893 トガリアミガサタケ

トガリアミガサタケサクランボウの樹の下に溜まっていた落ち葉を持ち上げて、今年もこのキノコは忘れずに顔を出してくれた。二つに割り乾燥させると一段とこくと香りが強くなる。年に一度の春祝いの一品、今年のメニューはどうしようか。去年のアーリオ・オーリオのシンプルパスタは旨かった。鶏肉のキッシュを作ろうか。いや鶏肉を使うならクリーム煮もいい。一緒の野菜は裏庭自生のアスパラか。

892 イタヤカミキリその後

イタヤカミキリブログ877に登場のカミキリムシ。ひと月ちょっと経ったが、腰高シャーレの中で触角をふりふりリンゴの剪定枝の樹皮を齧っていました。ハンノキ、ヤナギ類の樹皮を食害するというが、リンゴの枝も好物なのか。撮影中もじっとしてはいません。数日もすると好天になるので、洞爺湖畔の林へ放してやろう。自分が害虫なんて知らなくてよい。好きなところへ飛んでゆけ。

891 悠久のワルイ川

ワルイ川河口噴火湾最奥部に流れ込むワルイ川。上流は上国縫川、茶屋川と水を分ける。地質図には緑色凝灰岩や硬質頁岩が記載されている。珪質の頁岩(泥岩)は旧石器時代のピリカ遺跡の石材の産地となっていた。河口への道はなく、砂浜に打ち寄せる波、それとカモメの姿だけ。軟らかな砂に立ち、吹く風にさらされていると、今も昔もない石器時代からの悠久の二万年を感じられる。

890 サメハダヘイケガニ

サメハダヘイケガニ国縫(くんぬい)の浜でヘイケガニに似たカ二を見つけ、鋏脚上面の毛などでサメハダヘイケガニと同定した。向こうの突堤は国縫川河口。差別交易に対して蜂起したシャクシャイン軍が松前藩・幕府軍と対峙した川だ。激戦後、シャクシャインは和睦を装った松前藩陣営での酒席で謀殺されたという。どうだろう350年前の無念の形相に見えませんか。

889 昭和新山赤壁

昭和新山赤壁昭和新山学習登山会を私の部屋から望遠レンズで撮影した、数人の登山者が急傾斜を詰めて「亀岩」へたどり着く直前の画像。頂上はさらに上だ。右斜面の人影は同行の地質の専門家。思い焦がれ、登ることのできる数少ない機会にこうやってドームを登り、この岩壁を堪能できる。この生きている火山との触れ合い、大岩壁へのチャレンジは地球の大自然の動きを理解する糸口となる。

888 渡島(おしま)駒ヶ岳

渡島駒ケ岳室蘭市崎守町から噴火湾を隔てた40㎞先の駒ヶ岳。残る雪形に駒は居なかった。江戸時代は内浦岳といった。1640年噴火に先立つ山体崩壊で富士山型だった山頂は崩れ落ちて大津波をひき起こし、こちら側で住民700名が溺死した。激しい噴火をする火山であり、私が長万部町に住んでいた1945年頃の海岸線には、打ち上げられた1929年噴火の軽石の大きな堆積が至る所に見られた。

887 ツリガネタケで火口を

ツリガネタケツリガネタケは北半球に広く分布する広葉樹腐朽菌で林内でよく見つかる。硬い表皮の下にはコルク状の菌糸の束があり(ナイフの先端部)、これを乾燥させよく揉みほぐすとフェルトのようなしなやかさを持つ。火打石での着火には必需品であった。イタリアアルプスで凍って発見された5000年前のアイスマンも腰に携えていた。古来からの処方に従い火口(ほくち)を作る予定だ。

886 水辺の緑

春の水辺河原に春を探しに出かけた。林道の先、長流川に注ぎこむ小さな流れに緑の群集を見つけた。湿った土の匂いがする。蘚類や牧草の若芽、それに混じってフキの薹と柔かく小さなフキの葉。セリも見つけた。風も遮られ、爆ぜるような水の音。ハクセキレイの声も聞こえる。窓辺から雪の残る山を眺めていると眠くなる。気分を変えて、こうやって出かけると自分の春に出会える。

885 今日の昭和新山

昭和新山四月になっていよいよ春かと思ったら、この数日とても寒く、日中3~4℃が続いている。「春は名のみの風の寒さや」。この山が噴火したころ覚えた歌だが、覚えていて頷いてはくれる人は少ない。霙模様で湿度もあるので昭和新山の噴気が際立って良く見える。この頂上から噴火することはまずないが、地下からの熱の補給だけは続いているのだろう。

884 剪定作業が終わった

リンゴの剪定3月中に整枝・剪定の作業を終えることができた。順調だ。切り口の消毒パテも塗り終えた。リンゴとサクランボウなど合わせて40本の果樹。有珠山の雪がなくなり、カッコウの声が聞こえてくると、遅霜の心配がなくなる。それまで野草の軟らかな芽や小さな花を楽しみ、空にはヒバリ。今年はカミナリシギはやってくるだろうか。爆発するように盛大な北国の春本番を待つのが4月だ。