272 成層火山の断面

成層火山教科書の成層火山の断面図。そう、溶岩と降灰などの互層の図にはよくお目にかかった。しかし実際の溶岩流は決して幅広くなく、まして全方向には広がらないという。ここは伊達市稀府(マレップ)の採石場。少なくても8層の火山堆積物が見える。灰色の岩石と褐色のスコリア状の噴出物の互層だ。この岩石を熔岩と考えたが、指導の先生は「そうとばかりは言えない。熱圧縮によって固まった噴出物だろう」とのこと。納得。フィールドに出なければわからない。

271 有珠山外輪

s-DSCN9680伊達市側からよく見えて、以前から気になっていた外輪の崩落崖を勉強する機会を得た。有珠山火口展望台の南側の急斜面を下から見ることになる。崖の数カ所に層状の1663年噴火の堆積物(軽石)が見える。7000年の眠りから目覚めた噴火だ。その後、4回の山頂噴火の挙句、埋められ断ち切られ侵食も進んで途切れ途切れだ。専門の先生の指導を受けながら地形図、地質図と照合し、ここで何があったかを考える。たった350年だが実に難しい。

270 闇の香り

エビガラスズメ(♀)暗闇の中、ハマユウの香りがしたと思ったら、ブーンと重い羽音がする。瞬時にスズメガと考え、カメラを用意した。何枚か撮った中に長い吻が写ったこの一枚、調べたらエビガラスズメ。たまたま栽培中の長い花筒のハマユウだったが、北海道の闇の中では何に魅かれるのだろうか。この種の吻の長さは日本のスズメガでは最長だと言う。裏庭では花期が遅く香りの強い白花のギボウシが咲いている。ひょっとすると、、、。

269 異郷の甘さ

Fennelフェンネルのあの青臭く甘い香りはどこか異郷を思い起こさせる。日本ではウイキョウ(茴香)で漢方薬。食卓には顔を出さなかったが「外」の世界ではごく日常的で、インド亜大陸あたりのレストランのレジの横には小さなスプーン付きで種子が置いてある。どういうわけか客は掌に取って他の手でパンと叩いて口へ放り込む。食後の清涼剤だ。冷えたパスティスの香りも好きだ。庭に植えた軸の黒っぽい園芸種は濃い色の花をつけた。味はどうなのか。

268 桃之夭夭

硬い桃桃之夭夭、有粉其實。植えて5年目になったろうか。あまり果汁の多くない丈夫で昔風の二品種を選んで植えたが、樹が幼さなかったことや私の不慣れで今まで満足な結実が無かった。今年はどういう訳かよく実ってくれてこのとおり。まだすこし小さく硬いが、一週間もすると味が乗って来るだろう。軟らかさと重さが綯い交ぜになった掌の感触と、大脳のどこかの部位を触発してくれるあの香りが好きだ。