783 次の世代へ

昭和新山洞爺湖町虻田小学校の5年生が宿泊学習会で火山の勉強に来てくれた。火山マイスターネットワークに要請があり、マイスター4名が付添い、立ち入り許可を得ての昭和新山、ロープウエイで登り有珠山洞爺湖展望台、火口展望台で解説をした。最近は札幌の小学校や、関東、関西地方など道外からの中高生も来てくれる。有珠山という火山を通して、その自然、観光、防災について理解してもらえれば言うことなしだ。

昭和新山を背に、三松ダイアグラムでこの山を世に問うた三松正夫の銅像近くで記念撮影。国際協力機構(JICA)研修で、日本とおなじ火山国のインドネシアから、火山学、防災教育を学びに来ていたガジャマダ大学の若い研究員たちも加わって、にぎやかな記念撮影となった。

782 満ち足りて

水孔私の大好きなブドウ、ポートランドのつるが戸口まで延びてきた。つるの先端、小さな葉の縁に水滴が並んでいる。夜の間に吸い上げた土中の水分の余剰分なのだろう。栄養塩類を含んだ水分は根毛からつるの先端まで運ばれ、鋸歯の先端の水孔から排出される。植物体にみなぎる液体。この循環ポンプは優れものだ。生命=エネルギー。

781 クサグモの幼体

クサグモの幼体セイヨウツゲの生け垣の棚蜘蛛の巣が光っている。良く晴れた朝で露が下りた。光る水滴を跨ぎながらせっせと巣を増改築中。この時期はまだ体が飴色の幼体だ。成体は毛深く縞がある。子どもの頃には細かく小さなものまで良く見えたので、毎日のように観察したし、アリを巣に落として戦いをさせ遊んだ。アリはいつも負けてロートのような巣の奥に引きずり込まれた。

780 ドロノキの綿毛

ドロノキの綿毛7月初旬、有珠山の木立に綿毛が飛んでいる。ネコヤナギが終わり、ドロノキの柳絮(りゅうじょ)が風に乗る。 この春の大風で倒れたドロノキの雌株に小さな花がついていて、季節に違わず綿毛を付けた。強いいのちを感じられる。緑から黒に色を変えた蒴果が弾け、閉じ込められていた綿毛が陽に光る。綿毛に包まれた種子はゴマ粒より小さい。荒地に先駆けるパイオニアツリ-だ。

779 ハスカップ2品種

ハスカップ7月になって庭のハスカップが美味しい。左は14年前に買ったまさしく本場、厚真産の高さ1.6mの大株で4株ある。右はその後、通販で買った背の高くならない株で1株。葉が大きく柔かく葉の両面に細毛がある。違いは実の大きさで左品種の大きめの実は10粒10gr、右の大きめのは17grだった。味は同じ。この品種の違い、何処に由来するのか。美味しい1年分の赤紫のジャムになる。

778 オロフレ峠

オロフレ峠いまは峠の下をトンネルで通り抜けるので、このガレ場の上にあるオロフレ峠と展望台(930m)へは枝道を2.5㎞進むことになる。この道は冬季には閉鎖されるが、見事な樹氷で覆われ、「洞爺湖有珠山ジオパーク友の会」が毎年樹氷探訪会を行っている。黄白色に見える崖地は崩落し続けていて旧道の通行は不能になった。約150万年前、熱水変質作用で粘土化岩したものだという。

777 野の菜・アカザ

アカザインド、中国、日本と渡来したともいう。古くから野の菜、つまり野菜であった。ホウレンソウ、スイスチャードもアカザの仲間で、味わってみて頷ける。少しほろ苦い程度で嫌味はない。栽培法や品種改良を重ねると、アスパラガスや空芯菜のように、フレンチや中華の調理法の中から食材として返り咲くかもしれない。その由来はどうあれ、和風にこだわる必要はない。

776 流れクジラ

流れクジラポンアヨロ海岸の灯台の下にクジラが打ち上げられていた。10日前には無かった。今は大潮なので満ち潮で運ばれたのだろう。7~8mの髭クジラ。種名は分からない。ここはよく人の集まる景勝地。近くにはホテルもある。大潮のうちに引きずり出さねば、腐敗が始まるとこの夏、大変なことになる。自然にはよくある、ごく当たり前の置き土産。

775 ハマヒルガオ

ハマヒルガオ伊達市西浜、砂浜の奥にハマヒルガオの群落を見つけた。肉厚で照り葉なのは海浜植物の特性だ。吹きつける塩分を含んだ飛沫や風、強い日射から体内環境を維持するための防御策。縁どりのある濃いグリーンに放射柄の明るいピンク。これは不安定な砂地でいのちを繋ぐための自己主張でもある。目を引く夏柄のワンピース。過酷な環境に生きる者の強かでビビットな世界。

774 豊浦黒曜石

豊浦黒曜石豊浦町の黒曜石を探りに出かけた。豊浦町豊泉で得られたものが、縄文石器の素材として使用されたと聞いていた。豊泉川は大岸のオプケシ岬(槍端岬・山田秀三による)に流れ込む大岸川の支流だ。丁寧に探し続けたら、砂利の中かに埋もれている黒曜石を見つけた。ここの黒曜石は露頭由来ではないという。しかし角が取れて丸くはなってはいないので、地質図にある留寿都層中のものが洗いだされたのかもしれない。