573 斜光を受けて

有珠山山頂11月12日10時。壮瞥温泉町から見上げる有珠山。斜光に山頂部の様子がレリーフとなって浮き出ている。白い樹々はまだ若いシラカバ。画面の下に見えるのはドロノキで、どちらも火山の上の先駆植生の代表者だ。山頂は一番高く見える「こぶ」の向こう側にある。この辺りには旧有珠山ドームの上に乗っていた天然煉瓦の赤い礫が残っていて、右の大岩もドームの忘れ形見。

572 カケスの季節

ミヤマカケス季節はめぐり樹々の葉は寒風に舞い散って、明るくなった林にカケスたちが舞い戻ってきた。カラスの一族とはいいながら、ターコイズブルーの翅飾りをアクセントにふわりふわりと移動するシャレ者だ。北海道に棲むミヤマカケスは胸元から上が褐色で目が黒い。一羽が栗の実を見つけて咥えて来た。仲間とおしゃべりしながらのブランチでブランチ。

 

571 源太穴火口

源太穴明治43年(1910年)の有珠山山麓噴火では45個の火口が開き四十三(よそみ)山が隆起した。民家や畑のすぐそばだった。その時湖畔に発見された温泉が洞爺湖温泉の始まりとなった。その東の壮瞥温泉の住宅から400m離れた山腹にこの時の噴火最大の火口「源太穴」が見える。画面中央やや上、朝の陽に映えるカラマツの黄と白いドロノキの樹冠に囲まれて長径200m火口が黒く開く。

570 観天望気

昭和新山ドーム風の吹きようで命にもかかわる生活をしていた漁師たちは、周囲の事象を拠り所に天候を判断した。11月8日朝、家から見た昭和新山溶岩ドーム東面。右側の噴気口からの水蒸気がドームを半周して流れている。明け方の小雨(湿雪だったかもしれない)が浸み込んだレンガ色に白い蒸気が際立って見える。朝の予報は気温0℃、湿度92%、北の風だった。予報とぴったりの鉢巻き水蒸気。

569 壮瞥穴を掘る

壮瞥穴壮瞥七不思議の一つ、「壮瞥穴」の生成を探る目論見が進行中だ。近年見つかったいくつかの壮瞥穴の調査や試掘が、洞爺湖有珠山火山マイスターでもある北翔大学、横山光准教授を中心に進められている。今回の試掘は壮瞥穴の持ち主(穴が開いたということ)でもある中山工務店の協力があってのイベントである。三松三郎さんらが行った以前の調査はスコップを使ったというが、さぞかし大変だったろう。 写真の中央左の穴が壮瞥穴。その脇を4mほど掘り下げている。ほぼ均一なテフラの堆積やその下の軽石層の存在などから、今まで考えられていた壮瞥穴の生成機序とは、異なる結果が出るかもしれない。そして生成年代は? 結果の公表をワクワクしながら待っている。

568 小幌洞窟、海鳴りの祠

小幌洞窟11月1日、ジオパーク友の会では小幌駅存続応援企画として26名参加の小幌洞窟探索会を行った。洞窟は標高50mの小幌駅から800m小道をたどった海岸にある。駅直下の文太郎浜へも足を延ばし、帰路の列車を待つ間の大発生の雪虫の中、小幌駅の由来も学び、晩秋の軟らかな日和の中、たっぷりと時間をかけて小幌の自然と歴史を楽しんだ。礼文駅11:27→小幌駅11:35(230円)、小幌駅15:40→礼文駅15:46。

海底火山の堆積物(ハイアロクラスタイト)にできたこの海蝕洞は静狩駅と礼文駅間、約10㎞続く断崖の海岸線の中間にある。古い時代から人々が立ち寄り、住んだ形跡が縄文晩期2500年前にさかのぼるという。1663年の有珠山噴火の直後にこの地にやってきた円空が彫った円空仏も、今はレプリカだがこの岩屋に残されていた。1791年には菅江真澄も立ち寄り紀行文が残っている。近年になっても近隣の漁師たちの船魂参りが行われていて、数千年、潮騒の中で人々の生き様を見守ってきた岩屋である。

567  となりの火山

恵庭岳有珠山ロープウェイ山頂駅の北東の遠い稜線に飛び出したピークが見える。調べたら45km離れた火山恵庭岳の山頂であった。手前の稜線はレルコマベツ川と北湯沢温泉の間のピーク712mあたりだろうか。春、最も遅くまで雪の残る尾根筋である。何年か前の5月の末、林道を通過しきれず、硬くなった車の下の雪をスコップで掘り起こし、やっとの思いで通過したことを思い出した。

566  落葉ヤドリギ

ホザキヤドリギホザキヤドリギが葉を落とし始めた。昨日(10月29日)の夜半は吹き荒れた。地表には落ち葉に紛れて一枚の葉を付けた黄色い花序が落ちていた。見上げると宿主のニレの葉は残り少なく、ホザキヤドリギの葉も同様だ。どちらも落葉広葉樹の一員として季節に乗っかって葉を落としている。写真の右下、アカミノヤドリギの判別しやすい形の常緑の葉はしっかりと残っていて対照的だ。

565  明るい晩秋冬隣

有珠山の初冠雪10月25日朝、有珠山は初冠雪。前夜からの里の霙は海抜737mの有珠山に雪を降らせた。手前の昭和新山の屋根山が白く見えるが、これは早めに葉を落とす習性のドロノキの白い樹冠の色。裾野は晩秋綴れの錦。手前の畑には秋蒔きの小麦が若い葉を伸ばしている。雪枯れ病の防除をされて半年雪の下で眠りにつく。収穫は来年8月麦秋の後。

564 またやってきたね

アトリブログ485で「アトリが多い」と投稿したのは今年の3月21日。数日前、近くの稲株の残る田んぼ跡に小鳥の群れがいた。よく見るとやはりアトリ。300羽ほどの群れで、飛び立って一斉に向きを変えると群れ全部の腹が光る。朝日を受けてトドマツの黒い森ととんがり屋根の壮瞥小学校。この群れはこの地で冬を越すのだろうか。小学校の子供たちに教えなくっては。