この4、5日小雨が降り続いて、せっかく色づいて食べごろになったサクランボウが割れてしまった。この時期の雨は大敵。水分を吸った果実は膨潤し、柔らかな果皮を内側から引き裂いてしまう。これでこの後暖かい日がやってくるとカビがくる。期待しながらの毎日だったのに残念至極。専業果樹農家は透明な屋根を付けている。我が家の老木三本に覆いはかけられず、天を仰ぐだけ。
「植物」カテゴリーアーカイブ
521 小爆発・コウリンタンポポ
何年か前までは北海道のこの町でもコウリンタンポポはそれほど目につかなかった。今年、気が付くと裏庭に二つの群落ができていたし、道路わきや川筋の草地が少し賑やかになっている。ヨーロッパにはこの Hieracium 属の種が多く、いずれ次々と渡来するのかもしれない。港湾の荷上場付近や飛行場などから日本に上陸するのが常だ。
紅輪蒲公英。一見、日本風ではない(今のところ)人目につく花は、中心部が明るい黄色で周辺の舌状花は鮮やかなオレンジ色。ポンと爆ぜた花火みたいだ。これがまた日本の風景の中で燎原の火のように燃え広がるのかと思うと、汎世界的物流の恩恵を受けて安泰な生活をしている者として忸怩たる思いがある。
518 雪かと見紛う
516 引き継がれて
515 豊作を願って
512 Chive チャイブ
511 須崎忠助 原画展
507 ホザキヤドリギ
506 香りの一撃
午後から雨になったら、お隣さんが「一回分だけど」、ひとこと言ってとフキとウドを置いていった。いつもこの季節、お隣さんを通して山からの頂き物の恩恵にあずかる。フキは擂粉木ほどの太さ、ウドは子供の握りこぶしくらいある。これで一回分だと言う。北海道では何ごとも一ケタ違う。腹いっぱいになって初めて美味しいという言葉が出てくる。
フキはアキタブキという大型の別種で、煮物やみそ汁にたっぷり入れ、軟らかな繊維の束をサクサクと頬張る。自分も反芻動物になった気がして爽快に旨い。ウドに至ってはその香気と苦みの一撃があって、しばらく脳みそのどこかが麻痺させられる。そのあと旨みが中枢に浸透してゆく。
しっとりと煙る空の向うにカッコウを聞いた。カッコウが鳴くと「何を植えてもいいのだ」とおとなりさんは言う。