933 サッポロマイマイ

サッポロマイマイ有珠山ロープウェイ山頂駅から火口展望台へとのびる遊歩道には、子供たちが喜ぶ小動物が顔を出す。夏の空色の縦縞の入ったトカゲの子、組み立て細工のまん丸ダンゴムシ、モコモコ歩くクマ毛虫。それとこの、スッキリ模様のサッポロマイマイ。足元の地面に近い子供のきらきらした眼は好奇心と直結だ。しゃがみ込んだ子供の勝ち。大人は息を整えながら、遠く続く噴火湾の海の風景をぼーっと眺めている。

930 浪費する生態系

ムラサキイガイの稚貝伊達港の岩壁の上に光沢のある黒い砂山があった。近寄ってみたら米粒大のムラサキイガイの稚貝の堆積だった。俵に入れたら黒米だ。定置網を引き揚げ、積み上げて干した跡らしい。生物の世界は壮大な浪費の上に成り立っている。北の海は潤沢だとはいえ、この、いのちの散財は何だ。一緒に10種類ほどの貝類が見つかった。写っている貝殻はエゾワスレ、巻貝はエゾヨウラク。

922 カマイルカ

カマイルカ室蘭沖合十数㎞、緩やかなうねりの凪いだ海に、100頭ほどのカマイルカを見た。ガイドはクジラ類の専門家、笹森琴絵さん。断崖が続く海岸線のハルカラモイ、マスイチセ、タンネシラルなどの私の同行者18名への説明は私が勝手にしたが、クジラ類の探索は屋上のハッチに陣取った笹森さんのお仕事。この観光船には外国の方も乗っていてイルカの群れに感激一入。有難うございました。

920 三毛ネコの親子

三毛ネコ誰が見ても親子。カメラを構えていたら、庭に突然のお出まし。この子は見たことがある。近所の子供がかまっていて、似た大きさのが二匹、その子の家の荒れたビニルハウスの中に消えた。この親猫はあまり見たことがない。飼いネコの寿命は20年だけど、野良ネコは5年と何かで読んだことがある。この親子、この冬をどう過ごすのか。この子の行く末はと考えたりする。寒いぞ北海道。

915 だまし絵

アカゲラ庭のすぐ近くで野太いドラミング。台風で中程の折れたクリの大木に何かがいる。目を凝らしたが、音の方向は判るが、ちらつく形が定かではない。振り返ってくれた眼でアカゲラと判明した。後頭部の紅色は茂みに溶け込んでいた。木洩れ陽模様の一張羅が、だまし絵を完成させていたのだ。もうすぐクリの花の季節。長い穂状の雄花が見える。秋の豊饒を促す暑い夏はもうすぐそこだ。

900 輝く緑

緑の昭和新山一斉に樹々の新芽は芽を吹いた。昭和新山の赤いドームを包み込んで、軟らかな緑の風が吹く。鳥は歌い花は開き、生き物すべてのいのちが始まる。若い葉は虫を誘い、林床のコケは膨らんで地虫は蘇る。70年たってこの山は、より深い森へと歩み出す。ハリギリは太くなり、ミズナラも増えてきた。ミズキはぐんぐん成長しホウノキも健やかだ。50年後の深い森と赤いドームを想像する。

894 愛しのキタキツネ

愛しのキタキツネ庭を横切るキタキツネ。イヌでもないキツネでもない、そう思ったよ。でもお前はキタキツネ。疥癬にとりつかれ尾羽打ち枯らし、食い物を探して日を送る。自慢の太い尾はどうした。肩から胴、流れる樺色の毛並みはどうなった。血は滲み、瘡蓋は雨に溶けて体を黒く染めた。痩せた体を引きずって、野生の魂は何処へ向かうのか。温かな春の風の日に、安らかな眠りを。私のキタキツネ。

892 イタヤカミキリその後

イタヤカミキリブログ877に登場のカミキリムシ。ひと月ちょっと経ったが、腰高シャーレの中で触角をふりふりリンゴの剪定枝の樹皮を齧っていました。ハンノキ、ヤナギ類の樹皮を食害するというが、リンゴの枝も好物なのか。撮影中もじっとしてはいません。数日もすると好天になるので、洞爺湖畔の林へ放してやろう。自分が害虫なんて知らなくてよい。好きなところへ飛んでゆけ。

884 剪定作業が終わった

リンゴの剪定3月中に整枝・剪定の作業を終えることができた。順調だ。切り口の消毒パテも塗り終えた。リンゴとサクランボウなど合わせて40本の果樹。有珠山の雪がなくなり、カッコウの声が聞こえてくると、遅霜の心配がなくなる。それまで野草の軟らかな芽や小さな花を楽しみ、空にはヒバリ。今年はカミナリシギはやってくるだろうか。爆発するように盛大な北国の春本番を待つのが4月だ。

879 やがて北へ

オオハクチョウ遠山には雪が残るが、オオハクチョウの心はすでに春なのだろう、何処か落ち着かない。あとひと月もすると、体に湧きあがる本能に突き動かされ、30羽、50羽と隊列を組んで北へ向かう。一羽が飛んで来て仲間に加わった。大きな鳥だ。「グイッ、グイッ」と、漕ぎだすボートのオールのような、力のこもった羽音だった。繁殖地はシベリア。3000kmもの北帰行が待っている。