブレがあるのは読み込み済みだ。

473  春への眼差し

冷たい風を避けて南斜面を歩き、葉を落とした樹々を訪ねる。陽だまりにはすでに光の春がやって来ている。芽が動くにはもう少し時間が必要だが、やがて来る春を探すにはよい時期だ。ヒツジの顔で知られるオニグルミ、針で武装したハリギリ、タラはまだ芽がかたい。トチは樹液を滲ませて展開を待つ。ニワウルシはサフォーク種のヒツジに見える。クズはナマケモノの顔にもお下げの童女にも見えるのだが、、。

472  男前だぜ

アイラインにシャドウも付けて、ちらりとレモンイエローの裾模様。髪は茶髪のストレート。いつも群れで行動し、今日の目当てはアズキナシの残った果実。調べてみたら雄らしく、雌はどういうわけか少ないのだそうだ。毎年どこかでこの連中に出会うが、みな同じ意匠で目が落ち着かない。慌てて目を凝らすが、心をとめる暇もなく姿を消してしまう。どちらで群れるのか知らないが、チョイわる振りも身について、イヨッ兄貴、イナセだね。アイラインにシャドウも付けて、ちらりとレモンイエローの裾模様。髪は茶髪のストレート。いつも群れで行動し、今日の目当てはアズキナシの残った果実。このキレンジャク、調べてみたら雄らしく、雌はどういうわけか少ないのだそうだ。毎年どこかでこの連中に出会うが、みな同じメークで目がチラチラする。慌てて目を凝らすが、心をとめる暇もなく姿を消してしまう。どちらで群れるのか知らないが、チョイワル振りも身について、イヨッ兄貴、イナセだね。