78 アフンルパロ

アフンルパロ 白老町虎杖浜のアヨロ海岸にアフンルパロ(アイヌ伝承のあの世への入り口)がある。約4万年前のクッタラ火山起源の熔結凝灰岩が波食されたものだ。昔は満潮時に舟で入れたという。今はフリークライミングを楽しむ人たちのよいゲレンデとなっている。辛うじて残された身近に遊べる海岸だ。海辺の生物を護り、地質・民俗的遺産として後世に引き継ぐべき良質な景観である。

71 春嶺

有珠山 ひと雨ごとに大気は軟らかくなり、南東の風も入って、有珠山は雪解(ゆきげ)の時を迎えました。硬い芽も膨らんで、待ちに待った芽吹きの季節です。畑が少し乾くと、機械が黒い土を起こし始めます。今は一息をついている火山、有珠山の麓での農家の生活の始まりです。初チョウ、初ヒバリもこの一週の間に見つけました。一気に春本番へとなだれ込みます。

66 飯鮓

飯鮓 飯鮓が出来上がりました。色鮮やかに熟成しています。表面にはヤマメ、紅い身はヤマメの親のサクラマスと紅鮭。ブログ「27」「62」に経過が載っています。飯と魚と野菜と麹と塩、これらが混然一体となって乳酸発酵して食の膳に現れる。これぞ米食う文化の神髄というもの。まず漬かった魚が旨い。どこか上出来のブリーチーズの味に似ている。そして野菜、これがまた旨いのだ。

62 逆さ重石

逆さ重石 飯鮓を漬けこんで二ヶ月たった(27、いずしを漬ける)。2~3℃の地下室でうまく発酵が進んだようだ。封切を待ちわびている連中も居り、私としても早く口にしたい心がつのって、レシピ通りの日数で逆さ重石にの作業となった。桶ごと逆さまにして床に置いた重しで蓋を下からおさえ、残りの重石を桶の底に載せて漬け汁を切る為の絶妙な方法だ。径40cmの飯鮓桶に8.5kgの重石。伝統の飯鮓に、これぞ定石の逆さ重石。

60 紐

綱・細引き・紐 室蘭、電信浜の近くに住むY老人から、浜に打ち上げられたという紐をいただいた。海草などと一緒に打ち上げられていたのだという。もつれを解き、水で洗って丁寧に巻いてある。海水に浸かっていても、この丈夫な合成繊維の紐は劣化が遅く、人の手を離れた紐やロープは海の中でも海辺でも、今では厄介で目障りなごみとなっている。

 人は昔から綱や紐をよく使った。なければ暮らしが成り立たなかった。近くの山から樹を伐り、枝と組み合わせて家を作ることが出来たのも、強靭な蔓や縄で材料を目的に合わせたいろいろな結び方が工夫された結索法があってのことだ。農作業でも、草や木の繊維をうまく利用し、綯い、編み、より強靭な紐とし、目的に合わせ多用した。平素の生活でも伝えられてきた応用力は潤沢だった。刈った稲を束ねたのはそのまま稲藁だった。海の仕事に至っては船の上でのロープ捌きから、網の編み方、釣針の結び方にたつきと命がかかっていた。釣り糸は天然の絹糸である。旅する人にも行李がついて回り、「行李結び」があった。すべて知恵と手仕事が暮らしを支えていた。私たちはそれを文化として受け継いできたはずだ。日々の衣食住に蝶結びがあり男結びがあり、子どものころから親に繰り返し教えられた。荷物を送るにしても、今ではずいぶん簡略化され、即席で、便利になった。その反面、私たちはどこかに「紐」と、それをうまく扱う指先の「技」を置き忘れてきたらしい。

 私はいまだにロープや細引き、紐類をため込む習性がある。人様に荷物を送るときにも、小包用の麻紐で梱包するのが習慣になっている。「習い、性となる」なのだ。Yさんもきっと紐を捨てられない人なのだろう。感謝しながらも、頂いた紐を手にしてつくづく考えた。はて、何に使おうか。相手は土にかえりにくい丈夫すぎる紐だ。

58 時を撃つ

ミズキのパチンコ ミズキは昔から身近な木だった。何と言っても形がいい。直立した幹、小豆色も艶やかに水平に広がる枝。昔、親から頼まれ繭玉の枝にも伐ったが、Y字型の枝でパチンコを作るのが一番だった。なんでも標的にした。廃屋の錆びた煙突、空き缶、野犬も撃った。今、この歳にして肥後の守を握り、糸の端を咥えパチンコを作る。完成した武器を手に春の野に出た。弾は金魚鉢の小砂利。が、撃つものがない。風が吹く。

