109 早生りんご「ツガル」

ツガル 7月も今日で終わり。このところの暑い日のせいで、リンゴも一回り大きくなった。去年まで虫食いばかりの収穫だったが、小さな実が付いてからの手入れと防除をこまめにやって見たら、きちんと結果が出たようだ。ここ壮瞥町は果樹の町。本気で教わろうとすると、プロの農家が何でも教えてくれる。お陰で我家の庭も果樹がいっぱい。商品にするわけではないから、姿かたちは二の次で、「味が勝負」に賭けて見る。

108 カバキコマチグモ(樺黄小町蜘蛛)

カバキコマトグモ 細長い一枚板のススキの葉を、型紙もなく切り取りもせず、折って畳んで紡ぎ綴じたチマキ型マイホーム。雌にとっては雄との愛を育み、やがて産室とし、そのまま棺となる終生の家。一見華奢にも見える細身、飴色の肌、でも気性は激しくその毒性は日本屈指。独り身で子を守る母性の化身。やがて子グモは母の生き身を食べ成長する。「どんどん食べて、おおきくなるのよ、、」。夏雲の下、茂った夏草の中でごく当り前にある究極の母性愛。上が雌下が雄。

107 情熱の味

ラズベリー 北海道がラズベリーに適した土地だと知ったのは実際に栽培してからだ。到る所からシュートが伸び出す。今年もたっぷりと収穫した。花托が茎に残り、奨果のみが掌に転がってくれる喜びはラズベリーの真骨頂。明るい透明感のあるルビー色。陰にはパープルの哀愁を滲ませる。一瞬、動物的なアロマを感じさせるその味は、紅い血潮のブラッドレッドなのかもしれない。口に広がる血の滴りは愉悦と安息をもたらす。

106 瑠璃色の晩餐会

晩餐会 暮色濃い有珠山外輪、観光客のさんざめきも落ち付いて、やっと静かになった頃、足もとでかすかに、しかし眼を射るような瑠璃色に動く光の塊を見つけました。シックな濃紺のタキシードに身を固めたオオヒラタシデムシと青藍色の衣装に包まれたキンバエたちの正餐の時。今日のメインディッシュは何でしょう。客に踏まれた青い尾のトカゲの子、それとも潜りそびれた哀れなミミズ。逢魔が時、人知れず進行中の素敵な食事風景を覗き見てしまいました。

101 桜桃鴉

桜桃鴉 今年のサクランボウは少し実が付いた。前の4年間はだめだった。果樹の町壮瞥町全体が同じ傾向にあるらしい。寒く長い春だったので不安だったが、少しの収穫は望めるようだ。と思っていたら近くに住む鴉がやってきた。スズメもたくさんやってきて連中は食べ放題。美味しいとこどりの食傷の果て、「落果狼藉」散らかし放題の始末。自然は思うように行かないところが面白い。

97 草を引く―ヤブマメ

ヤブマメ 庭の日向や陰りからいろいろな植物が顔を出す。藪にするのもいやだから、膝を折り、頭を突っ込んで、素手で草を引く。袖は露に濡れ、指先は土まみれ。昨年は手を抜いたせいでヤブマメが大発生した。この種はハギに似た解放花のほかに、地下の閉鎖花に小指の先ほどの豆を付ける。縄文びとは身近な食として食べたようだ。アイヌ語では「アハ」といい、秋や春先に収穫、保存もできたという。「かてめし」にでもしようか。取り去るか残すか思案中。

92 思い出のアンニンゴ

シウリザクラ シウリザクラが咲いた。桜とはずいぶん趣きが違っていて、調べて見るとより北方系のグループらしい。新緑の木陰に浮かぶ純白の総状花序はひときわ印象的だ。近似種のウワミズザクラの若い花序を塩で付けた「アンニンゴの塩漬け」を人からいただいた。30年も前の話だ。杏仁霜の香り、サクラ餅の葉を幾倍にもした濃厚で芳醇な香りが鼻に抜けた。今でも鮮明に思い出す。

90 おなじみさん

おなじみさん 周囲43kmの洞爺湖湖畔には58基の野外彫刻が点在している。「とうや湖ぐるっと彫刻公園」だ。野にあって初めて生命を得る造形群。緑の風の中、湖面や島影と重なる作品はいずれも「生きている」ことを謳い、豊かな自然を讃えているようだ。生活感あふれる裸婦像は近隣に住む人たちとも馴染んで、顔見知りの知人のような存在だ。そのほか、湖を渡る風に遊ぶ少女も居れば、独り湖を眺める少年の像もある。荒ぶるオテナの風貌にも似た彫像もある。蒼空を映す鏡面の造形も、大地の移ろいを感じさせる石彫や石組みもある。いずれも力量あふれた作家たちの手によるものだ。フルマラソンの距離ぴったりのなだらかな湖畔、サクラの花と新緑の下を彫刻をめぐりながら心地よい汗をかくのも「洞爺湖有珠山ジオパーク」の楽しみ方。自転車ならばゆっくり半日コース。

84 蒲公英

タンポポ  一面のタンポポの向こうの昭和新山と有珠山、春爛漫の壮瞥の野面です。山は柔らかな緑に包まれ、ヒバリやウグイスの声が聞こえます。穏やかな風土と豊かな食材に恵まれた町です。この有珠山、三十数年の間隔で噴火を繰り返してきました。次の噴火まで折り返し点を過ぎたようです。大きな自然とつながっています。そのような生活をしたくってこの町に移り住みました。

81 ビャクシン属(G. Juniperus)

ビャクシン属(G. Juniperus) コロラドビャクシンの園芸種、ウィチタブルーを植えた。たまたまやってきた知人に「果樹に影響が」と指摘された。そうだビャクシン類はナシの赤星病の中間宿主だった。リンゴにもよくない。私の住む町、壮瞥はリンゴを中心にサクランボ、ナシ、プラムなど、果樹の生産地として有名だ。以前に植えた「ブルーカーペット」も同属だ。涙をのんで両方合わせて処分した。迂闊だった。