1042 カワラタケ

カワラタケいずれ薪にと数年前に伐って裏庭に積み上げたサクランボの古株に見事なカワラタケが生え、あまりに綺麗なので再度登場。群青がかった墨色の同心紋は日本画の雲の意匠でもあり、また、青海波をも思い起こさせる。色調、柄、形態は多様で、その生育する状況の中で一株ごとに完結されてゆくのだろう。表面は天鵞絨状の密毛に覆われ、柔らかな光の反射がある。肉質は鞣革状で無味。

1041 カササギ

カササギ室蘭市イタンキ浜近くの市街地で二羽のカササギを見つけた。精悍な顔つきの尾の長い小型のカラスの風情。行動の様子からつがいと思われる。渡りをしない定住性の鳥だからこの辺りに営巣しているのだろう。旧北区を物語る動物でユーラシア大陸の人々の生活と関わってきた鳥だ。大陸を離れての日本の分布やこの辺りの飛び地的な分布には謎なところが多いという。(ブログ586)

1040 イトラン 

イトラン Yucca filamentosaYucca filamentosa。毎年夏の終わり、背の高い花茎の頭頂に数百の大きな白い花を付けてくれる。ユッカ属で葉の縁から白い繊維を剥離する。お隣さんから株を分けて頂いたが、原産は北米で、砂漠地帯の厳しい環境の植物だから、何とか北海道でも生き延びるのだろう。乱れた常緑の葉と、寒風に晒された白い繊維は、隠遁者の弊衣蓬髪にも見える。filamentosa は糸状のという意味。

1039 雪に沈む

昭和新山風もなく音もなくいつの間にか薄暗くなって、一日の終わりの雪が降りしきっていた。今日も終わるかと、いつもの習慣で昭和新山に目を向けた。薄闇の中から光の束が持ち上がり、溶岩ドームを浮かび上がらせている。幻を見たような、つかの間の瞬間だった。やがて光の落ちたあとは特徴のある山の姿もすべて白い闇に溶け込んで見えなくなり、いつものモノトーンの夜景がやってきた。

1038 キツネのお宿

キツネのお宿キタキツネの4匹いた子の一匹が親からなわばりを受け継いで、1匹だけ居残ったようだ。ここは木の根や枯れ枝の集積場所。右下の黒い穴が入り口。中は広く寒さもしのげて当分は安全な場所だろう。私の書斎の窓からきっかり100m。双眼鏡で出入りがよく見える。果樹園、農地に接していて、宅地にも近い。果物、野鳥、ノネズミ、たまにヘビ、トカゲ。頑張れキツネのお隣さん。

1037 春立ちぬ

有珠山昨日は節分、今日は二十四節気の立春にあたる。春に向かいよそおいを新たにする時候という。昨日の午後からの雪は10㎝ほどの積雪となり、有珠山は朝日を受けてほの紅く染まっている。人の動きも見えず、物音は雪に吸われ静寂そのもの。撮影しようと窓を開けたらたくさんのツグミが飛び上がった。壁際で夜を明かしたのか。春へと向かう明るい一日となりそうだ。

1035 燻炭(くんたん)作り

燻炭作り家の前の砂利道を通り雪のない梅林を横切って、ハウスの並ぶ農地にでた。地続きのお隣さんだ。日差しがありもう春の雰囲気で、開けられたハウスの前では、ここで採れる壮瞥米の籾殻を低温で燻して燻炭を作っていた。「土に混ぜ込んで土壌改良材にする」と説明を受けた。酸性を中和し、保水、通気、水はけに効果があるという。 煙の向こうに有珠山が光っていた。

1034 雪のない昭和新山

雪のない昭和新山2月1日、全く雪のない昭和新山を見るとは。南斜面とは言いながら、これでは11月の風景だ。日本上空の偏西風がいつもの年より北を流れているので、北極付近の−42℃の寒気が北海道に到達しないからだという。3日は節分、4日は立春だ。厳冬期に雪がない。地球規模の温暖化がすぐに地域に関連するような単純な話ではないが、雪のない2月はまったく不自然だ。(ブログ1021参照)

1033 小有珠とオガリ山

小有珠とオガリ山有珠山は眺める場所により姿を変える。今日はこの山の新しい顔を見つけた。洞爺湖町の大磯新港からの山頂部西面だ。東外輪越しに見る小有珠(557m)。奥は1977年噴火の後に隆起したオガリ山(672m)だ。小有珠は1662年の噴火再開以降、たびたび有珠山噴火の主役となり、形を変えながら現在に至っている。その向こう側には I (アイ)火口と銀沼火口が今でも噴気を上げている。

1032 鳥よ、鳥たちよ

マガン明るい冬の空、マガンの群れが低く飛んでいる。畑、里山、街の上をいくども旋回し、やがて丘陵の陰に消えた。大きな鳥だ。翼の色が濃く胴が太い。ただ者ではないその力量感に打たれ、カメラを手にしたまま呆然と眼で追っていた。生き物の群れが持つ存在感は、私の心を揺さぶり、かつ覚醒させる。置いて行かないでくれ。 鳥たちは過去を顧みない。(伊達市館山 2020 JAN 22)