この季節、はるか遠くからでも気になるのがこの樹の果実。種子が入った翼果は桃色を帯び黄色く陽に映えて、濃緑の葉の中に花が群がって付いているようで、この時期だけはひときわ目を引く。湿地を好むのでヤチダモ「谷地梻」。ハルニレ、センノキなどと並んで北海道を代表する樹だ。材は杢がはっきりしていて木工品に使われる。トドノネオオワタムシ(ユキムシ)はトドノキの根で単為生殖で数世代を過ごし、初冬、ヤチダモを目指して風に乗り飛行する。
「生活」カテゴリーアーカイブ
130 先史を釣る
129 南国の仇花(あだばな)
128 夏の終わりに
123 灯りを囲んで
121 潤沢の証人
116 トチノキ婆さん
115 緑青スプーン
暑い日が続き、たまらなくなって洞爺湖で泳いだ。穏やかに広がる湖岸の緑を眺めながら澄んだ湖水に潜るのは贅沢の限りだ。切り立った岩棚から深みに落ち込む碧さはたまらなく美しい。水深3mほどの砂の上に緑色のスプーンが落ちていた。古くから沈んでいたらしく、すっかり酸化して緑青に覆われている。
以前、洞爺湖への流入河川はカルデラ外輪からのものだけで、流出は壮瞥滝のみであった。1939年に長流川から導水をし3カ所に発電所が作られ、上流の黄渓にあった鉄・硫黄鉱山から強酸性廃水が流れ込み、1970年にはpHが5.3まで低下したと言う。現在、国が巨額を投じて中和処理を行ない、これは半永久的に継続してゆく。だが、有珠山の1977と2000年の噴火では噴出された火山灰によりpHが上昇、多少生態系が改善されたようだ。水中では時々コイや小魚に出会うが、生物生産の場としてはまだまだ貧弱な湖である。人が手を加えて悪化した洞爺湖の水質と、自然災害がもたらしたその改善。「禍福はあざなえる縄」か。







