4月21日、考古学の人に誘われて有珠湾へ出かけた。9:40が底り、潮位が4cm。こんなことは滅多にない。7500年前、有珠山の山体崩壊でいくつもの流山が運ばれ、積み重なってこの海へ押し出し、岬や小島、岩礁となった。いくつもの入江があり、まだ人の手が加えられていない自然のままの磯も残っている。浅い海は底生生物や稚魚やプランクトンに満ち、緑色の海産顕花植物のスガモも見える。この季節は特に流れ着く海藻類が多く、砂の上にコンブ、ワカメなどの褐藻類が堆積している様子を久し振りに見た。
正面の小島はポロモシリ。画面右端はモシリ遺跡のあるレプタモシリへと続く。モシリ遺跡からは続縄文時代の微細な彫刻のある骨角器や、南海に産するイモガイで作られた貝輪が発掘された。人々はこの温暖で豊かな海を縁に、他地域の人たちと交流を持ち、数千年の歴史を繋いできた。