57 ヒツジが一匹ヒツジが二匹

オニグルミの葉痕 言われてみればそれに見えてくるもの、身近で面白いのが葉痕。ヒツジに見えるでしょう、上にももう一匹。これはオニグルミの葉が落ちた痕。去年の春は児童館の子供達とこれを見つけて遊びました。・・・ヒツジが二十七匹、ヒツジが二十八匹・・・。早春は葉もなく枝の先までよく見えて子供達は大喜び。やがてヒツジたちは軟らかな新芽の下に陰に隠れ、下草も茂って林の繁みの中のどこかに溶け込んでしまいます。

49 ニシン漬

ニシン漬 北海道のだれもが好きな冬の食べ物、ニシン漬。北海道では身欠きニシンを盛大に食べる料理が少ないが、これは別。美味しく漬け上がりました。2月23日に漬けてちょうど2週目。キャベツ4kg、ダイコン2本、ニンジン2本、身欠きニシン20本、コンブ30cm4枚、トウガラシ10本、米麹400g、塩は天日塩、少なめ180g。2-3℃の地下室に、まだたっぷりと残っている。うれしいね。

48 手前味噌

その国の市場や路地裏にはその国の匂いがある。一本裏通りの定食屋や屋台には、等しく日常の味と匂いがあふれ、賑わう音に混じって庶民の食う音、啜る音がきこえてくる。日本で言うなれば、それは味噌と醤油の味と匂いが横丁の香りだ。はるかな昔から、草醤(くさびしお)・魚醤(うおびしお)の国なのだ。 そこで思い立って、久しぶりに味噌作りに取りかかる。地方には伝統的なたくさんの味噌の製法がある。味、香りが中庸で、少し塩を押さえた甘口の江戸味噌を仕込むことにした。好みにもよるが、作って2年、3年目になると色が濃くなり味も深みも増して、私は3年位がいちばん旨いと思う。暖かくなり夏に向かって熟成が進んでゆき、味噌らしくなってゆく。北海道の三月はまだ寒仕込みのシーズンです。どうですこの地方はマメの国、地元の豆で自家製の味噌を作ってみませんか。

大豆を煮る マメは壮瞥町のつるの子大豆。味の良い豆はそのまま旨い味噌となる。麹は道産米「ほしのゆめ」の米麹が手に入った。塩は20年来の格安で旨いシャークベイの天日塩。基本となるレシピなので配合は単純にして、好みに応じての手直しも簡単だ。一昼夜浸して、膨潤させたマメをとろ火で5時間煮る。その間に、麹と塩を混ぜて塩切り麹を作る。味噌の旨さは大豆で決まるという。煮あがった豆は納得のいく美味しい豆だった。

 

大豆を挽く マメを挽く。要するに均一につぶれていればよいわけで、いろいろな方法が用いられてる。擂る、搗く、叩く、踏みつける。私は簡単な家庭用のモーター付きのを使っている。14kgほどの豆を挽くのに30分で作業を終えた。これを塩切り麹と良く混ぜる。煮汁を使いハンバーグを捏ねる軟らかさに調整する。今回は2リットル使った。一度に全量を混ぜられないので、4回分に分けそれぞれ完璧によく混ぜた後まとめることにしている。

 

味噌甕に詰める 均一になった材料を丸め、味噌甕の中に打ちつけるようにして空気を追い出しながら詰め込む。すき間があるとカビが生えやすいからだ。つめた表面にカビがつくので、さらしや丈夫な紙蓋をし、ヘリの部分を市販の味噌で封をする。これは近所の人から習った裏技だ。あとは重石を乗せ熟成を待つだけ。私は1年以上待つことにしている。香り立つその味はまことに手前味噌だが、芳醇濃厚にして他者を盛り立てる凄腕の名脇役だ。

 

47 木の根あく

サクランボ 今年の冬はいつもに増して寒かった。雪が深く踏み込めなかった裏庭にも春の兆しが見えて、木の根がの周りに土が見えている。果樹の枝打、剪定に取り掛かれる。サクランボは今年太い樹を二本切り倒す。老いた樹になっていて、その上それほど世話もしなかったので、この数年収穫があまりない。若い樹に更新の最中だ。今年のリンゴとサクランボの収量はどうなるだろうか、それは今のところ判らない。