583 旨いタラコは

旨いタラコ市販の塩タラコは実に不味い。魚卵の味がしないどころか、濃い漬け汁の味と舌の奥にいつまでも残る化学調味料の奇妙な味。“調味液”でなく「塩」のみで味付けしたタラコを函館で見つけ食べたが、これは旨かった。見習って、二腹200円で新鮮なタラコを買い、たっぷりの天日塩で締める。1.5㎏の重石、途中2度ペーパータオルを換え、冷蔵庫で約1週間。実に旨い塩タラコが誕生した。素材の持ち味を貶めてはいけない。

577 北の砂糖

製糖工場池澤夏樹の「神々の食」に多良間島の黒糖が紹介されていた。甘さは生き物たちの安全な食の裏付。古来から砂糖を担ってきたのはサトウキビだが、北国北海道ではビートが砂糖となる。掘り起こされたビートはまだ畑に山と積まれていて、冬の間計画的に出荷される。伊達市にある北海道製糖の蒸気は砂糖生成の烽火。南国の黒糖も旨いが、この地のグラニュー糖も甘党には捨てがたい。

565  明るい晩秋冬隣

有珠山の初冠雪10月25日朝、有珠山は初冠雪。前夜からの里の霙は海抜737mの有珠山に雪を降らせた。手前の昭和新山の屋根山が白く見えるが、これは早めに葉を落とす習性のドロノキの白い樹冠の色。裾野は晩秋綴れの錦。手前の畑には秋蒔きの小麦が若い葉を伸ばしている。雪枯れ病の防除をされて半年雪の下で眠りにつく。収穫は来年8月麦秋の後。

560  落ち武者台風

落ちリンゴ太平洋にある巨大な積乱雲の渦の時からその消長、行方が気になっていたが、目ができ超大型のチョーイワン(CHOI-WAN=彩雲)という台風23号になった。北日本へ進路をとり道東をかすめ温帯低気圧になったがエトロフに在ってもまだ964hPa。昨日の北海道は強い風に翻弄された。一週前の21号くずれで庭のリンゴがずいぶん落ちたが、さらに100個以上落とされた。あと2週後に収穫の予定だった。落果狼藉。

557  バージョンアップ暴風

天気図台風21号くずれの低気圧が見せかけ弱まって、北上しながら急速に発達し、稚内沖で946hPaまで強さを増した。(https://weather.yahoo.co.jp/weather/zoomradar//)北日本全域に強い西風を吹かせ、我家でもあと二週間待ちのリンゴ王林二本が50個も落ちてしまった。東北、北海道の果樹栽培地は日本海側に多いから、この時期、特に津軽や余市などのリンゴ農家は大変だろう。

今日の天気図と気象衛星画像は地学のテキストに載せたいくらいぴったりの出来合いで、素人目にも気象の解説に弾みがつきそうだ。寒冷前線の見事さ、風の向きと強さにについて、そしてこの低気圧の行く末は、など、興味津々だ。

556  オオフクマメは隠元豆

オオフクマメ裏庭に続く隣の畑。今年は白くて美味しいオオフクマメだった。豆は手柴に巻き付いたまま干され、機械がやって来て収穫、次の日、殻は燃やされて畑は土に戻った。このマメはインゲン豆のこと。赤いのはキントキ Kidney beans(腎臓まめ)で刑事コロンボの好物のチリビーンズとなる。この地の特産の白インゲンは和菓子の高級原材料だ。隠元禅師とコロンボと和菓子が繋がった。

554  ポルチーニ!

ポルチーニ気温が下がって来て、そろそろと思っていたが、近場の私の「シロ」三つのうちの一つで上出来のポルチーニ・ヤマドリタケを手に入れた。嬉しいね、こんな「絵にかいたような」極上もの、私も初めて。欧州の図鑑で見る以外は出会えはしない。厚めに切ってソテーし焼き色を付けるとナッツの香り。私はそれにバターと塩が好き。旨み、香り、それと「こく」。パスタにもいいが、冷えたワインに打って付け。

547  細工は流々

梅干し ブログ536「我が家の塩梅」の続き。15%の天日塩でひと月漬けこみ、晴れ間を見つけ三日ほど干したら飴色に仕上がって、味もまろやかでいい塩梅。梅干し用の竹籠は荒い目に竹の表皮を通してあって食材を痛めない。40年も前、用賀にあった竹籠屋の爺さんから買った優れものだ。

今年の梅は柔かく仕上げようと思い、取り出しに都合よいように一層ずつガーゼで仕切った。同じように3日間、日に当てた梅酢を少し多めに振りかけて、あとは一年か二年、ころ合いを待つ。

540  渋さの記憶

トチノキ子どもの頃、胃腸薬だと大人たちが言っていた。食糧難だったがトチを食べる話はなかった。聞き書き「北海道の食事」「アイヌの食事」(農文協)にも載っていないから一般的ではなく、救荒食としての言い伝えくらいだったのだろう。サポニン、アロインを含んでいて苦味が強い。東北地方までは複雑なあく抜きの方法と食品が伝えられている。北海道開拓の人たちはまどろっこしい手順を踏む余裕も無かったのだろう。