539  今年のワタシ

ニホンアマガエル去年はどうだったのか知らないけれど、今年はワタシがここにいる。ここのアルジはワタシだ。ナニか。 毎年のことだが、人気の高い庭の「ハマユウ荘」。太い一株の葉の隙間を棲家にしているニホンアマガエルは4匹。こいつが一番大きく、次は灰色あばたであとは緑の小さいの。鳴き声は葉で反響するし雨水は溜まるし、だいいち踏みつけられることもない。白い花が咲いているので小さな虫たちもやってくる。

537  蜜の味

クロクサアリギボウシの花から落ちた甘い水が葉に溜まっていて、黒い小さなアリが集まっている。このアリはクロクサアリ。甘いものに目がないアリで、仲間のフェロモン情報をたどって、列をなして目的に行き着く習性を持っている。それぞれの個体間の会話がわかるような配列で、こちらの心も引き込まれてしまう。何を囁き合っているのだ。

「A Taste Of Honey」。”I will return, yes I will return”  Barbra Streisandの甘い声を思い出す。He will return He’ll come back for the honey and me。

533  ナミドクガ

ナミドクガ当地、北海道南部ではこの春、ドクガ(ナミドクガ)の発生が伝えられていて、自治体などが注意を呼び掛けている。特に毒針(鱗粉)を持っているのが2齢幼虫~終齢幼虫で、この針は繭や成体にも付着するという。当然、チャドクガのように乾燥した脱皮殻にも毒針があるだろう。雨を避けたのか窓ガラスに止まったので写した。下面からの複眼の大きな風貌はなかなかの強面である。

526  目を丸くして

アオダイショウ小どもたちの目の前、イボタの生け垣から顔を出したアオダイショウの子。小学校二年生の女の子が見つけて、もっと小さな子供たちが集まった。双方とも初見参でどちらも丸い眼でにらめっこ。かわいい野生といい出会いができて良かったね。初夏の庭は賑やかだ。

523  ニウナイスズメ

ニウナイスズメ朝6時、昭和新山の隆起でせき止められてできた新山沼。水鳥を撮っていたらやってきたのはニウナイスズメ。見た感じでどこかスズメとは違うぞと感じる。頭が明るい栗色なのと頬に黒い紋がない。少し小型かな。軽い声で鳴いて朝の挨拶か、すぐに茂みの中へ消えていった。

520  急いでどこへ行く、クマケムシ

クマケムシ子どもの頃(半世紀以上前)からクマケムシと言って手にのせて遊んでいた。熊みたいだったからそう言っていたが、この名前が日本中で通用するとは知らなかった。広場や道路の上をモコモコと横切って走る。その速いこと。剛毛のサクサクとした感触が可愛い。ヒトリガの終齢幼虫。ヒトリガは「火取り蛾」。「飛んで火に入る、、、」のムシは私の親のこと。「私は毛虫、遊びましょう」。向うは昭和新山。

519  子別れ

ハシブトガラス総毛立ててことに当たらざるを得ない、これはハシハシブトガラスのおとこ親。メスにももう一羽の子ガラスが付きまとっている。いつまでも餌をねだって付きまとう子ガラスを、どうしたら良いものかと困惑しているのが良くわかる。この秋には子ガラスたちは大きな群れになり巣立って行く。親の元には残れない。

517  振り向いたハヤブサ

ハヤブサ日高の海岸、崖地の植物を探していて、岩壁から伸び上ったらそこにハヤブサがいた。数mの距離。互いに「ヤア」といった感じだが、あちらの眼にはどう映ったか。偶々20秒ほどの時間を共有しただけなのだが、きっと私のことなどすぐに捨て去り狩に専念したのだろう。

513  罪作り

Low-Eガラスキッチンの窓をとびっきり大きくして、風景を見ながら料理をしたいと思った。北海道のこととて、Low-Eの複層ガラス。ハーフミラー仕様の窓だ。住んでいる人間には快適だが、野鳥には迷惑この上ない偽装空間、だまし絵だ。いつもの自分の空を飛ぼうとしているのに。

いくつかの牧場の間をまっしぐらに行き来する大きなアブもよくぶつかる。アブがポンとぶつかるとスズメが食べる。スズメがぶつかるとカラスとネコがやってくる。ヒトの安寧な生活と裏腹の、瞬時に消えてしまう野生の命。私は肩をすくめて見ている。

508  窓の下

ネコとカラス餌などさほどやらぬのだが近所の猫がやってくる。この辺をテリトリーにしているハシボソガラスも今は子育て中だ。人影を見つけてやってきたネコをカラスが挑発する。狙いは尻尾。ネコはそのあたり知っていて、フラフラと尾を揺する。互いに手の内を知った間柄での、ちょっとした緊張感が漂っている。いつも、尾をつつかれて嫌気をさしたネコが退散して幕となる。